峠の途中で花巻市に入り、遠野市とはこれでお別れ。
少しずつ車窓には平地が増え、僅かだが青空も顔を覗かせている。
東和の外れ、晴山の田園。背後に山が迫り、街と街の境界であることを感じる光景であり、毎回このあたりを通るのが釜石線に乗る楽しみでもある。
そして東和から小山田にかけて広がる棚田。これも釜石線沿線でとても好きな風景のひとつだ。
三郎堤には以前、エイスリンちゃんを探して足を運んだことがある。この季節には白鳥がたくさん飛来している筈だが、そのうちまた訪れて見ようか。
北上川を渡ると、花巻の市街地はもうすぐだ。
車窓に急にたくさんの家が見えるようになり、一気に山から街へ下って来たことを実感する。
花巻駅の虹の看板に出迎えられ、とても長かった気がする釜石線の旅が終わった。
普段は此処からさらに汽車を乗り継いで南へ下って行くのだが、今回は駅の待合で盛岡に帰省していた彼女と待ち合わせ、一緒に東京に戻ることにしていたのだ。
俺は長旅をする割には道に迷ったり、目的地に上手く辿り着くのに失敗したりするので、無事に彼女と合流出来るか心配だったが、できた。
丁度昼ごはんの時間になる頃合いだったので、ふたりで花巻のとある店を訪ねて見ることにした。