人工光合成は原料コストがほぼゼロ! 太陽光は地球に降り注ぐ1時間分だけで、
人類が必要とする1年分に相当するエネルギー量が、二酸化炭素や水も地球に無尽蔵にある。

 この技術が確立されれば、危険で倫理的にも許されない原発が“必要悪”という寝言も言えなくなる。 

 CO2を出す火力発電所より、原発の方がクリーン?だからと言う言い訳も通用しなくなる。

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 DINGINFO TVより
パナソニック、植物並みの効率で有機物を生成する「人工光合成システム」を開発



【パナソニック先端技術研究所のグループは、世界最高の太陽エネルギー変換効率で有機物を生成する
「人工光合成システム」を開発しました。今回実現した、効率0.2%は、バイオマスで使用される植物と同等です。

人工光合成は、植物のように太陽光を使って水と二酸化炭素から酸素と有機物を生成する技術で、
地球温暖化とエネルギー問題を同時に解決できる夢の技術として、現在世界中で研究が行われています。

 中 略

パナソニックは、今後エタノールの生成で植物並みの効率の実現を目指しています。さらに、将来への展望として、工場やプラントなどから排出される二酸化炭素を吸収し、エタノールを生成する人工光合成プラントを稼働させたいとしています。】


 産経ニュースより
人工光合成の研究加速 実用化へ日本が先陣 資源・温暖化で脚光
【植物の光合成のように、太陽光のエネルギーを使って水と二酸化炭素からアルコールなどの有機物を工業的に製造する「人工光合成」の研究が日本で急展開している。鍵となる物質の構造解明や実証実験の成功など世界初の成果が相次ぎ、エネルギー問題や地球温暖化を解決する夢の技術が実現に近づきつつある。

■原料は無尽蔵

 植物は太陽光のエネルギーを利用して光合成を行い、水と二酸化炭素から、でんぷんやブドウ糖を作り出す。これと同じ原理でエネルギー源や化学原料となる有機物を作るのが人工光合成だ。

 地球温暖化は、温室効果をもたらす二酸化炭素が大気中に増えることが原因とされる。二酸化炭素を消費して資源価値のある物質を作れば、温暖化対策への貢献と同時に、枯渇が懸念される化石燃料の代替も可能になる。

 太陽光は地球に降り注ぐ1時間分だけで、人類が必要とする1年分に相当するエネルギー量がある。二酸化炭素や水も地球に無尽蔵にある。人工光合成は原料コストがほぼゼロで、地球規模の問題を一挙に解決できる革新技術として注目されているのだ。

 ■ノーベル賞が機運

 研究の機運を高めたのは2010年にノーベル化学賞を受賞した根岸英一・米パデュー大特別教授だ。受賞直後、「温暖化やエネルギー問題の解決に大きな可能性を秘めた分野だ」と文部科学省に研究支援を要請。受賞理由の金属触媒を使って実現を目指し、プロジェクトを立ち上げた。

 11年4月、大きな成果を挙げたのが大阪市立大の神谷信夫教授のチームだった。

 植物の光合成は(1)太陽光で水を酸素、電子、水素イオンに分解する「明反応」(2)得られた電子、水素イオンに由来するエネルギーで二酸化炭素からでんぷんなどを作る「暗反応」-の2段階で行われる。

 明反応の水分解は、マンガンクラスターという物質が触媒の役割を果たしていることが分かっていた。だがごく微細なため、その構造は長く不明だった。

 そこで神谷教授は大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県)でX線を照射し、原子間の距離が分かるオングストローム(1億分の1センチ)単位の高精度で解析。マンガン4個、カルシウム1個、酸素9個の原子から成る立体構造を世界で初めて突き止めた。

 この成果は、米科学誌サイエンスが同年の10大ニュースに選ぶ画期的な業績となった。マンガンクラスターは人工的に合成できていないが、「似た構造の物質を作れば人工光合成の触媒になり得る」(神谷教授)からだ。世界で開発競争が始まった。

■「植物に勝つ」

 同年9月、トヨタ自動車グループの豊田中央研究所(愛知県)が世界で初めて太陽光と二酸化炭素、水を使った人工光合成の実証実験に成功し、比較的単純な有機化合物のギ酸を作り出した。

 触媒となる酸化チタンの電極で水を分解し、金属錯体と呼ばれる特殊な化合物の電極で有機合成を行うことで実現した。ただ、太陽光エネルギーの変換効率は0・04%で、植物の光合成(0・2%)のわずか5分の1だった。

 だが昨年7月、電機大手のパナソニックが早くも植物と同じ変換効率を達成した。青色LED(発光ダイオード)などに使われる窒化ガリウムの電極と、インジウム系金属の電極の組み合わせでギ酸の高効率生成に成功。四橋聡史・先端技術研究所主幹研究員は「今後は植物に勝ちたい」と話す。

 研究が急ピッチで進展していることを受け、経済産業省も昨年11月、10年間で約150億円を投じるプロジェクトを立ち上げた。16年度末に3%、21年度末に10%の変換効率を目標に掲げている。

 しかし、課題は効率向上だけではない。実用化には燃料電池のエネルギー源となるアルコールや水素、化学原料となるエチレンやオレフィンなど、需要が大きい物質を自在に作る技術が必要だ。

 資源が少ない日本にとって実現すれば意義は大きい。触媒は日本が得意とする分野でもある。四橋氏は「研究はものすごいスピードで進展している。それぞれの物質に最適な触媒を急いで探したい」と意欲を燃やしている。】