東電の株価は「国有化」を嫌気し、244円と前日比11.27%の急落となった。
市場もそろそろ、東電が現状通りの民間企業としての存続が出来ないのではないかと、疑い始めたようだ。
 
 政府への増資によって実質国有化され、東証からの上場廃止が確実になれば、東京電力の実際の価値
(債務超過で実質倒産状態)を反映した株価=ゼロ円に限りなく近い倒産価格になってしまうだろう。

 そうなれば、政府や官僚、産業界に対する、東電の支配力は弱まり、東電の解体、発送伝電分離が実現されるだろう。その前に法的整理という選択肢もあるが。

 いずれにしても、東電や原子力村には大打撃、国民には久々の朗報には違いない。

 それにしても、国からの交付金?支援金
原子力損害賠償法に基づく政府補償分1200億円も含め1兆109億800万円』が特別利益とは?

 この支援金は、貸付金=東電の負債で、特別利益に計上して債務超過を免れたとすれば、明らかな法令違反であり、粉飾決算ということになる。この時点で即刻、上場廃止、法的整理をしなければ、資本主義の精神にも反している。マスコミも、オリンパスや大王製紙だけ責めては片手落ちだろう。

 Responseより
【「3・11」以降、メディアからも集中砲火を浴びているのが福島第1原発の放射線漏れ事故を起こした東京電力。その東電が実質国有化に踏み切る案が急浮上しているという。きょうの毎日が1面トップで大きく報じている。 

記事によると、「政府が東電に少なくとも総額1兆円規模の公的資本を注入する方向で調整に入った」というもの。福島第1原発の事故対応費用の増加などで、13年3月期に東電が債務超過に陥る可能性が高まっているためで、野田政権は年明けにも公的資本注入の方針を示す考えという。

具体的には、2012年6月の定時株主総会で新株を発行する枠である株式授権枠の大幅拡大について承認を得た上で、原子力損害賠償支援機構が東電の新株(優先株)を引き受ける形で来夏の実施を目指すという。また、勝俣恒久会長ら東電の現経営陣の大半を退陣させ、東電の一時、実質国有化に踏み切る構えだそうだ。

ただ、きょうの日経にも東電の西沢俊夫社長のインタビューを掲載。その中で、国からの資本注入を巡っては、「一時的なカンフル剤として資本を受け入れるより、赤字にならない経営基盤を整える方が大切だ」と応えており、国有化には、慎重な姿勢を示している。

事実上の国有化を仕掛ける政府に対し、「解体案」に強く抵抗する東電。双方のせめぎ合いがエスカレートするとみられるが、ライバルのない地域独占の企業だけに、経営破綻した日本航空を再生するようなわけにはいかないだろう。】

 東洋経済ネットより
八方塞がりの東京電力、現実味増す国有化・()・()
【いびつな構造をいつまで維持できるのか。福島第一原発事故で巨額の損害賠償金負担を背負う東京電力。
債務超過を避けるべく政府は8月、原子力損害賠償支援機構法に基づき、賠償金の支払いについて支援機構が必要に応じて資金を貸し出すことになった。

 その効果は2011年4~9月期決算でてきめんに表れている。「支援がなければ厳しい状況に陥っていた」。
11月4日、決算会見で西澤俊夫社長はこう吐露した。実際、国からの交付金を特別利益に計上し、損害賠償費用と相殺したため、特損が1兆759億円に上ったにもかかわらず、最終赤字は6272億円に食い止めた。
通期でも6000億円の最終赤字にとどまるとの予想を出す(図)。
$げんぱつニュース-1

 機構法という“延命装置”を得たことで民間企業として生き残る道筋ができたかにみえる東電。
ところが、その前途は暗雲が立ちこめている。

中略

除染費用は最大48兆円 現行の機構支援に限界

 となれば、その費用も莫大だ。すでに除染が始まっている地域では、「建築材によっては放射性物質が落ちにくいケースもある。除染は10月半ばから始まったが、想定外の例も多く、計画どおりには進んでいない」(福島市政策推進部危機管理室・放射線総合対策室の佐藤三男課長)。環境省は当面の除染費用として11年度2次補正予算予備費、3次補正、12年度概算要求併せて1兆1400億円を見込んでいる。

ただ、除染は長期間に上ると見られ、この費用が拡大することは必至。政府の原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会の委員を務める原子力資料情報室の伴英幸事務局長は「広域除染費用は最大で48兆円にも上る」と試算する。

 今回政府の除染方針では、除染費用は原子力賠償法に基づき、原因となった原子力事業者、すなわち東電が負担することになる。目下、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会では、除染が賠償対象になるか議論が進んでおり、年内にも方針が出ると見通し。これに基づいて東電も総合特別事業計画の中に除染費用を織り込むことになるだろう。

 今期決算でどの程度除染費用を計上するかは未知数。ただ、最大で48兆円ともされる、巨額費用を機構が一時肩代わりすることになれば、東電を存続させる意義が改めて問われかねない。

 こうした中、政府関係者から聞こえてくるのは「東電は法的整理か公的資金の資本注入という選択を迫られる」との声だ。これまでの方針を鑑みると、資本注入による国有化が現実的路線といえる。東電の国有化後、原発事業の国有化や発送電分離議論に再び火がつくとの見方が多い。さらに、「国が責任を持つことになれば、原発再稼働や値上げなどもしやすくなる」(BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリスト)と見る向きもある。

 東電は「資本を受け入れないようにやっていきたい」(西澤社長)と、民間企業としての存続に望みをかける。が、四方八方で費用発生が見込まれる中、今のままの支援体制を続けることは難しくなりつつある。】

東電チャート
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