目次

第一部 催眠とマインド・コントロール
1 マインドコントロールとは何か?
2 催眠によるマインドコントロール
3 催眠と暗殺
4 催眠と記憶操作

第2部 インプラントとマインド・コントロール
5 脳の電気刺激と動物操作
6 脳の電気刺激と人間操作
7 脳送信機とマインドコントロール

第3部 電磁波とマインド・コントロール
8 電磁波とマインドコントロール
9 電磁波兵器
エピローグ
あとがき
参考文献
索引

 

電磁波と人間への干渉調査機関の怪
http://www.asyura2.com/0610/bd46/msg/804.html
 

 兵器への応用

 マイクロ波の聴覚効果を応用した声の送信技術はいろいろな目的のために使うことができるだろう。しかし、声の送信によるマインド・コントロールヘの応用は、あくまでも心理学的な方法であり、これまでに述べてきた脳の電気刺激などのような生理学的な方法とは全くの対照をなしている。ただ、この「声」による心理学的方法が特殊なのは、この技術が一般に知られておらず、「声」を聞いた人間はその「声」がいかなるメカニズムで聞こえてくるのかということをまったく理解できないことにある。「声」を聞く者は、突然聞こえるその言葉に対して、自分が幻聴を聞いているのではないかと戸惑うばかりだ。相談を受ける医療関係者も彼らの話を分裂症の幻聴と判断するしかない。


 「声」のマインド・コントロールを応用する者にとって重要な点は、その仕組みが一般に知られていないことで、この技術に関する情報を極カ抑さえることが必要となる。また、マインド・コントロールのためには「声」そのものが意識して聞こえる必要はない。いわゆるサブリミナルといわれる方法を利用することができる。これは通常の意識ではほとんど聞こえない程度の音量で話しかけ、その人間の潜在意識に語りかけ、それにより影響を与えようとする方法だ。これもマインド・コントロールには非常に有効的な手段だ。また「声」を直接利用して催眠のテクニックを使う方法も考えられる。


 心理学的な応用を別として、このマイグロ波が持つ音効果をさらに純粋に兵器として応用することも考えられよう。その二つの可能性を示そう。パルス波として放射される低レベルのマイクロ波はそのパラメーター(パルス率.幅.強さ)を変化させることにより、音だけでなく別の効果も見つかっている。1962年のフレイは、人間を使った実験をしている時に、被験者が頭の中で叩かれているような感覚(buffeting)や、針で刺すような感覚を体験したと報告している。この効果をさらに増大させるような研究をすれば兵器への応用可能性が十分でてくるだろう。もう一つの可能性はもっと単純で、大音量による兵器である。


 巨大な爆発音を利用した手榴弾型の武器は世界の特殊部隊で使われている。通常は音とともに効果をより上げるために強い光も使われるが、その発生させる音は140から200デシベル程度の大きさだ。飛行機のエンジン音は220デシベルくらいの大きさになる。マイクロ波による音でもこのような大きな音を作ることができればより指向性の高い大音響兵器を作ることが可能となるわけだ。


 1981年、フロリダ州のペンサコーラにあるアメリカ海軍の航空宇宙医学研究所のリチャード・オルセン(Richard G.Olsen)とウェイン・ハマー(Wayne C.Hammer)は脳のモデルを使った次のような実験を行っている。彼らが使用した電磁波は、周波数が1.10ギガヘルツのパルス波で、最大出カが4キロワットと出力が非常に大きなものだった。14マイクロ秒の幅を持つパルスをひとつだけ単独で脳のモデルにあてると、モデルの中にある水中マイクは発生する音をひろうことができる。

 


 ひとつだけのパルスによって生じる音でどんなことがわかるかというと、最初に生まれた波がモデルの一方の壁にぶつかり反射して、また同じ所(マイクがある所)に戻り、また反対側の壁に反射して同じ所に戻る。このように音は脳のモデルの中を何回も反射を繰り返すわけだ。つまり、一回の電磁波のパルスでも音はある一定の時間的周期を持った波となって記録されるわけだ。いわゆる山彦現象であり、その周期に合わせた問隔で次のパルスを送ってやれば、波と波とが合成され、音の強さは単純に考えれば、二倍、三倍の強さとなっていく。


 ペンサコーラの実験ではこの音の増幅を確かめた。ひとつのパルスによってできる音が反射に必要な時間は、50マイクロ秒より少しだけ長いということがわかった。これを周波数で表現すると16キロヘルツ程度ということになる。この周波数で次々とパルス波を送ってやればよいのだ。彼らの実験では3つのパルスしか連続させて送らなかったが、それでもマイクが捉えた音の大きさは、単一のパルスの時の二倍くらいの大きさになった。実際の記録された音の大きさは、100から140デルベルという大きなものだった。これはジェット機の離陸時の音と比較できる程度の音で、さらにパルスを繰り返すことによりこれ以上の大きな音を作ることも可能である。この考え方から音響兵器への応用も12分に可能となるわけだ。


 脳波操作


 マイクロ波の聴覚効果によるマインド・コントロールと兵器への応用はこれくらいにして、の影響を応用したマインド・コントロールを考えてみよう。脳波はドイツのハンス・ベルガー(Hans Berger)により1924年に初めて発見された。(実際に論文が発表されたのは発見から5年も経った1929年のことで、これはあまりにもその発見が意外なもので、心電図を測るのと同じ装置で頭皮から記録されたものが本当に脳波と呼べるものであるかについて発見者本人も疑問を持ったからだ)。ベルガーが発見したのは周波数がおよそ10ヘルツの脳波で、それはアルファ波と呼ばれている。


 脳波はその特徴的な周波数から分類すると、デルタ波(0.5~3.5ヘルツ)、シータ波(4~7ヘルツ)、アルファ波(8~13ヘルツ)、べータ波(14~30ヘルツ)のような順番に並ぶ。この脳波が頭皮の表面によって電気的に観測されるのは、脳内部の脳神経が億単位で同じようなリズムで活動しているためと考えられている。このように電極をつけて電気的に観測された脳波をEEG(electroencephalogram)というが、現在ではこのほかにも脳波を磁気的に観測する方法もある。脳の中の電気の流れが、頭の外部まで及ぶ磁界を生み出しているためだ。これはEEGに対してMEG(magnetoencephalogram)と呼ばれている。このMEGが観測されたのは比較的最近のことである。


 シカゴのイリノイ大学のデービッド・コーエン(David Cohen)が1960年代の末に初めてこの磁界をとらえることに成功した。彼は観測のため、実験室内に観測にとって雑音となる地磁気を遮断する部屋を特別につくるなど、非常に苦労をした。地球の地磁気の強さは0.5ガウス程度のものだが、脳からでている磁界は10億分の1ガウスというとてつもなく小さいものだからだ。70年代になると超伝導体を利用して極めて小さな磁界も計ることのできるSQUID(superconducting quantum interference device)という装置が開発され、比較的容易にMEGを測定することが可能になっている。


 超低周波


 これまで述べてきた電磁波の主役は、周波数がとても高いマイクロ波の領域のものだったが、脳波の周波数に対応する電磁波は周波数が非常に低いため超低周波と呼ばれる。その中でも脳波に対応するものはELF(exttemely low frequency)帯に区分される。これは周波数でいうと3ヘルツから3000ヘルツの電磁波で、波長の長さは100キロメートルから10万キロメートルというすさまじい距離となる。マイクロ波はセンチメートル単位の波長だったが、地球の半径はおよそ6000キロメートルなのでELFは地球規模の波長を持つということになろう。脳波に関してはこのELFが、マイクロ波に代わって主役となる。


 潜水艦との通信


 最初に、この非常に長い波長を持つELF帯の電磁波が実際にどこで使われているかというと、あまり我々の身の回りではなじみが薄いが、軍事的利用として地上の基地局と潜水艦との通信に使われている。これは波長が極端に長いために海水に電磁波が反射、吸収されることなく、海中深く潜航する潜水艦との通信が可能となるためだ。バイオ・テレメトリの章で紹介した水中動物のイルカやカメにつけられた送信機は、100キロヘルツ以下の電磁波を使っていたが、潜水艦との通信の場合はこの1000分の1より低い周波数を使うことになる。


 潜水艦との通信にELF帯の電磁波を使うという考えは1950年代の後半にアメリカで生まれ、そして実際のアンテナを持った実験施設は1969年にウィスコンシン州のクラム・レーク(Clam Lake)とパう場所に作られている(ここで使用された周波数は76ヘルツであった)。


 「地球の脳波」


 しかし、実は我々が住むこの地球には人間が生活を始める前からELF帯の電磁波が存在していた。それは「地球の脳波」とも呼ばれる地球が固有に持っている電磁波のことだ。地球の表面から100キロメートル単位で上空に向かうと、電子やイオンが多く存在している電離層と呼ばれる部分がいくつかあり、これらを地表に近い方からD層、E層、F層などと呼んでいる。地上から上空に向かう電波はこの電離層と地表との反射を繰り返して遠方まで進んでいくことはよく知られている。そして、この特定の大きさを持つ電離層と地表との間の空間が、ある周波数の電磁波と共鳴を起こすという現象が起きる。


 大きな鐘がある特定の周波数の音で共鳴するように、地球も電離層を持つことにより、ある特定の周波数の電磁波がその空間で共鳴をしているのだ。地球はその元となる電磁波のエネルギーを雷の放電などによって供給している。これは1952年にドイツのシューマン(W.O.Scumann)によって理論的に予測され、その10年後にアメリカの研究者たちによって実測されている。シューマン共鳴(Schumann resonance)と呼ばれるこの電磁波がELF帯の電磁波であり、主要な周波数が8ヘルツとなっている。それが人間の脳波の代表的なアルファ波に一致することから「地球の脳波」とも呼ばれるわけだ。


 実際、地球の長い歴史の中で、この「地球の脳波」が生物の進化にある役割を果たしてきた可能性は否定することができない。人間の脳波も「地球の脳波」が作りだしたという可能性もあるのかもしれない(この理論を飛躍させていくと、人間は地球によって、さらにそれをとりまく宇宙の環境によってマインド・コントロールされているということもできる)。


 ウッドペッカー


 ELFによる脳波の影響の話に入る前に、もうひとつのモスクワ・シグナル事件とも呼ぶべきものを紹介しておこう。それは1976年7月4日、アメリカ独立200周年記念日に始まる。この日から、アメリカをはじめとする西側諸国はソビエトからの思いもかけない「プレゼント」を受け取り困惑する。突然、ソ運国内から、それまで観測されたことのないものすごい強さの電波を受け取ったのだ。そのあまりにも強い電波のためイギリスのBBCや世界のアマチュア無線をはじめ、その周波数帯を使っていた放送局はすべて強い干渉を受けた。


 機関銃のようなシグナルが受信機にはいり、そのためこの送信はウッドペッカー(キツツキ)とも呼ばれた。どうやら送信はバルチック海などソ運国内の数ヵ所の送信所から送られてきているものらしい。当時の世界最大の放送局がソ連国内に一度にいくつも誕生したことになる。確かにその出力は異常だった。イギリスでは夜になると、その強い電波のために夜空に青い発光現象やオーロラ現象も観測され、それにともなうハミング音さえも聞こえるほどだった。電磁波の周波数は3メガから18メガヘルツまでの間で何種類かが使用されたが、もっとも特徴的なのはウッドペッカーと呼ばれるようにELF帯周波数のパルス波にそれが変調されていたことだった。


 またアメリカ側はソ連の意図に頭を悩ます。ELF版モスクワ・シグナルの謎というわけだ。パルス波率(一秒間に繰り返されるパルスの数)は5から26、主に10ヘルツに集中しており、脳波の周波数に一致している。アメリカの一部ではこれが原因なのか、頭痛、吐き気、不眠症、倦怠感、耳鳴りなどの訴えが集中し注目された。ウッドペッカーは脳波を狙ったマインド・コントロール兵器なのだろうか?実際の目的はもっと軍事的なもので、地球規模のおそらく大陸間弾道弾を探知するためのレーダー波であると推測されているが、マインド・コントロール説が生まれるのも理由がないわけでもなかった。


 カナダのプハリッチ(Andrija Puharich)は、実際この説を裏付けする実験を行い、その結果を報告書にして提出している。その報告書はアメリカ政府によりすぐさま極秘文書扱いに区分されたという。


 超低周波による脳波操作


 電磁波を使ってELF(低周波数)を利用するには3つの方法がある。そのどれも脳波に影響を与えるように応用できる。


 (一)ELF帯の周波数の電磁波を使う。

 (二)ELF帯の周波数のパルス率の電磁波を使う。

 (三)ELF帯の周波数変調をした電磁波を使う。


 最初の方法は最も直接的なELF応用の方法で、超低周波の電磁波をそのまま利用するものだ。例えば潜水艦の通信に使う電磁波は、ELF帯の電磁波だ。しかし潜水艦通信では70ヘルツくらいの周波数なので脳波への影響はそんなに大きくないと考えられている。アメリカ海軍がウィスコンシン州に実験施設を作り、ELF波による海中との通信の有効性を証明してから、サンギン計画(Project Sangine)という名前で本格的な実施に向けた計画が開始された。しかし、ELFの通信には重大な問題がある。それは波長が極端に長いために、それに対応したアンナテを作ろうとするとその長さは何千キロメートルとなってしまうのだ。当初の案によると、このアンテナの長さは4000キロメートルにも及び、そのケーブルは地中に埋められてつくられる予定だった。


 ところがこの計画に対して住民運動が起きた。施設ができればソ連の大陸間弾道ミサイルの格好のターゲットにされるという恐怖、さらに広大な地域が大出力の電波による影響を受けるのではないかと心配したのだ。このため大規模アンテナの建設は進まず、海軍は何回も委員会を開き、研究者による調査を実施して通信施設が与える生体的影響の安全性を確認する必要があった。そこでのひとつの結論が、そのプロジェクトの周波数では人間や家畜への影響は見られないものの、脳波の周波数に合わせた0.1から30ヘルツの電磁波の場合だと脳生理学的にも行動学的にも影響がでるというものだった。


 いずれにせよ、波長が極端に長いELF波そのものを使って脳に影響を与える方法は、アンテナの面からみてあまりにも問題がある。サンギン計画は結局、カーター大統領の時代に放棄され、そしてレーガン大統領によってまた復活されるという複雑な道をたどる。しかし、80年代に再開された計画では、アンテナの大きさは当初の計画と比べると十分の一程度に縮小せざるを得なくなり、その性能もかなりの低下を余儀なくされている。


 低周波パルス


 ELF帯の波長を持った電磁波を使うとなると施設が大変なので、ELF利用には別の方法を考える必要がある。そのひとつがより高い周波数の電磁波をELFの周波数でパルス化することだ。例えば1メガヘルツの電磁波の送信機のオンとオフを一秒間に10回繰り返せばよい。ウッドペッカーがその好例だ。この方法を採用すれば通常の送信機とアンテナでも脳波に合わせた信号が送れる。この実験は1970年にカルフォルニア大学ロサンゼルス校のロス・アディ(W.Ross Ady)をはじめとするグループによって行われた。パンドラ計画を行ったDARPAもこの研究に助成金を与えている。


 彼らはサルに時間感覚に関する学習を行い、脳波に合わせてパルスを送る電界の中にサルを置いた時に、サルの学習した行動と脳波にどのような変化洲生じるかを調べた。実験の対象となったサルは目の前にあるパネルにあるスイッチを5秒間の間隔で繰り返して押すと、その度にジュースが与えられる。長い期間この練習をして学習をしたサルは、かなりの正確さ(70~80%)でこの行為を続けることができる。パルス波はこのサルの時間的な反応にどのような影響を与えるだろうかという実験であった。


 実験は7ヘルツと10ヘルツの2種類のパルス波で行われたが、7ヘルツの場合にはそれまで覚えた時問の間隔に狂いが生じ(0.4秒以上反応が速まった)、また脳波についてはどちらの周波数の場合も脳の海馬にあった電極から、パルス周波数に対応した脳波周波数の増大が観測された。パルス波が脳波を捉え、増幅させたのだ。この現象はエントレインメント(entrainment、引き込み現象)と呼ばれる。電磁波が脳波と共振して増幅現象が起きたのだといえる。しかし、この現象の実際のメカニズムはまだ解明ざれてはいない。


低周波変調


 高い周波数の電磁波を使って、低い周波数(ELF)の効果を生み出す別の方法がある。それは使用する電磁波自体をELFの低い周波数でパルスさせるのではなく、その電磁波の送信は続けながら、その波の大きさ(振幅)をELFの周波数で変化させてやる方法だ。これはいわゆる振幅変調(am)というもので、一般にAMと呼ばれる。高い周波数の電磁波が、ELFの信号を乗せて運ぶので、高い周波数の電磁波は搬送波、英語では単にキャリア(carrier)と呼ばれている。UCLAのアデイを中心とする研究者グループは、この実験にも成功している。今度の実験ではネコを使い、145メガヘルツの電磁波をネコの脳波に合わせて1ヘルツから24ヘルツに変調し、一ミリワット/平方センチメートルの強さで照射した。


 ネコの脳波はやはり電磁波による引き込み現象を起こし、変調周波数に見合った周波数の脳波が増大した。この実験で面白いのは、脳は実際に照射されている高い周波数の電磁波に対して反応を起こしているのではなく、その周波数に乗せられたELF波に反応しているということだ。脳は振幅変調された情報を解読(復調)する機能を持っていることになる。またこれも理論家にとっては難しい問題だ。理論はとにかく、このような方法をとれば脳波を電磁波を使って自由に操作する可能性があることが分かってきた。そこでさらに欲張りなことが模索されるようになる。

 


(引用終わり)

 


マインド・コントロールの歴史と極秘にされた人体実験 

マインド・コントロールの歴史と極秘にされた人体実験Ⅱ 

 

マインド・コントロールの歴史と極秘にされた人体実験Ⅲ 

 

 

コメント:非常に興味深い本です。

皆さんも、機会があれば読んでみてください。

 

 

 

補足資料


精神侵略技術を考慮した新しい精神病の診断基準の必要性について

 

マインドコントロール隠蔽事実 10ページ要約秘密マインドコントロール計画

 

ヒトラーの「究極兵器」と「マインド・コントロール計画」

 
 

 

もくじ