閉舘挨拶
みなさまお変わりないでしょうか? 演出の神里です。
すでに私たちの存在すら記憶にない方もいらっしゃるかもしれません。
いきなりぶしつけな始まり方ですが、舞台というものはLIVEですから、
その時が過ぎればすでに存在しないものになります。
人間、形のないものを記憶に留めることは非常に難しいです。
だから写真やビデオなどの記録を残せるものが誕生し、日々活用されています。
ただ時として、自分の記憶に留まるような印象的な出来事や言葉があるように、
たった1人にでも私たちの作品が留まることがあればラッキーだな、と思っています。
東京アシンメトリー舘は1つの希望に満ちた団体でした。
一般的に劇場で常識とされている“決まりごと”の縛りを解き、
演じる側も観る側も真剣勝負な場を作り、結果、会場の人も含めての空間創りができた。
苦情が来るどころか、賛同される方々ばかりで驚きました。
閉舘を惜しんでくださる方々も多いですが、宣言通り3作品に全力を注ぎ切りましたし、
これ以上はご期待にも応えられません。
『リライト』はお陰様で全日程のチケットが完売し、“閉舘に相応しくない”たいへんな賑わいになりました。
応援してくださったみなさま、関係者のみなさま、
本当にありがとうございました。
これからも人の記憶に残るような作品創りに励んでいきます。
またどこかでお会いしましょう。
神里盛仁
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脚本、近藤です。
無事に『リライト』が終了し、何事も無かったような毎日が過ぎていきます。
「停滞した永遠より、派手な一瞬」という最後にして完全な自己肯定の作品でしたが
『リライト』が一番好きと言っていただいたお客様も多く、
創り手としてはほっとしました。
『リライト』は、一番思いいれも強く、いつか劇場で上演してみた作品でもあります。
「いつか同じメンバーで」というつもりはなく、
仮に5年後、上演できたとして、役者を辞めている人がいるかもしれないし、
私も書き続けているかわかりません。
そのいつかへ対して"出て欲しいと思える役者"や"出たいと思える脚本・演出"で
あり続けるべきだと思っています。
少なくとも東京アシンメトリー舘の人間は。
2年半で番外含む5本。
終わりを宣言せずにいつの間にか消えたり、ぎすぎすして終わる劇団の多い中
東京アシンメトリー舘は狙い通り終えることが出来ました。
これもいろいろな方々のおかげです。
ありがとうございました。
近藤悠季