夜の光 (新潮文庫)/坂木 司
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約束は交わさない。別れは引きずらない。大事なのは、自分に課せられた任務を遂行すること。正体を隠しながら送る生活の中、出会う特別な仲間たち。天文部での活動を隠れ蓑に、今日も彼らは夜を駆ける。ゆるい部活、ぬるい顧問、クールな関係。ただ、手に持ったコーヒーだけが熱く、濃い。未来というミッションを胸に、戦場で戦うスパイたちの活躍を描く。オフビートな青春小説。


…を読みました。

坂木氏は登場人物はみんないい人ばかり。そのいい人ばかりの世界でぬくぬくとした人間ドラマを繰り広げるってイメージだったんですが、それが破られたのは前作の「短劇」。それを読んだ時、「おお!ブラック坂木があらわれた!」って思ったものです。かなりブラックなテイストのショートショート集。(ブログの記事にはしてないです)

そして今作。表紙、タイトル、あらすじを読む限り、おそらく以前の坂木氏な作品なんだろうと思っていましたが、良い意味で裏切られました。

月に一度の活動に顔を出すというゆるい条件が魅力で集まった、天文にはまったくといっていいほど興味がない4人。普段の生活でもほとんど拘わらないが、それぞれスパイとして日々のミッションを続けている。

ミッションというのは言わばそれぞれの悩み。それを乗り越えて自分の目標経と到達するためのミッション。

そういう意味では青春小説だろうけど、この4人の距離感が絶妙で押し付けがましくもなく好ましい。あらすじのオフビートという表現が腑に落ちる感じ。

オススメな連作短編です。



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