『クルマと音楽』をテーマに書くのも久し
ぶりである。
今回は日本が誇る名車であり、現在世界で
生産されている日産車の車名としては2番
目に歴史が古い『スカイライン』の8代目
にあたるR32型のCM曲について書く。
R32型は2代目スカイラインで生まれた『伝
説』の呪縛からようやく解き放たれたと言
える新世代のスカイラインとして1989年に
デビューした。
特にこのR32では3・4代目に存在した最強
グレード『GT-R』が16年ぶりに復活したこ
とで話題をさらい、主戦場であった国内ツ
ーリングカーレース(Group Aカテゴリー)で
デビューウィンを飾る。
そして、その後は敵無し状態で連勝を重ね
た挙げ句、そのあまりの強さでカテゴリー
を消滅させてしまうほどの成果を残し、
スカイライン史上、名実ともに神格化され
た型式のひとつとして現在でもファンに愛
され珍重されている。
その事が影響して、今では中古車価格が程
度の良いものなら1,000万円を軽く越えるプ
レミアがついているという有り様だ。
そんな華々しい経歴を持つR32スカイライ
ンだったが、CMコンセプトはというと全
く定まっておらず、シチュエーションに統
一感もなかったことからその印象は薄く、
このことだけが関係しているわけでもない
かもしれないが、販売面で大成功とはなら
なかった・・・。
その内容は発売当初『超感覚』をキーワー
ドに、『スペースフィッシュ』なる一見
【トロの握り寿司🍣】にしか見えない謎の
非行物体と並走するという、正に(常人の)
感覚を超えたよく解らないCMを展開し始
まった。
(インパクトは一番強かったけど・・・)
ところがこれが不評だったのか何なのか、
一転、次のCMは急にラテン色を強めて・
・・と言うか、この頃流行していた『ラン
バダ』を使ってきた・・・
(まぁ、情熱的でこれはこれで悪くないけど)
続いて、マレーシアの歌姫と呼ばれ、当時
日本でも人気が上昇していた
『シーラ・マジッド』の曲へと変更される。
前半『Larut Malam』
後半『Dimanakan Kucari Ganti』
この後、新エンジン2500cc、3ナンバー車
追加のマイナーチェンジが行われた際、CM
も刷新され、曲は山下達郎に替わった・・・
このバターンが好評だったのか、
次の9代目R33型でも引き続き彼の曲は採用
されていたことから、世間的にはこの方が
評価が高かったのだろう・・・。
でも、僕的には異国情緒を漂わせ、
時に情熱的であり、時に繊細に歌う彼女の
曲の方が、『解る人には解る』通好みのこ
のクルマには合っていると今でも個人的に
は思っている。
代々、廉価版でも高い性能を与えるのが
スカイラインの真骨頂だったが、
R32も正にその通りで、1クラス下の180SX
とは違い、重さは感じたが、足回りがしっ
かりしていて、操縦がしやすく、まるでに
わかに運転が上手くなったような、そんな
感覚を与えてくれた記憶がある。

R32スカイラインは日産の魂と良心が宿った
本当に『超感覚』のスカイラインだった。
そんな、将来歴史に名を馳せるクルマに若
くして乗ることが出来ていたことを今考え
ると、とても幸せなことだったんだとあと
になって気付かされる・・・。
(文中敬称略)