いっしょに、ドラ泣きしません?(公式メッセージ)
しません。(拒否)
※うだうだします。
私はドラえもんが好きです。
好きですが、ドラえもんに求めていることは「泣かせる感動」ではなく、「ワクワクの感動」です。
未開の地への冒険、過去や未来、宇宙の果てなど様々な場所で冒険するドラえもん。
単発の話にしたって、ごく普通の日常に未来の道具を使うことで「すこし不思議な世界」になり、
物語が広がりワクワクできて面白いのです。
しかるに最近のアニメはほぼほぼ「泣きの感動」を推している感があります。
感動の押し売りとは言いませんが、そんなになんでもかんでも泣かせればいいという手法は野暮だと思います。
それが一番人気とれるから!というのはわからなくもないんですが、本当にドラえもんで泣きたいのか問いたいです。
よくバラエティでゲストが選ぶドラえもんの名場面では泣きのシーンを入れてきて、それを見て泣いているぶっさいくなゲストが映ったりしますが、なんぼドラえもんとはいえ、そういったものを見るとどこか冷めてしまっているひねくれものの自分がいます。
とはいえ、これらは「ワクワクを宣言しておきながら結局泣き落としを入れてくる最近の作り」にたいしての不満であり、本作は「はじめから泣き落としを宣言している分潔い」とも言えます。
いっしょに、ドラ泣きしません?(公式メッセージ)
させてみたまえ。
というわけで、そんなに乗り気で放ったのですが、公開日が自分はたまたま休日だったのもあり、観てきました。
結果から言うと、
ここ数年で、
一番おもしろい。
見事です。
原作エピソードのリスペクトもあり、一つ一つの話をうまく繋げていて始まりから最後まできれいに描いた作品でした。
また、映画オリジナルの設定や展開もいくつか出ましたが、違和感なく話を進めるための良改変だったと思います。
改変といえば、のぶ代ドラ時代の映画作品をわさびドラでリメイクした際よくおこなわれていた手法でしたが、かならずしもいい改変だったとはいえませんでした。
鉄人兵団ではジュドの人格をコミカルにポップアップにしたせいでミクロスが不在になりました。
魔界大冒険では、みんなのトラウマであるメジューサを美夜子の母親という設定にしたために、原作の不気味な雰囲気が崩れていしまいました。
別視点で考えれば、話に深みが出たとは言えますが、私の中では無理に感動に作り替える必要はないと思っていたので改変にはアンチの立場でした。
ただ今回の改変は見事です。
原作エピソードのある意味ツッコミどころを逆手に取った改変であり、結果違和感がなく、またきれいにSF(すこし不思議と本来の意味であるサイエンスフィクション)になっており文句なしです!
ぜひ見ていただきたいので、なにがどう改変されたのかは書きません。
ドラえもんが好きな方。
感動作品が好きな方。
原作改変アンチの方。
ぜひぜひ観てほしい映画です。
なお、感動に関してですが。
号泣一歩手前でした。
いやー、音楽がまたよかった。
切なげなメロディーで泣きたくなるのは当たり前なんですが、本作は「ドラえもんがそこにいてくれるワクワク感」を表現したプロローグのような曲がまー泣けます!
「ワクワク感で人は泣けます」というか私がドラえもんで泣きそうになるのはほとんどそういう場面です。
①魔界大冒険では、悪魔の炎の魔法でピンチになった美夜子を、ドラえもんがヒラリマントで助けに行くシーン。
図式としては、「魔法世界においてただ一人科学の力で立ち向かう勇者=魔法vs科学」という胸熱シーンです。
これはBGMがまたいいんです。ドラえもんキターーーーーーーーーてなります。
②リトルスターウォーズでは、チーターローションを使い、敵に気付かれることなくレジスタンスの隠れ家まで失踪するシーン。
その時しか使わない映画専用の道具でも非常にハラハラドキドキするとともに疾走感あふれるBGMにワクワクが止まりません。
③アニマルプラネットでは、ニムゲに囚われたチッポのガールフレンドのロミちゃんを助けに行くため、星の船を探し、ニムゲの星まで行き、ロミちゃんを救出し、アニマルプラネットに戻っていくという流れにおいて使用された秘密道具「月のツキ」のシーン。
この道具の効果が「信じられないほどの幸運に恵まれる」というもので、ふだんついていない人間ほど効果が高いという事でのび太が抜擢。
結果、アニマルプラネットのどこかに埋まっているという星の船を一発で見つけ、同時に船に乗り込んだはずみに押した起動スイッチによりニムゲの星に着き、敵に変装しうまくバレることなく、そのまま囚われているロミちゃんを救出。
戻るために船に乗り込むが、どのスイッチを押したらいいか見当のつかないのび太だが、勘で推したスイッチが見事正解で、ノンストップでアニマルプラネットに帰還するいう一連の流れに涙腺崩壊です。
こんなご都合的な展開なのに飲み込まれてしまうのは、そのまんまご都合効果のある道具を使ったからに他ならないわけで、逆に効果が強い分感動しました。
本作はかつて私に感じさせたこれらの過去作品に共通する、
「わざとらしくなく、ワクワクさせるBGM」にこそ感動させる力があったのではないかと思いました。
いっしょに、ドラ泣きしません?(公式メッセージ)
もう一回観ようかな。