休んでばかりいると身体に緊張感がみなぎってきません。
折しも季節は春…
春眠暁を覚えずではありませんがここらでひとつシャン、とせねばいけませんなぁ
(^-^)
処で貴方は何処からか効果音が聞こえてきそうな位、身体が
「ピリリッ!」
となった経験はありますか? 私には覚えているだけで、過去二度ほどあります。
たった二回? と思われるかもしれませんが、状況として
「その時まではダルダルな身体状態だったものが、それを境に正反対なコンディションへと一変した」
という前提があるとして、鮮烈な記憶として私には二度あるという事です。
いずれも私らしく、食べ物関連の出来事なんですけれどね(笑)。
一度目は二十年以上も昔の学生時代の夏休み。亡父の墓参りついでに
鹿児島→熊本→長崎→雲仙→阿蘇→別府と
一週間以上かけてのドライブ旅行を母親と二人で行った時のことでした。
愛車スズキclubカルタス 1000CC は燃費もそこそこ良く、ぐずらない良い子だったんですが
いかんせん暑い九州でのロングランのこと、熊本を発ちフェリーで長崎入りする頃には私の方がすっかりバテてしまっておりました。
車内ではクーラーも効かせ旅館ホテルでの食事もご馳走ばかり。運転の合間の休憩もしっかりと採っていてその上で尚、襲い来るこの虚脱感――九州侮りがたしの意を強くしておりました。
この日の観光予定だったグラバー園に着き、起伏の多い邸内の様子に辟易しながらも観て廻りましたが途中で堪らずベンチになだれ込むように腰かけました。
お茶を飲んでもコーラを飲んでも纏わりつく疲労感は拭えず、母から何かを問われても“あ~~??”等と生返事しか出来ない状態。ここまで疲れたのは生まれて初めての経験でした。
ふと母が一言。
「おにぎり食べるか?今朝宿で出たご飯の残りを勿体ないから握ってきてん。中に鮭(しゃけ)も入ったぁるで(^-^)」
…あぁそう言えばテーブルのおひつからご飯掬って握ってたなぁ。ふぅ~ん…
ぼんやりと聞きながら小さなクーラーBOXから取り出された“それ”を受け取りました。
何も期待せずただ手の中にあるおにぎりにかぶりつく。
“―――!!?”
こ…これは!!?
身体に電流が走った一瞬でした。もの凄く旨いんです、只の小さな鮭のおにぎりが!
ピリッと効いた塩鮭の辛さが、その滋養と共に瞬く間に全身を駆け巡るような感覚です。
「うっわ何コレむっちゃ旨いわ! なんか生き返る~~!」
そこからはまさに貪るように味わう私でありました。母の機転が私の息を吹き返らせたとも申せましょうか、勿体ない精神もまた侮りがたしといった処でしたね。その後はすっかりと立ち直りお陰で順調な旅を続けてゆく事が出来たのでした。
後々考えてみるとその時の私は、徹底的に塩分不足の状態に陥っていたんでしょう。三度の食事だけでは補えないほどに身体から塩分やミネラル分が抜けきっていたのだと想像します。
ちっぽけなシャケの欠片によってもたらされた私の中での劇的な変化は、旅先の風景よりも尚鮮明な記憶となって未だに心に残っております(笑)。