毎日JPより
 『復興財源に外貨準備を活用せよ』
【東日本大震災からの復興財源をめぐって増税か国債発行かという路線対立にはまり込んでいるが、一刻も早く被災者の苦労を和らげ、日本経済を速やかな回復軌道に乗せるために、まずは日本政府が積み上げた巨額の外貨準備の取り崩しで対応すべきではないか。

 これから震災で失われたインフラや仮設住宅の建設、放射能被害に対する補償などのために緊急に5兆円を超える財源が必要だという。復興のために特別国債を発行する案も提案されているが、結局は国の負債になることについては変わりない。

 まず考えるべきは、国が保有する外貨準備の取り崩しだ。現在、日本の外貨準備は約90兆円に達しており、これは中国についで世界第2位だ(図1、2)。5兆、10兆円の取り崩しは円に対する国際的信用にそれほど大きな影響があるとは思われない。しかも外貨準備の約7割は米国債で運用されており、全く有効に活用されていない。

 そもそも日本のように為替レートを市場に任せていて、外貨建ての国債の発行もない場合、外貨準備は必要ない。安心して使えばよい。

 ただし、日本の外貨準備は大半が米国債なので、これを一度に売却するとさらに円高になってしまうので、目立たぬようにする必要はあろう。

 経常収支はこのところ減少気味だが、それでも10兆円を優に超える黒字を維持している。今回の震災で一時的には輸出が止まるなどの事態が想定されるが、長期的に赤字に転落するような事態は想像されない。多少黒字が減って円安になるようであれば、外貨準備の取り崩しにとってはむしろ好都合だ。】

何故日本が米国債を売れないか?』2009年11月23日 宇佐美 保氏
IEEPAという“経済原爆”のせいだと書かれています。

【「何故日本が米国債を売れないか?」の疑問に対する答えを、1993年7月7日、当時日本経済新聞の論説委員であられた和佐隆弘氏が書かれたコラム「大機小機(経済原爆)」から読み解くことが出来ます。
その一部を、以下に抜粋させて頂きます。
(全文は下に掲げたコピーをご参照下さい)

…… 確か、ブラック・マンデーのあった八七年に、兜町の有能な経営者から米国に「IEEPA」という法律があるのを知っているか、と教えられた。「国際非常時経済権限法」とでも訳したらいいのだろうか。「米国の安全保障、外交政策、経済に異常で重大な脅威が発生した場合」「外国とその国民が有する資産に関して」それを所有したり、取引したり、権利を行使することなどを「調査、規制あるいは禁止」したり「破棄、無効あるいは予防する」とうたっている。
 この法律が成立したのは77年、ドル切り下げというニクソン・ショックから6年後である。
……
 このままでは、IEEPAが適用されるしかないだろうか。これは、いわば“経済原爆”である。とても許せることではない。……

そして、その「経済大国間の国際非常時経済権限」は次のようになっているそうです。

経済大国間の国際非常時経済権限
   一権限が行任される情況一
第202項
(a) 米国の安全保障、外交政策、経済に異常で重大な脅威が、海外の全域あるいは多くの地域で発生した場合、これに対処すべく大統領よる国家非常事態宣言を経て、第203項で大統領に付与された権限が行使される。
   一付与される権限-
第203項
(a)〔1〕大歳領は、自ら定める規定に基いて、第203項に特記された場合とその範囲内において、指示、許可あるいは他の手段を通じて-〔以下のことを〕
(A)調査し、規制しあるいは禁止する。
(i) すべての外国為替取引
(ii) いかなる外国もその国と国民を利する度合いに応じて、各金融機関による直接、間接の信用供与と支払い(を調査、規制または禁止する)。
(iii) 通貨、有価証券の輸出入(を調査、規制または禁止する)。
(B)米国の司法権に属するものが、外国とその国民が有する資産に関して、それを取得、押収あるいは取引きをしたり、権利、権力、特権を行使する場合、これを調査、規制、監視、強要、破棄、無効、予防あるいは禁止することとする。

 このような状態では、日本が米国債(あるいはドル)を売ろうとすれば、「米国の……経済に異常で重大な脅威」となり、このIEEPAにより禁止されてしまい、売り捌けない状態に陥るだけです。

 勿論、日本以上に米国債を有している中国も同じ立場に立っているのですから、中国から米国に戦争を仕掛ける愚を行うとは思えません。

 米国債を多量に購入することは、米国に「人質」を提供して「恭順の意を表す」ということになるのでしょう。

 しかし、この「人質」であるだけで、使うに使えない、又、米国としても「経済原爆」として行使したくない「米国債」を、現在不況に苦しんでいる米国の景気回復に(ひいては日本の景気回復に)役立つように提供して、沖縄の(日本国内の)米軍基地を全て撤退して頂くような鳩山「友愛外交(バラクーユキオ外交)」を私は期待しているのです。】

つまり、原発と言う“原爆もどき”とともに、IEEPAという“経済原爆”もアメリカからありがたく戴いた。
よって、どんなに困ろうとも、アメリカのトラの尾を踏むことは出来無いので、日本の所有するアメリカ国債は、売ることの出来ない、唯の紙切れと云うことらしい。
これでは、日本がアメリカの 『忠実なポチ』 と呼ばれても仕方ない。