セックス


不完全な我々は
不完全な方法でしか
互いを理解できない

相手を傷つけて
相手から傷ついて

ようやく互いを理解できる

あなたの温もりこそ真実
あなたの手先こそたより

言葉がある世界で
言葉が要らない世界で


不完全な我々は
薄い膜に隔たって話す

この炎が消えるまで

<雨と似ているもの>

.
雨と恋は似ているよ
いきなり訪れて
大地と私を濡らすから


雨と別れは似ているよ
止んでからは
大地と涙には時間が要るから

でも、もはや雨は止んで
私の恋も未練も
乾いてしまったよ

<視線>

肉体を舐めてるような目つき
素肌を触ってるような笑み


たまらない恥辱の前で
肉体と欲情を晒されて

裸になってしまった私は
死を選ぶしかない

これ以上耐えられない
私は死を選ぶしかない

<出会い、別れ、苦痛>

出会いは単純な理由
別れは複雑な理由
苦痛は矛盾な理由


出会い、別れ、苦痛


それぞれ異なる理由で
私を輝かせて
私を褪せさせて
私を苦しめて

弄んでるよ

<地獄>


切り傷より刺し傷
刺し傷より切り傷


悪鬼の我々は
耐えられる痛みが違う


だから
己が行くべき有限地獄
己がいるべき有限地獄


自らが選ぼう

どこでも地獄である
この残酷な世の中で


せめて有限地獄を

自ら選ぼう
安らかなる死まで

<神様>

神様、返してください
灰色の変哲もない日々
鼠色のくだらない時間


毎朝の柔らかい日差しを

真夜中の安らげた眠りを

血まみれの手を
業火で焚きますから
ステュクスの前で
更生を誓いますから


すべてを
返してください

<私が愛した人, 私を愛した人>

私が愛した人

私を愛した人

最後は別れなのだ

会いは相となり
相は愛となったが
愛は相変わってしまう

私が愛した人
私を愛した人

道はどうであれ
その果は別れなのだ

では、何を選べば良いだろう

マフラーは何もやれなかった 


凍えた感情を温めず
項のキス痕も隠せず
なんの役割も果たさず

何気ない視線と手振りで
ゴミ箱に捨てられる

そして私たちの赤糸も
ただの縫い目となる

君への愛も
そのままゴミ箱に捨てられる

<ノルウェイの森>

・・
・・・
ねえ、渡辺くん...
私のこと忘れないでくれる?

・・
いつ治るか分からない
病弱で衰弱な私だけれど

・・
それでも時々
思い出してくれる?

・・
・・・
ねえ、渡辺くん
キズキは私の世界の全てだったわ

・・
当たり前の世界が
当たり前ではなくなった世界

・・
これから一体
どうやって生きていけばいいの?

・・
・・・
ねえ、渡辺くん
渡辺くんは幸せになってほしいの

・・
口でしかできない
濡らすこともできない私よ

・・
だからもういいわ
誰かを抱いても愛して

・・
・・・
ねえ、渡辺くん
今までありがとう

・・
さよなら

「性欲」

未練は肉体か

この未練は性欲か

今の未練は正常か

君への遠い愛は

肉体の触れ合いだけなのか


この未練は正常か

今の未練は正常か

いや

最初から異常だったかも