最初に言っておきます。今日は、かなりマニアックなネタなので、ほとんどの方はついてこられないと思います。適当に読み流してください(^-^;
鳥仲間から、巣作りのため地面で泥をとるイワツバメの写真が送られてきました。
問題なのは、その背中。なにこれ?私にとって未確認生物です。見づらいですがアップした写真↓
最初はダニかと思いましたが、足が6本。さらに腹部先端に尾状突起のように見えるものがあります。でも、ビュンビュン飛び回るイワツバメの背中に止まっていられる昆虫など思いつきません。やはりダニの一種かと思い、日本ダニ学会の方にメールで問い合わせたところ、
「シラミバエ」の仲間
とのこと。初耳の生物です。
そこで、いろいろと調べたところ、驚きの生態が次々と明らかになってきました。
①https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000064/64979/HP053.pdf
この資料を読んで驚いたのは、最初は羽が生えているのですが、宿主に寄生したら、羽根が擦り切れてなくなってしまうとのこと。いったんターゲットをゲットしたら、もう移動する必要なし!と退路を断って人生(ハエ生)を懸けるということでしょうか。
②シラミバエの中には、多くの種類があり、2016年には、インドからフィリピンに分布するシラミバエの一種が、日本で初めて発見されたのです。長野県塩尻市で捕獲されたハチクマのお腹についていたそうです。フィリピンのハエが、ハチクマの背中に乗って(実際はお腹について?)海を渡り、日本へ来たという壮大な旅です。今、再放送をしている未来少年コナンとちょっと重なるところもある?(^_-)-☆
https://www.jstage.jst.go.jp/article/birdresearch/14/0/14_S19/_pdf/-char/ja
③そして、この生物の名が、ついに判明!
「イワツバメシラミバエ」
そのまんまじゃないですかっ!
あっ、つい興奮してしまいました(^-^;
http://torimiru.blog.jp/archives/10168158.html
④さらに、そのイワツバメシラミバエの生態がすごい。
https://ikkaku2.exblog.jp/6428175/
普通、昆虫は、オスとメスが交尾をして産卵し、卵→幼虫→(蛹)→成虫と変態するのですが、イワツバメシラミバエは独特。
その1 イワツバメシラミバエは♀しかいない!
つまり単為生殖。メスだけで卵を産める。
その2 でも、メスは卵を産まない!「ほぼ」蛹を産む!
メスの体内で卵→幼虫にして、終齢幼虫まで育て、蛹直前で産むのだそう。体外に出てきた幼虫は、そのまますぐに蛹になる。しかも、最後の脱皮をしないでそのまま蛹~!
つまり、成虫→蛹→成虫というサイクル。もう、よくわかりません。
チョウの幼虫を育てるのが大好きなブロガー「わさびさん」なら、育て甲斐がなくて泣くはず(笑)
⑤さらに、イワツバメの越冬地は未確認!
いやあ、知りませんでした。
バードリサーチ2013年9月号によれば、「古くから標識調査がおこなわれているものの、日本で繁殖しているイワツバメの国外の越冬地は確認されていない」とのこと。いったいどこに行っているのでしょうか?そして、イワツバメシラミバエも、イワツバメとともに旅をしているのでしょうか。
いやぁ、生物の多様性とは言うものの、本当にすごい。かなり燃えて調べまくりました。今までも、YNWC(Yokoham Nature Watching Club)時代には、セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシやイヌビワコバチの不思議に感嘆の声をあげたのですが、今回、イワツバメシラミバエもその一員となりました。結局、腹部の尾状突起に見えたものはカッコイイ羽根でしたし。
そして、こういうメジャーでない生物を丁寧に研究されている方々がいらっしゃることにも敬意を表したいと思います。研究が進んでいる生物に比べ、情報も少なく、大変ご苦労が多いのではないかと推察します。でも、その方々の成果をインターネットで見ることができ、未知の生物の不思議に触れることができました。
マニアックなネタにお付き合いいただき、ありがとうございました(^^♪