独立行政法人 産業技術総合研究所HPより
 『土壌中のセシウムを低濃度の酸で抽出することに成功』

【-プルシアンブルーナノ粒子吸着材で回収し放射性廃棄物の大幅な減量化へ-

土壌から酸水溶液でセシウムイオンを抽出し、抽出したセシウムイオンを吸着材で回収
抽出したセシウムイオンはプルシアンブルーナノ粒子吸着材でほぼ全量を回収可能
放射性セシウムに汚染された廃棄土壌などの大幅な減量化に期待

  産総研特別研究員らは、土壌中のセシウムを低濃度の酸水溶液中に抽出する技術を開発した。
抽出したセシウムをプルシアンブルーナノ粒子吸着材で回収することで、放射性廃棄物の総量を減らすことが期待される。

 高濃度の酸を用いて土壌から放射性セシウムを抽出できることは既に知られているが、
取り扱いが難しいことや、抽出した放射性セシウムを吸着材で回収する際の効率が悪い、
酸の再利用が困難でコストが高い、など多くの問題があった。

 今回、土壌の重量に対して用いる酸水溶液の重量比(固液比)を上げ、200 ℃の高温で処理することで、大半のセシウムイオンを低濃度の酸水溶液中に抽出することができた。

 さらに、抽出したセシウムイオンを土壌の1/150の重量のプルシアンブルーナノ粒子吸着材で回収することに成功した。また、土壌からの抽出と、吸着材による回収を組み合わせることで、より効率的に抽出できることも
見いだした。今後、協力企業を募り、実証試験を進めていく予定である。】

 【低濃度の酸水溶液を使用した土壌からの放射性セシウム抽出-回収システムの模式図を図1に示す。
土壌を低濃度の酸水溶液で洗浄して、セシウムイオンを酸水溶液中に脱離させる。

 酸水溶液に抽出されたセシウムイオンは、セシウム吸着材であるプルシアンブルーナノ粒子で回収する。
酸水溶液は低濃度であるため土壌洗浄に再利用できる(図1左)。さらに、この2つの工程を接続することで
連続処理も可能となる。】

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  図1 土壌からの放射性セシウム抽出-回収システムの模式図。(左)バッチ式、(右)連続式。】

  まだ開発段階のようだが、汚染土の体積が1/150になれば、運搬や、その後の処理の効率も上がるだろう。
 次々に、有望な除染技術が開発されている。 後は、一日も早い実用化を願うばかりだ。

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