福井新聞より
【 日本原子力研究開発機構は24日午前4時55分、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で原子炉容器内に昨年8月落下した炉内中継装置(全長約12メートル、重さ約3・3トン)の回収作業を完了したと発表した。装置の点検などを経て今秋までに事故前の正常な状態への復旧を目指す。

 引き抜きは当初、23日午後3時ごろに始まるとみられていたが、収納する容器下部にある筒からアルゴンガスが漏れていると判明。ゴム製の部品が破損しているのが分かり、準備作業を一時中断した。引き抜き開始は同日午後8時50分と大幅にずれ込んだ。約20人の作業員がクレーンを使い作業を開始。10分間に24センチのペースで約8時間かけて徐々に引き上げた。

 同装置は昨年8月、燃料交換を終えて搬出するためにつり下げた際、落下した。2回にわたり回収を試みたが、落下の衝撃で変形し、引き抜けなかった。そのため、「スリーブ」と呼ばれる上ぶたの一部(約3・6トン)と一体で引き抜くことになった。

「次はない」漂う緊張感

 23日午後に始まるとみられた高速増殖炉「もんじゅ」の原子炉容器内に落下した炉内中継装置の回収作業。「失敗は許されない」との思いが日本原子力研究開発機構には強く準備作業を慎重に進めたが、新たに製造した器具の調整に手間取り、作業は大幅にずれ込んだ。

 原子力機構が23日に回収作業を行うと最終決定したのは同日午前2時半。午後3時前後からの引き抜き開始を念頭に、午前7時45分から最終作業に取りかかった。

 器具の取り扱いは、工場で繰り返して習熟したはずだった。しかし、現場は想定していたより狭く、作業は困難を強いられたという。

 公開された作業を取材するためにもんじゅ構内に入った報道陣は約2時間半足止め。近くの展示施設では、遅れている原因をめぐって説明が行われ、原子力機構は「手順書に入っている想定内のこと」と強調した。

 引き抜きを無事終えた上で原子力機構は本年度内の40%出力確認試験の開始を目指してきたが、東京電力福島第1原発事故を受けた安全対策をめぐり、スケジュールの遅れは必至の状況。原子炉容器内に重さ3・3トンの大型構造物が落下し、経験したことがない大掛かりな回収作業に加え、「次はない」という緊張感が現場に重くのしかかった。】

「スリーブ」と呼ばれる上ぶたごと引き抜くある種掟破りの破壊的強行策で、ようやく昨年8月東芝の設計ミス?で原子炉容器内に落下した炉内中継装置を回収することが出来た。
 
 尚この落下事故が原因?で2月14日に装置を現場で担当する燃料環境課長が敦賀市の山中で謎の自殺で亡くなられている。