どうも、お久しぶりです。
久々に描きたい内容ができたので書きつぶしたいとおもいます。
皆さんはJリーグの存在は知らない人はいないと思います。
ただここ数年、日本のプロサッカーリーグであるそのJリーグを捩り、"税"リーグという言葉が注目されるようになりました。
理由は色々あると思いますが、一番の要因としては、サッカーが他のスポーツ(ここでは)と比較して税金の使い方の割に合わないことが注目され始めたからと思われますが、発端は某最北端五大ドームを本拠地としていたプロ野球チームが新本拠地に移したことで、同じところを本拠地としていたサッカークラブの動員その他諸々と比較され始めたことが要因となっています。
では、"税"リーグはどこから来たのか、実は、Jリーグ開幕前夜の90年代初期から既に始まっていたのです。
その1~Jリーグ開幕に向けて競技場の規格をアップデート&新設~
時代は昭和から平成に変わった頃のJSL(Jリーグの前身)をプロ化するに当たり、スタジアムを今までの既存のスタジアムよりも大きくして欲しいということを求めるわけです。この頃のサッカースタジアムや陸上競技場は1万人に満たない規格のものが多く、Jリーグを開幕させるに辺りその規格を設けました。これにより、Jリーグの開幕する1993年までに最初の10クラブ(俗に言うオリジナル10)の本拠地全てのスタジアムが増築、ものによっては新築されるということになりました。例えば、横浜マリノスと横浜フリューゲルス(後者は1998年にマリノスと合併という形で消滅)の本拠地であった三ツ沢球技場は横浜市の所有ですから、増築にあたり市の税金が投入されることになります。もっと極端な例は鹿島アントラーズの本拠地であるカシマサッカースタジアムで、何と1993年の開幕までに急ピッチ(約1年とちょっと)で規定を満たすサッカー専用スタジアムを作り上げることになったのです。この専用スタジアムを作り上げることを条件にオリジナル10に入り、しかも現在まで2部(J2)に落ちたことがないというのが驚きです。因みにスタジアムの建設に掛かった費用は約82億円で、しかも当時は市ではなく市制施行前の鹿島町(施行は1995年)に建設したのですから、今だったら物凄い総スカンを食らっていたことでしょう。時代の勢い云々は置いといて、Jリーグの開幕を前に、既に"税"リーグは動き出していたのです。
参照
因みに1992年3月にJSLを開幕、その後広島でのアジアカップを挟んでJリーグとしての記念すべき最初の大会(プレ大会)であるナビスコカップ1992が開催されており、上記の通り本拠地スタジアムの大半が増築中だったので増築予定の無かった他のスタジアムを主に使用していました。
参照
そんなこんなで各スタジアムの増築、新設工事が終わった1993年5月にJリーグが開幕、もっとも、この当時からメディアや「野球なんて古臭い」「これからはJリーグだ」と騒ぎ立てていたようで、開幕戦が行われた旧国立競技場はともかく決して大きくない他のスタジアムは連日満員となりました。Jリーグブームの幕開けです。もっとも上記の鹿島のサッカースタジアムでの開幕ゲームは無料招待券(もうこの頃からかい)を配布しても埋まらなかったですが、蓋を開けてみればそのゲームでW杯3度出場したブラジルのスーパースター"ジーコ"がハットトリックを決めるとこれが話題となり次第に上向きとなるわけです。連日の熱戦にリーグ戦だけで延べ約320万人を動員、入りきらなかった分も含めると更に需要があったことでしょう。これにより更に増築工事(川崎や清水など)が進み、翌年からのJリーグクラブ拡大で更に増築工事が進むわけです。その度に所有者である自治体には税金が投入されるわけです(例外は1994年から参入したジュビロ磐田の本拠地ヤマハスタジアムとその翌年から参入した柏レイソルの本拠地日立台くらい)。ただ、1996年(この年からチーム拡張の影響もあり1シーズン制に変更、代わりにナビスコカップ試合増加)から本格的にJリーグの観客がジリ貧に陥るようになります。この年のナビスコカップの決勝(清水VS当時のV川崎)が3万人も入らなかったのは今考えると逆に考えづらいです。
そして、この年ビッグニュースが飛び出ます。2002年のW杯の開催国が日本と韓国に決まったのです。
W杯となると、Jリーグ以上のスタジアム規格が求められるようになります。そうなると開催するスタジアムでは仮設席含めて4万人規模のスタジアム建設が求められるわけです。それにあたって既に1998年の国体にあたって建設が始まっていた横浜国際総合競技場をはじめ、南から大分、神戸、豊田、袋井、調布、埼玉、新潟、利府、そして今回大きな問題となっている札幌などで新築されました。大阪、上記の鹿島でも増築工事が行われましたが、大きなスタジアムとなるとそれだけ大きな金額、しかも民間の資金ではなく自治体の税金が投入されるわけですから、"税"リーグという言葉がなくとも、"税"リーグが既に肥大化して来たわけです。
その3~W杯開催と大規模スタジアムの行方~
こうして上記の"第二次スタジアム建設ラッシュ"がひと段落し、日韓W杯も終わった2002年、やはり大規模スタジアムのその後の計画性が薄っぺらかったのか、その後の需要に関して模索し始めます。特に模索していたのが札幌、サッカーだけの需要だけでは確保出来ないことを見据えたのか、野球場としても使えるように作りましたが、各球団の地方行脚の一環では厳しかったのか、"北海道にプロ野球団を誘致する"という方向に持って行ったわけですが、運よく当時巨人と同じ東京ドームを本拠地とし、観客動員数に伸び悩んでいた日本ハムファイターズが手を挙げ、2004年に移転するわけですが、年数が経つにつれて諸問題が出てくるわけですが別の話。
本格的に箱ものとなってしまったのが、静岡の袋井にあるスタジアムと宮城の利府に建設されたスタジアム、いずれも大きな箱の割に中途半端な立地(特に後者は近くに駅がない)しかも両方とも併設された体育館の方が頻繁に使われ、満席に出来るコンサートも数年に1度あるかないかということになってしまい、最終的に"税金の無駄遣い"と結論付けるまでに至ってしまいました。特に屋根付きのスタンドを建設、維持するのに金額が掛かり、高い使用料から使用するのを敬遠する負のスパイラルに陥ってしまったのです。
W杯後も引き続きJリーグの本拠地スタジアムとして使われるスタジアムも例外ではなく、少ない試合数でどれだけ建設費、維持費をペイ出来るか想像するとゾッとします。ましては1999年から本格的にJリーグでも降格制度が出来るようになると降格すれば需要が激減するわけです。よく経済効果と言われますが、ヴィッセル神戸の本拠地であるノエビアスタジアムの側を走る海岸線が国内の地下鉄屈指のジリ貧であること、浦和レッズの本拠地埼玉スタジアムの側が終点で、地下鉄南北線にも直通する埼玉高速鉄道線が長らく6両(最近8両もあるが)だったことを考えるとたかが月数回のサッカーの需要なんてたかが知れているわけです。FC東京と川崎から移転した東京ヴェルディが本拠地に置く味の素スタジアムの最寄である飛田給も普段は各駅停車しか止まりません(試合やコンサートの日は流石に止めますが普段使いという意味で)。私は日本全国多くの場所を旅行してきたわけですが、サッカースタジアムの周囲、特に専用スタジアムの周囲の店の数が少ないことが気がかりでした。鹿島はもちろん、浦和も周辺のバスの本数が少なくてあっとなりました。
もうこの時点で既にスタジアムの建設や改築などで多額の"税"が投入され、それをペイ出来ない状況が多数発生していたのです。
その4~専スタブームとその行方~
というわけで最終章です。
2010年代、各地で国体、あるいはJリーグ開幕などあたって建設されたスタジアムが経年とともに老朽化するわけですが、そこで生まれたのが"わが街にも専スタを"という運動が出来るわけです。特に2019年に新国立競技場が完成した際には専スタでないことが大きなヘイトをサッカーファンが集めていたわけですが、確かに理想は距離感が近い方が良いが、使い勝手はどうなのという意見は私にもありました。しかし地方の専スタには多くの問題点が発生していたのです。建設したは良いが、使用日数が極端に少なく、しかもリーグの格に左右されるというものです。
特に最近問題になっている例として特に挙げられるのが北九州と金沢、前者はクラブがJ3に落ちたこともあり(しかも4部相当のJFLに落ちかけた年もある)駅前という立地を生かし切れていない例によって色々とタイミングが悪かった(降格と地震)こともあり負の意味で注目されるようになり始めました。そして何より大きな注目を浴びるようになったのが、札幌の本拠地問題です。
2016年、当時札幌を本拠地としていたプロ野球の日本ハムが本拠地の移転を発表したのです。当時私は「築20年も経っていないのに何で」と思っていましたが、我慢できないほどの諸問題を抱えていたのです。怪我しやすい芝生と高すぎる使用料の問題が球団に伸し掛かっていたのです。もっとも北海道というのはブランド力で殿様商売しがちなイメージ(あくまでも勝手)ですが、その最たる例だったみたいです。他球場が深い芝生を使うようになったのに対し、札幌は未だにカーペットに文字通り毛が生えたような芝生しか使えず、それにより選手に悪影響を及ぼしていたのです。そこで日本ハムは新たな本拠地と求めて隣町の北広島に2023年シーズンより移転しいい意味でそこでやりたい放題やっています。
一方札幌に残された本拠地とコンサドーレはというと、スタジアム内のテナントが相次いで閉鎖、チームも2024年にJ2降格を喫してしまいます。周辺の店も相次いで閉まり始め、この"税"リーグの問題が表面化し始めたわけです。野球と比べると店も固定ではなくキッチンカーだったり、上記の鹿島なんかは相変わらず最寄り駅が臨時だし(2028年度開業予定の日ハムの本拠地そばの新駅は最初から常設です)、下手したらJリーグが出来てから選手が思うように育たなくなった街もあったりして、静岡みたいに。
最近広島に出来た新たなサッカースタジアム、街中に出来たということで連日満員となっているわけですが、近くに2008年までにあった広島市民球場と比較するとどうなのかなと思う時があるのです。実際、隣接するそごう広島は市民球場が移転してから売上が明確に落ちていたのでシーズン中ホームビジター含めほぼ毎日試合のある野球との違いが明確に出てしまったのかなと思いました。しかも市民球場の後継球場、マツダスタジアムと比べると状況の違いがあるにせよ建設費が3倍掛かったそうで、どうなることやら。
同じ"税"でも比較的自治体に歓迎されているのが多目的アリーナ、2010年代にBリーグが開幕と前後して官民問わず新たなアリーナが建設されています。バスケなら少ない人数でも運営可能ですし、コートにコストがほとんど掛からないという利点もあり、Jリーグが振り返ればBリーグと言われる要因にもなっています。
試合数をこなせてかつキャパも確保でき、観戦に時間を要する野球、実は興行にもっとも向いたスポーツなのかなと思ったり思わなかったりします。野球場は公営も多数ありますが、意外とスケジュールが埋まっていたりするのですよ。外野のグラウンドだけで少年サッカーも可能ですし。
広いスペースを使い、芝生の手入れが大変でそれぞれ多額の費用ばかり掛かって…、要するにサッカーって意外と儲からない、しかも場合によっては負債さえ残してしまうのだなと思いました。会社の先輩に熱烈なサポーターが居るのでこの辺にしますが。