数ヶ月前のことだが、年老いた夫婦らしき
二人が身体をくっつけてカブに跨がり僕の
前を走っていた。

ご覧通り、荷台兼、後席でもある台の上に
座布団を敷いて乗っていることからも判る
ように、その姿に気取りなどはなく、『い
かにも』な田舎の老夫婦然とした人間臭さ
が漂っているのだが、

それが逆に『素敵』だと感じされられる。

『これからもどうか気をつけて。末長くお
元気で・・・。』
何処の誰かも知らない二人なのに、その後
ろ姿を見つめていると、なぜか気持ちが暖
かくなり、自然と心の中でそう呟いていた
・・・。