原子力資料情報室HPより。
http://cnic.jp/modules/radioactivity/index.php/8.html


【原発事故による放出
発電炉の運転では、ストロンチウムの放射能の放出はほとんどない。問題は重大事故である。炉心が破壊されれば、その中にある大量の放射能が外に放出される。
1986年4月26日に起こった旧ソ連(現、ウクライナ)のチェルノブイリ原発事故では、大量の放射能が放出された。ストロンチウム-90の放出量は、炉内の存在量がほぼ等しいセシウム-137(30.1年)に比べて小さかった。名古屋で採取した大気試料の分析によると、ストロンチウム-90/セシウム-137放射能強度比は0.002~0.02の範囲に分布していた。一方で、発電所周辺または近隣諸国に降下した放射能に含まれるものの放射能強度比は、上の値より高く0.1に達すると報告されている。このようなことは高温の核燃料の中からセシウム-137よりストロンチウム-90が放出されにくいことと放出された放射能の組成が不均一であることを示している。
放出量が少ないとはいえ現在でもその存在は認められ、事故地点の近くでは河川水などのストロンチウム-90による汚染が知られている。】