好きな人は好き!受け付けない人は絶対に受け付けない!
ルール外のトリック上等の前代未聞の本格ミステリー映画!
この映画を表すならこんな感じだろうか。
予告を見ていただけたら分かるように一見すると、ペンションに訪れた15名の人間。そこで巻き起こる殺人事件とそれを推理する、外連味のきいた癖のある探偵とパッとしない助手による軽妙な掛け合いのある、コメディありの王道ミステリーという印象を受けたと思います。
しかし、この作品はそんな従来のミステリーとは全く違っていて、
話の中で、作品の世界観を揺るがすあるとんでもない大事件が起きます!
しかもその大事件は殺人事件とは全くの別件の出来事なんです!
そこと王道ミステリーがミックスされている感じです。ハッキリ言って、そのせいで賛否両論。
観ていて途中から「あれ?何の映画見てるんだっけ?」「ミステリーじゃないの?」という思いが浮かぶほどにぶっ飛んだ展開が起きます。だけど、ちゃんと途中から「あ、本格ミステリー始まった」てなるんです。
そんな作りなので、なかなか人を選ぶんですが、わたくしは割と気に入りまして―、魅力についてちょっと語らせていただこうと存じます。
とりあえず簡単な物語の始まりについて
ある大学に通うミステリーオタクだけど推理力0の葉村 譲(神木隆之介)という学生と、同じく学生で自称ホームズの明智 恭介(中村倫也)という探偵+助手コンビの2人の前にある女性が現れます。
それが本作ヒロインでもう1人の主人公の剣崎 比留子(浜辺美波)。彼女は2人に、自身のサークルで毎年行っているロックフェス合宿に参加してくれないかとお願いされるところから始まります。
そう、探偵+助手コンビのもとへもう一人の探偵が依頼にくるという一風変わった始まりです。
予告であるように、その合宿は昨年行った際に一人行方不明者が出て、今年も同様なことが起きることを暗示するかのように謎の脅迫状がサークルへ送られてきます。
そこで比留子は事件の匂いを感じその合宿に参加することにするんですが、ある事情で探偵助手コンビを合宿先であるペンションへ連れて行ったところ、殺人事件が起きてしまったという流れ。(ある事情については物語の途中で明らかになる)
この作品の魅力ポイント①
役者の演技とキャラクターの設定、立ち振る舞い、コントのような掛け合い、絶妙な間といったように、登場人物にとにかく魅力があるんです。
洞察力に優れながら、思い込みが強く、自信満々ながら詰めが甘い推理をしてしまう明智という男。そんな彼に振り回されつつも、明智を信頼し、サポートするワトソン役の葉村。
物語の途中で明智が葉村に言ったセリフ―、
「これからペンションでなにか事件が起こるはずだが、犯人がわかった」
というまさかの事件発生前に犯人特定とい離れ業を披露しますw (しかも当たってる)
ここのシーン大好き。
映画の冒頭はこの2人による、大学生活の中で起こった事件(テスト問題の盗難)の推理が描かれます。回想シーンも含めて、2人がこれまでいくつもの事件を解決、未解決、迷宮入りに持ち込んだという説明があり、噛み合ってないようで噛み合っているという、見ていてほほえましくなる仲の良さがうかがえます。相棒って感じですね。
そんな2人の前に現れたのが、古風というか硬派というか「君たちに頼みたいことがある」「申し訳なかった」「礼を言う」みたいな口調の、ともすればちょっと痛い人に写る剣崎 比留子というキャラがまたユニークで可愛らしい。
口調やたたずまいから、只者でない感を演出しながら、半眼で寝る、無邪気に食べる、困ると「むむむむむ・・・」みたいなこと言っちゃうという、いわゆるあざといけど王道で分かりやすい可愛いのとりあえず詰込だって感じのキャラクターです。
そして美少女設定からあるように、葉村は彼女に恋心を抱きます。
彼女もそんな葉村を振り回しつつも一人の助手として接します。
そういことで、この2人にも信頼関係が生まれるんですねー。
こういう主人公たちのおかげで、この3名を見てれば勝手に物語が進んでいくのでテンポが崩れることがないので見やすいんですね。
殺人事件やあるトンデモ大事件というシリアスなことが起きながらも、要所で差し込まれるコメディも、たしかに緊迫さをうすれさせているのは事実なんですが見ていてほほえましくて、ストーリーが重くなりすぎないようにバランスを取っている印象がありました。
ここの塩梅は好みになりますけどね。
この作品の魅力ポイント②
ズバリ!事件発生とそのトリックです。
物語の根幹にかかわるので、見ていないはぜひ見てほしいという気持ちがあるので、
出来る限りぼかしますがこれです!
「15人の容疑者たち」
お気づきでしょうか・・・
この図、14名しかいませんよね。
なのに15人の容疑者となっている。
ここが本作のもう一つの魅力です!
15人目はだれよ!?てとこですが殺人事件ということですから、この中の誰かは死ぬわけです。そして、この14人の中の誰かを殺すのが15人目なんですが、「え?てことは映ってないジョーカー的なポジションが犯人かよ。盤外戦術冷めるわー」って思うかもしれませんが、15人目の容疑者が犯人ではありません。実行犯なんですが、犯人じゃないんです。
どういうことかというと、この15人目はこの作品で起こる様々な「トリックそのもの」なんです。
出てくるトリックのジャンルは、密室殺人、消える凶器、遠隔殺人という王道もの。
しかし、そのやり方が全く新しい!
この、実行犯がトリックそのものという設定が従来のミステリーとは大きく違っているところで、よくこんな構想が浮かぶなと感心しました。
人によっては不満を持つところなんでしょうけどw
あ~、ぼかしながらだと上手く伝えられない・・・w
要するに犯人はこの15人目の容疑者を、トンデモ事件を利用することで、前代未聞の殺人事件を作り上げるんですねー。
ちなみに、「え?この設定(トンデモ事件)いる?奇抜さだけ狙って作った話じゃない?」と途中で思うかもしれませんが、一応補完されますことをお約束します。
最後に事件の全容で、犯人の動機を聞いたときに「あ~、そのためのトンデモ設定だったんだ」となりますのでご安心を。
全く意味のない奇抜さだけで生み出されたトンデモ事件はございません。
あえて評価の中で問題を上げるなら
褒めてばかりではありません。
展開の多少の強引さや細かい粗は、いやでも目につきます。
キャラクター設定が好きだといいましたが、後半の葉村の「自分の推理は一度も当たったことがない」というメタ設定はもう少しうまく使えたのではないかなーと感じました。
ポンコツタイプの主人公が成長し、ホームズを越えるみたいな熱い展開にもできたでしょうし、たとえポンコツのままでもエピローグで、ホームズが気づけなかった点を唯一気が付けて、ホームズに認めてもらえるみたいなのがあってもエモかったんじゃないかなーて思いました。
まぁ活躍はそれなりにしてたし、ホームズの推理パートも上に書いたように多少強引さを感じながらもまとまっていましたし、なんというかー
やっぱり役者たちの演技が良かったよってことです。
なんでも、原作は続編があるとのことなので、もしかしたら映画も続編があるかも!?
何も考えず、まず見て!
とにもかくにも一見の価値ありです!
この前代未聞のトンデモ超展開ですが、結構序盤に起きますからw
あれこれ考えてから視聴するより見に行った方が早いです。
役者目当てで見に行くでも十分元とれると思います。
ただ、それでもやっぱり、この展開はズルいだろ!て思うかもしれませんが~。