大手メディアの多くが菅総理の、歴史的〝脱原発依存宣言〟を意図的にスルーする中、菅総理の唐突な発言の裏側を、丁寧に判り易く解説しています。

原発情報さまより
菅総理〝脱原発依存〟経済産省現役官僚が斬る!(動画)

【2011年7月14日のテレビ朝日の報道番組「モーニングバード」に経済産業省官僚の古賀茂明氏が出演。
菅直人首相が脱原発依存を会見で発表したことを受けて、菅首相が唐突に政策や大きな考え方を発表する理由を官僚の視点から説明を行った。

昨日の菅総理会見に関して

玉川:総理が無能だというトーンで行われているんですけど
逆にですよ、唐突にしなければならないという方向の言及があんまりないんです
で、いろんな方に取材して聞いていると「なんかちょっと変だな」って思うところがずっとあるんです
唐突にしなければならない理由
佐賀県知事が何でこのタイミングなんだという、この理由
その部分を今日は是非古賀さんにお聞きしたいです


:古賀さんは現役の官僚でしかも経済産業省ですから まさに担当官庁な訳ですけど、
唐突にしなければいけない理由。根回しが出来ない理由ってなんかあるんですか?

古賀:まず、わたし、経産省を代表してお話しできる立場ではないんですけれども
個人的な・・

玉川:そうですよね。明日で辞めて下さいって言われてるんですよね

古賀:まぁ・・

:その話しはまたあとでしますが、

古賀:要するに今、経産省だけでなく政界財界を含めて原発に大々的に頼って行こうと言う基本方針がりますよね。 それはいろんな形で非常に強い力を持っていて、その中で一つづつ手続きを踏んで合意に持って行こうとやると。

 おそらく電力会社の根回しや経済界の根回しで政治家がどんどん反対の方向に転換していってしまってさぁ、決めるぞと言った時に、多数決を取ったらみんなが「やっぱり原発です」となっている可能が非常に高い。

:国会議員の人達はどういう方法で説得されていくんですか?

古賀:いろんないい方がありますけど、表の世界ではね。
「電力供給はもう停電になりますよ」とか「電力料金が上がりますよ。」「それによって工場はどんどん外に出ていきますよ」「雇用は無くなっちゃいますよ」

それから、裏の話としては
 そんなに直接言われる訳ではないんですが、各地域で電力会社は圧倒的に力が強いんです。
それで、経済界も企業が電力会社にいろんなものを調達してもらっているんですね、買ってもらっている。
 しかも電力会社には競争が無いので基本的にコストをカットするという考えがありませんからものすごくいい商売をやらせてもらっている。

 そうすると電力会社に楯突ける企業というのがいないんですね。 そうすると、各地域の国会議員は電力会社を敵に回すと企業を敵に回すことになる、という意識がとても強くて、非常に恐怖感を持ちます。電力会社に真っ向から向かって行くというのはですね。

 こういう「原発を止めましょう」みたいな話は電力会社にとっては本当に根幹。
自分たちの今までのやり方に対する安置低税としてはもっとも厳しいものを突き付けられるということになりますから

 当然ものすごく反発をして根回しもものすごくやりますし、経済界も電力会社にものすごく依存しているので。
 ですから今は経団連上げてですね方針に反対しているのですねもしこれを一つ一つ段階を追ってやっていこうとなると、途中で結局誰もついてこなくなったって事になってしまうので・・

:会見もできないという事ですね

古賀:はい
 まず先にもう俺は決めたぞと言っちゃって、もちろん反発はものすごく広がりますけれど。
相手の準備が整わないうちに先制攻撃して、既成事実化して無理やり引っ張って行こうという狙いがあるのかなという気がする。

:世論は原発は止めて欲しいと思っている人が多いような気がするんですけれど
永田町とは随分ギャップがあるという感じですか?

古賀:時間がたつにつれてどんどん後ろに戻っている感じがありますよね。
原発事故直後はさすがに「もう原発はムリだろう」と思っていた人が沢山いると思うんです 政治家の中にも、国民の目線とかなり同じところまで降りてきてたと思うんですけれども。

それが今また、すこしずつ、
「そんなこと言ったって電気料金が上がるぞ」とか、「節電とかなんか言ってると海外に企業が行っちゃうぞ」という経済効果、経済を重視する立場。安全よりもですね。

 というのが徐々に、もうわずか数カ月ですけれど、あれだけの事故があった。
「自分たちの安全神話は根底から崩された」っていうそのショックからですね。

 どんどんそのショックが薄れてきて「やっぱり経済だな」って言う方向にどんどん・・
こう、時間が経つにつれて行っていますよね。

 ですから、ま、菅総理としては国民はまだまだ納得していないんですけれど、永田町なり、経済界がどんどん「、やっぱり原発だ」という方向に戻って行くその動きが強まる前に、先に先手を打ちたいという、そういう事じゃないかなと思います。

玉川:僕が聞いている話でも、浜岡原発を止める時あれは金曜日だったんですね。
夜7時の会見だったんですけど、
 
 総理が原発を止めると決めたのはその2時間前だったそうです。だいたい5時位で、金曜日だったんで周辺は「月曜日の発表にしましょうか」という話しもあったらしいんですけど、
枝野さんが「月曜日では潰される」と・・

:土日で変わっちゃう

玉川:土日で変わっちゃうから、もう、金曜日中にやらないとっていうことであの会見になったんですけど、
 
 ポイントはね2日あればひっくり返されちゃうっていうことですよ。今の状況は。
だからそういう風な部分というのが実際あるんじゃないかと私は思っているんですね。

:とすると、国民から見てそれはもうなくしていった方がいいとみんなが思っていても、
実現するには菅さんだけじゃなくていろんな人の支えがなければだめじゃないですか、
どうなんですか?

 今 古賀さんは経済産業省の考え方とはちょっと違うのかもしれないけれど
経済産業省はどういうふうにサポートしていこうと思っているんですか?
サポートしていくんですか?

古賀:
 総理が言ったんですからまずは海江田大臣がそれにしたがって経産省を動かしていく責任があるんですけれども、じゃぁ、経産省の官僚はどういうふうに思うかって言うと、

 真面目な話としては「全然準備が出来てないよね。どうするんだろう」と、今戸惑っている状況だと思うんですね。

 それとともに頭の片隅に、自分達は原子力というものに依存して、老後の生活を含めた生活設計をしているんですね。天下りも含めてですね。

 それが、「これじゃ、全部変えなくちゃいけないよ」と「どうするんだろう」というのが、だんだん頭の中に広がってくる様な状況で、かつ、菅総理には「辞任しろ」と、民主党内でも足を引っ張る動きがあって、「まぁ、多分そんなに長くないんじゃないか」とか、ということは「少し待ってた方がいいな」と、
 
 あんまり簡単に、総理が言ったからじゃぁそっちだと切り替えても、菅総理がいなくなればまた0に戻るかもしれない。

:もどりますか?
菅さんが終わったらもう、原子力の話しっていうのは0.全く元に戻ってしまうんですか?

古賀:あの、戻る可能性。私は高いと思います。今原子力会社の仕組みについて法案が出ていますよね。
 最初は、国民負担を少なくするために私が提言したんですけれども、「株主の責任を問う」とか
あるいは「銀行の債権をカットしたりして4兆5兆国民の負担を小さくしましょうね」って話をした時に、ものすごくそれが広まったんですね。

 ところが、時間が2.3か月経っただけで、もう、自民党は「対案出さないでちょっとした修正で済まそうか」みたいなかたちで、今は、「すべてのツケを国民に回す」という法案がそのまま通っちゃいそうな感じなんです。

それ位、電力会社とか経済界があげて「東京電力を守りましょう」という動きになっているので、

:人間としてはどうだろうと思っている菅直人さんって人が総理大臣でいることが、ひょっとしたら世の中にとってけがの功名になる可能性もあるという事ですか。

:なるほどね

古賀:やりかたはね、、菅さんのやり方には問題があると言われているけれど、ただ、今 なかなか総理が主導権を握る事が出来ない仕組みになっているところが問題だと思うんです】