50Hzと60Hz、周波数の壁で滞る電力融通も、「直流送電」なら一挙に解決、しかも送電ロスは5%以下。

 北海道から沖縄まで同一市場になり、電力会社間の競争はより激化、経営に重くのしかかるお荷物・原発を抱える(旧)九電力はますます不利な立場に・・

電力自由化、コスト面で原発は不利な立場に!? 10年前の新聞記事より
【電力の自由化で、新規参入の電気事業者の大半は、余剰の石炭火力発電所を利用してコストの安い海外炭を燃やし、安価な電力を供給する。これに対し、既存の電力会社は1基約4000億円と膨大な初期投資のかかる原発を「国策」として建設し、40年間以上の長期にわたる運転で採算をとろうとしている。

 このため「原発は短期的にはコスト面で不利だ」と電力会社は主張。政府は原発の発電コストが1キロワット時当たり5.9円で、石炭火力の同6.5円より安いとしているが、電力会社は「現実的でない」と反発している。使用済み核燃料の再処理など核燃料サイクルを含めるとコスト面や安全面で未知の領域もあり、「原発にこれ以上、手を出したくない」というのが電力会社の本音だ。】


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 スマートジャパンより
2400kmを直流で送る、原発3基分の電力
【大量の電力を遠隔地に送電する新手法が世界各地で広がってきた。「交流」を使うのではなく「直流」で送電するという手法だ。高圧直流送電(HVDC)と呼ばれる技術であり、損失が交流よりも少なくなる。

 スイスABBは、2014年8月、スペインAbengoaに世界最長の直流送電線設備を納入したと発表した*1)。ブラジルに設置した送電線の長さは約2400km。この距離を日本に当てはめると、北海道の北端に位置する稚内市から、沖縄県の那覇市までの距離に相当する。東京から伸ばすとモンゴルまで達する。

 これほど離れた距離で、315万kW(3.15GW)の電力を送ることが可能だ。これは原子炉3基分の最大出力を送電できる能力にほぼ等しい*2)。

*1) 送電線の両端に合計2カ所の直流交流変換所(315万kW)を置き、ブラジル北西部の交流系統に送電するためのHVDC back to back変換所(80万kW)も納入した。
*2) 世界最大の水力発電所「三峡ダム水力発電所」(中国湖北省)から上海近郊までの送電線にも同社の技術が利用されており、300万kWの電力を1100km送電している。

 中  略

全国の系統を結び付ける働きも

 高圧直流送電には長距離送電以外の用途もある。互いに同期していない交流系統同士を接続する、さらには周波数の異なる交流系統同士の接続する際に役立つ。日本国内では50Hzの系統と60Hzの系統を結び付ける周波数変換所で、交流をいったん直流に変換し、再度交流に変換している。例えば中部電力(60Hz)と東京電力(50Hz)の系統を接続する東清水変電所(静岡市清水区)には、30万kWを変換する能力を備えた設備がある。

 周波数変換所の設備能力を早期に200万kW規模で増強する計画(図6)があるものの、海外企業の技術を導入する機運はないようだ。実績のある先進的な技術を取り入れ、信頼性が高く低コストな設備導入を試みるべきではないだろうか。】