ストックオプション契約の内容を税制非適格から税制適格に変更した場合 | 【資産1億円以上の社長専門】財産防衛コンサルタント@たかゆき

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【照会要旨】

 A社のストックオプション契約には、1年間の権利行使価額の上限を1,200万円とするなど租税特別措置法第29条の2第1項《特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等》の要件(以下「税制適格要件」といいます。)を満たす契約と、2年間の権利行使価額の上限がない契約(以下「税制非適格ストックオプション契約」といいます。)があり、付与対象者とされた取締役等がいずれかを選択できるようになっています。
 取締役Bは、税制非適格ストックオプション契約を締結していましたが、権利行使前にその契約内容を、年間の権利行使価額の上限を1,200万円とするなど税制適格要件を満たすように変更する契約を締結し、その変更後の契約に従った権利行使によりA社株式を取得しました。この場合、租税特別措置法第29条の2の規定は適用されますか。

【回答要旨】

 租税特別措置法第29条の2の規定は適用されませんので、株式の取得による経済的利益を非課税とすることはできません。

 租税特別措置法第29条の2第1項は、「特定新株予約権等」をその契約に従って行使することにより、その特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には、その株式の取得に係る経済的利益については、所得税を課さないこととしています。
  この「特定新株予約権等」とは、付与決議に基づき株式会社と取締役等との間に締結された契約により与えられた新株予約権等で、その新株予約権等に係る契約において租税特別措置法第29条の2第1項各号に掲げる一定の要件が定められているものをいいますので、新株予約権等を与えられた当初の付与契約において、一定の要件を定められていなければならないと解されます。
  したがって、新株予約権等を与えられた当初の付与契約が税制適格要件を満たさないものについては、権利行使前に契約内容を変更して税制適格要件を満たすものにしたとしても、租税特別措置法第29条の2の規定を適用して、株式の取得による経済的利益を非課税とすることはできません。