緊急放流すれば下流域で河川の氾濫や堤防決壊が生じるかもしれない。
しかし緊急放流しなければダム決壊が生じるかもしれない。

どちらを選んでも地獄であり、それでもダム決壊を避けるために選ばざるを得ないのが緊急放流だ。」

「河川の弱点とは、川幅が急に狭くなったり、支流が合流したり、屈曲がきつくなったりすることで、水量が多くなったり水の流れが悪くなったりする地点だ。
机上の論通りに河川の水位を抑えることができたとしても、河川の弱点のところで堤防決壊を招いてしまうことが多い。」

橋下徹氏の政治信条には賛同できないが、彼の洞察力、伝える力は脱帽ものだ。

洞察力(裏読みする力)なら引けを取らない自信?があるのだが、
(最難間の司法試験を突破した頭脳明晰の弁護士さんに及ぶはずもないが)

相手のコートを脱がせる〝太陽〟ではなく、コートを重ね着させてしまう〝北風〟の私。
伝えたい事を、どう相手に伝えるか? 聞きたくない痛い話を素直に聞いていただくには・・
イソップ寓話の「北風と太陽」の話で本当に学ぶべき教訓。ウィキペディアで消された帽子の話

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 Exciteニュース・プレジデントオンラインより
橋下徹「八ッ場ダムは本当に機能するのか」
【八ッ場ダムが、今回、しっかりと水を貯めて、利根川水系の堤防決壊や氾濫を防いだ! ダムのおかげだ! やっぱりダムが必要だったんだ! という声が上がっている。

しかし、ここはしっかりとした検証が必要だ。
というのは、八ッ場ダムは来春の本格運用に備えて、現在試験運用段階だった。

そのとき八ッ場ダムは、ある意味カラカラの状態だった。
もし通常の水位だったら、今回ほど水を貯めることができたのか。もしかすると水を貯めきることができずに緊急放流をしなければならなかったのか。つまり、今回はたまたまカラカラの状態の試験運用段階だったから水を貯めることができたのか。

■西日本豪雨では死者も出た「緊急放流」の危険性

今回、6カ所のダムで緊急放流が行われたが、この緊急放流というのが下流域の水害を招くリスクが一番高く、ダムの最大の欠陥でもある。
昨年2018年7月の西日本豪雨。愛媛県の西予市の野村ダム、大洲市の鹿野川ダムで緊急放流が行われて下流の肱川流域が氾濫し、5人の死者が出た。

緊急放流すれば下流域で河川の氾濫や堤防決壊が生じる・・

緊急放流すれば下流域で河川の氾濫や堤防決壊が生じるかもしれない。しかし緊急放流しなければダム決壊が生じるかもしれない。どちらを選んでも地獄であり、それでもダム決壊を避けるために選ばざるを得ないのが緊急放流だ。

(略)
ダムは水を貯めるということで、通常は安全・安心を得られる。しかし、限界を超えた時にはリスクが爆発する。

確かに八ッ場ダムは、今回はしっかりと水を貯めてくれた。ただし、それは八ッ場ダムの本来の力なのか、それとも試験運用をやっていたからというたまたまの偶然だったのか。

すなわち通常運用時であれば水を貯めきることができず、やはり緊急放流が必要だったのかの検証が必要になるだろう。八ッ場ダムがあったから助かった! という安易な単純思考ではダメだ。

(略)
■緊急放流の危険をはらむダムよりも河川改修がベター
このようなことを考えると、治水対策としては、ダムを造るよりも、まずは河川をしっかりと整備して、大豪雨であってもきちんと水が流れる河川にしておくことが大原則となる。川幅を広げたり、川底を深くしたり、堤防を強化したりすることだ。
(略)

想定を超える事態においては、リスク爆発の危険がある緊急放流をやらなくてもいい河川改修による治水の方がベターだ。 
河川改修による治水だと水がきちんと流れることを重視するので、想定を超える事態になっても堤防決壊という最悪の事態を避けることができる可能性が高くなる。

■「ダムに頼る治水」の根源的な問題

ダムに頼る治水の危険はここにある。本来、河川の弱点をきちんと整備しなければならないところ、河川のリスクはダムに貯め込むということで、河川の弱点の整備が軽視されてしまう。
河川の弱点とは、川幅が急に狭くなったり、支流が合流したり、屈曲がきつくなったりすることで、水量が多くなったり水の流れが悪くなったりする地点だ。
机上の論通りに河川の水位を抑えることができたとしても、河川の弱点のところで堤防決壊を招いてしまうことが多い。
歴史をたどれば、河川の氾濫箇所、堤防の決壊箇所はだいたい同じ地点になっている。そして堤防の強度というものは客観的に正確に計測できるものではなく、机上の論で計算した水位に抑えたとしても確実に堤防を守れるわけではない。】一部抜粋