「けいおん!」の舞台、文化財答申 

滋賀の旧豊郷小(朝日新聞9/22)

 


文化財答申の報道をするのに、わざわざ「けいおん!」の舞台という枕詞を付けるということは、この建物が「けいおん!」の舞台として広く認知され、朝日新聞として答申されたことを報道する価値があるということなのですね。


『「咲-Saki-阿知賀編」に出てきた吉野山ロープウェイが機械遺産に認定されます。http://blog.ameba.jp/ucs/entry/srventryupdateinput.do?id=11309688031  』は、ほとんど新聞報道の対象にならなかったのを見ると、「けいおん!」が結果として豊郷に与えたインパクトの大きさがわかります。文化財として正式に登録されると何が変わるのでしょうか。

 

朝日新聞デジタル 2012年9月22日08時41分より

「けいおん!」の舞台、文化財答申 滋賀の旧豊郷小

http://digital.asahi.com/articles/TKY201209220002.html


文化審議会は21日、人気アニメ「けいおん!」の舞台のモデルになったとされる滋賀県豊郷(とよさと)町の旧豊郷小学校、仙台市の旧宣教師住宅・デフォレスト館、現存する大正期の釣り橋として価値がある岐阜県白川町の白川橋、熊本県人吉市の人吉温泉の老舗、芳野旅館など155件の建造物を登録有形文化財にするよう、文部科学相に答申した。


舞台探訪 富山県・石川県時々他県へ-けいおん 豊郷


 旧豊郷小は、現在は町の図書館や役場として活用され、女子高生バンドを描いた「けいおん!」にちなんで軽音楽のイベントも開かれている。今回登録される校舎など三つの建物は、米国の著名建築家ヴォーリズの設計で、いずれも1937年に建てられた。特に校舎は、左右対称で縦長の窓を規則的に配置するモダンな建築物、と評価された。

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 住人だった宣教師の名前を取ったデフォレスト館は、瀟洒(しょうしゃ)なデザインの木造の洋風建築。1887年ごろに建てられた。北側の玄関にはアーチ状の屋根がかかり、外壁は白い板を重ねるように張り付けた造りだ。いまは東北学院大の構内にある。白川橋は、飛騨川に架かる115メートルの鋼製の釣り橋で、渓谷の景観に彩りを添える。芳野旅館は、内部に船や水車の古材を転用するなど風情のあるつくりが特徴。人吉温泉からは、このほか人吉旅館の登録も答申された。

 登録建造物は、築50年以上経ったものを対象に、建築史的、文化史的に重要なものを選ぶ。今回の答申分を合わせると9136件になる。(木村尚貴)


■かつては解体危機「残してよかった」

 国の登録有形文化財に答申された滋賀県豊郷町の旧豊郷小学校校舎はかつて、解体の危機にさらされた。保存運動にかかわった人たちは「建物を残して本当によかった」と喜んでいる。

 同町は2001年、老朽化などを理由に旧校舎の建て替えを決めたが、地元住民らは再考を求めた。02年12月に大津地裁は解体工事差し止めの仮処分を出したが、当時の町長は解体を強行、住民たちともみ合いになった。その後、町は旧校舎の保存に転じた。

 同小の卒業生で保存運動の中心だった本田清春さん(61)は「体を張って解体を止めた建物が登録文化財になり、うれしい。いまや町の財産だ」と喜ぶ。


 旧校舎は地元出身の実業家、古川鉄治郎が私財を投じて建てられ、完成当時は「東洋一の小学校」と呼ばれた。鉄治郎の孫の古川博康さん(65)=兵庫県芦屋市=は「祖父が情熱を注いだ建物を町の振興に役立ててほしい」と願う。


 建物は現在、図書館などとして町民に利用されている。最近は軽音楽部の女子高生の日常を描いた人気アニメ「けいおん!」の舞台のモデルではないかと話題になり、週末には全国から数百人のファンらが訪れ、アニメにちなんだ軽音楽のイベントも開かれる「聖地」となった。

 町の象徴となった建物の価値が改めて認められたことに、伊藤定勉(さだむ)町長は「町民だけでなく、町外の人にとっても第2のふるさとになるよう生かしていきたい」と話す。(片木啓)

 

 

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2012年09月22日 作成