日産180SXのCMとして使われたヴァニラ・ファッジの『You Keep Me Hanging On』は、言わずと知れた、シュープリームスが歌った曲のカバー。
彼らの重く、泥臭く、厚い音世界はサイケデリック・シンフォニック・ロックの真骨頂と言えるだろう。
自分が男だからそう思うのかも知れないが、歌詞の内容からして、彼らが歌った方が僕にはしっくりくるものがある。
人の心を弄ぶような奴はいつの時代にもいるのは解っているのだが、そんな奴は消えろと言いたい一方で、不器用な自分は要領のいい人間に一生なれないと解っているから、そんな意味でもこの曲には共感できる。
CMについてだが、姉妹車である同社のスペシャリティーカー、シルビアのスタイルがライバルを駆逐すべく、同社の社運を賭けたと言ってもいい新しいアプローチで考えられた、新時代の到来を感じさせるクーペで、このカテゴリーの定番だった格納式ヘッドライトを固定式とし、流麗な2ドアノッチバッククーペのスタイルで構成されていた。
そして曲がチークタイムの定番と言われたプロコル・ハルムの『A Whiter Shade of Pale(青い影)』で『男と女』を強く意識した演出。
一方の180SXはシルビアのヘッドライトが他国の基準をクリアしないことから、輸出向けへの対応車として企画しされた。
固定式に対してリトラクタブル(格納式)ヘッドライトが採用され、3ドアハッチバッククーペという、世界的に当時のカテゴリーでは定番のスタイルを踏襲し、
(ちなみに、シルビアの顔面を180SXにすげ替えた俗称『ワンビア』が海外でのノッチバッククーペ仕様としてカタログモデルで存在する)
CMの方は人を登場させず、クルマを魅せることに特化し硬派な演出となっていた。
(当時はこういうクルマが飛ぶように売れて儲かっていたから、顔つきを変えるなんて芸当も出来たのだろう・・・)
しかし、それぞれのキャラクターを明確にすることでアンチシルビア層の購買意欲を掻き立ててくれたのは事実。
写真は僕の当時の愛車。
(ちなみに僕は予算が厳しく『Type - Ⅱ』にしたけど)
新車で買ったと言うのもあってドリフトやゼロヨンも殆んどせずに大切に乗っていたのだが、購入から10年後、高潮で水没してあえなく永遠の別れとなったのが最後の思い出・・・。
(ビートは別の場所に置いていたから難を逃れた)
走りは良かったが、ノーマルのSR20DETエンジンはモッサリした吹け上がりだったのを思い出す。
そのせいでもないとは思うが、数年前には同社の電気自動車にこんな風にコケにされてたのが悲しかった・・・