日本車は昭和期後半は言わずもがな、
平成前半(バブル期)に製造されたものまで
も価格がここ数年高騰してきている。
これはこの年代のクルマの数が減ってきた
上に、クラシック(ネオクラシックと呼ばれ
たりもする)の領域に入り始めたということ
もあるだろうが、それに加えてここ最近は
アメリカの人々が日本にまで(この年代のク
ルマを)わざわざ買い付けに来て自国に持ち
帰っていることも要因としてあると言われ
ている。
まぁ、クルマに興味のない人からすれば、
「何も日本にまでそんな中途半端に旧い日
本車を買いに来なくたって、そちらに輸出
されてたんだったら既にたくさん米国内を
走り回ってるでしょうに」と思うかも知れ
ない。
しかし、日本で走っている日本車全てに左
ハンドル車が設定されてアメリカに輸出さ
れているわけではない。
また、アメリカは日本と比べ物にならない
くらいクルマ好きな人が多い上、『個性を
主張する』ためであったり、殆んど見掛け
ないことで『優越感を得たい』など、他の
人とは違った珍しいクルマを求める人々も
日本人より桁違いに多く存在する。
そんな彼らがこれらを満たす答えのひとつ
として目を向けたのが、世界的に少数な右
ハンドルであることや、アメリカで販売さ
れなかった他国のクルマたちだ。
そして彼らはそれに当てはまるクルマ選び
のひとつとして、自国ではまず見掛けない、
『右ハンドルの日本車』に白羽の矢を立て
た。
これはバブル期の日本において、
新車で右ハンドル仕様があるにも拘わらず、
左ハンドルの外車を選んだり、彼の地には
あるのに日本では発売されていなかった車
種を平行輸入し珍重する人々が存在したこ
ととよく似ている。
(この当時の日本での異常なほどの左ハンド
ル車人気は、遂に日本車メーカーにまで影
響を与え、その恩恵に肖ろうとアメリカで
生産した自社製の左ハンドル車を正規輸入
し販売していたことからもわかる。)
さて、アメリカの人々はそんな日本とは事
情が少し違い、あえて新車ではなく、製造
されてから25年も経ったネオクラシックな
右ハンドル仕様の日本車ばかりわざわざ海
を渡ってまで買い漁りに来ているのか?
これにはアメリカの自動車に対する制度が
関係している。
アメリカには日本のような厳しい車検はな
いし、ド派手なカスタムやチューニングが
施されたクルマを多く見掛けることから、
クルマの改造や規制にはユルいと言うか、
おおらかなイメージがある国と思ってしま
うのだが、
右ハンドルのクルマについては新車の販売
をすること自体、法律で厳しく禁止されて
いたりする。
しかしその一方で、
アメリカ以外の国や地域で初年度登録され
てから25年以上経過したクルマであれば、
輸入し、走行することが認められるという、
相反する不思議な取り決めもある。
(その点、日本は意外なことに左ハンドルの
外車を正規ディーラーや平行輸入でお金さ
え払えば新車で買えるので、このあたり、
国によって考え方に違いがあるのは面白い
ところではある・・・
まぁ、これを意地悪く考察すると、
日本が市場として小さかった大正・昭和前
期頃に参入したアメリカをはじめとする右
側通行(左ハンドル)国のメーカーたちが少
しの台数しか売れない(儲からない)極東の
左側通行国に向けてなど、わざわざ右ハン
ドルの車をつくろうとしかったことや、
そんな少ない台数では交通障害になる程の
問題にもならなかっただろう事情と、
その後に自動車大国となってからも海外の
圧力に屈して制度が改善(改悪?)されなか
ったという経緯での産物だったのでは?と
考えられなくもない・・・。
・・・まあ、それはいいとして、
この辺りでもう、ピンと来たかと思うが、
このことから2022年現在で言うところの
25年前、すなわち1997年(平成9年)以前に
製造登録された日本車は、その殆んどがア
メリカへ輸送し登録、走行が可能となった。
話が長くなったが、
これがタイトルにもある、
俗に言われる『25年ルール』とい
うものだが、
この時期と言えば日本は弾けていたにせよ
、バブル期の余韻がまだ残る時代だったか
らまだまだ魅力的なクルマが国内で発表さ
れていた時代でアメリカのクルマ好きたち
は、安いし、故障が少ないということに加
え、その存在は知りつつも、見たことがな
いバブル期の日本国内のみで発売されてい
た、所謂JDM(Japanese Domestic Market)
カーに乗ることが晴れて可能となったこと
で、挙って日本に渡り目を付けていたそれ
らをここぞとばかりに買い漁りに来ている
わけだ。
では、具体的に日本のみで発売されていた
(アメリカに輸出されなかった)日本車で人
気のある車種として思い浮かぶ代表格のひ
とつを挙げると・・・
現在、
世界中で発売されている【NISSAN GT-R】
・・・の先祖として認識されている、
