『最近両親と出掛けていないな』と思い、
二人が行きたいと以前言っていた少し離れ
た山間にある寺に『参拝に行こう』と言っ
て連れ出した。
連日の暑さも少し和らぎ、過ごしやすくな
ったことと、お盆の間は猛暑の中でずっと
稲刈りをして疲れていたであろう高齢の二
人には無理なく連れ出せる陽気だろうと思
ったのが理由でもある。
移動中の車内では両親と絶えず会話していた。

その内容は別にいつも隣の母屋で暮らして
いて始終顔を会わしていることもあり特別
目新しいとか、深刻な話題ということもな
く、ただ良くある世間話で終始した。
そうしているうちにやがて目的地に到着し、
クルマを降りた。

帰路の車内で揺られる二人を見ていたら、
もう少し共にドライブしたくなってきて
かつて親父が言っていたのを真似て、
『ちょっと遠回りして帰らないか?』と言
った。
その時の親父とお袋の笑顔・・・