
過ぎ去りし日々に
祈りを
継ぐならば、
逼塞する
血管にも似た
悄望などけっして顧みず、
夢、
語るに落ちた敗残の身に、
茄子紺色の雲間から
上弦の月が
蒼白に挨拶しても、
粉雪はいつまでも舞いおりて、
威すごとき
風にさらわれた
しずり雪が吹き過ぎる。
心胆ただ寒く、
意気は萎(な)え、
矜持それでもけわしく、
いずくんぞ寛恕たるゆとりもなく、
往くまでの焦燥もない、
拉(ひし)がれた挫折を背負いながら、
わたしは
もくもくと
歩いておりました。
乾燥しない夜は、
薄明かりの蝋燭の火を灯し、
垢にまみれた燐寸売りの少女のように、
ささやかな幻に浮世を忘れましょう。
わたしの冬は終わろうとしていますが、
あなたの冬は終わりましたか?
私に吹く風は凪ぎましたが、
あなたに吹く風は凪ぎましたか?
わたしの祈りはとても叶わないけれど、
あなたの祈りはかないましたか?
わたしの指はまだ凍えたままですが、
あなたの手もまだ凍えていますか?
あなたが
こんなわたしにそそいでくれた慈しみを、
いまこそお返ししましょうね。
白い舗道、
ましろい妖精のような冬木立、
あの交差点を曲がって後少し、
さぁ、
つかんで下さい、
ポケットに入れっぱなしだった
手と、
こころを。