太田農水相は「事故米の食用転換」を宣言すべし(植草一秀の『知られざる真実』)



 猛毒を含む事故米の不正流通事件の波紋が広がっている。事故米は政府が輸入したもので、政府は食品会社に販売していた。「三笠フーズ」については、昨年1月に告発があったにもかかわらず、問題は表面化しなかった。


「カナダde日本語」様、「晴天とら日和」様が詳細に問題を追跡されているので、是非参照いただきたいが、問題の責任を負っている政府が責任逃れに終始していることは許されない。


舛添厚労相は年金着服問題が表面化した際、「犯人は牢屋に入れる」と啖呵を切ったが、時間が経過すると「再発防止に努める」と発言を変えた。


海上自衛隊のイージス艦「あたご」が漁船「清徳丸」に衝突して乗員2名を死亡させた事件が発生した時、石破防衛相は「再発防止が何よりも大切だ」と述べた。


順序が違うと思う。問題が発生した場合、まず全容解明が求められる。次に適正な責任処理が求められる。問題を処理し終えた段階で再発防止策を検討するのが正しい順序だ。


「再発防止策の検討」は責任問題をうやむやにするための方便である。問題が重大であればなおさら、徹底的な全容解明と厳正な責任処理が、まず求められる。


事故米に含まれた毒性物質は中国の冷凍餃子事件で有名になった「有機リン系殺虫剤メタミホドス」や「カビ毒アフラトキシン」などである。アフラトキシンは強力な急性毒性と発がん性をもつ猛毒である。


猛毒を含む事故米が食用として転売され、給食会社に納入されて高齢者福祉施設や保育所などで使用されていたことが判明した。また、酒造会社がこれらの事故米を原料として酒や焼酎を製造し、製菓会社が事故米を原料にして米菓を製造し、販売していたことも明らかになった。


民間人が猛毒入りの食品を小売店に混入させ、一般消費者が購入して食した場合、重大な刑事事件としての捜査が直ちに開始される。傷害もしくは殺人事件として直ちに捜査が開始されなければならない。


政府や「御用マスゴミ」は「最大の問題は規定に反して事故米を食品として出荷した「三笠フーズ」などの事故米購入業者にある」と説明するが、最大の責任は「食品会社」に事故米を販売しておきながら、事故米を食品として流通させないための厳重な監視体制をとらなかった行政にある。


政府が農水省を批判するコメントを発表するが、そんな暴言を許してならない。年金事務不祥事についても自公政権は「社保庁が悪い」だの、「社保庁の労働組合が悪い」だのと発言するが、言語道断の発言だ。


社保庁も農水省も行政機関である。行政機関は内閣の指揮下にあり、その最高責任者が所管大臣であり、内閣総理大臣なのだ。重大な不祥事を起こした企業の最高責任者が登場して、「○×支店の責任」だの「従業員の責任」だのと発言すれば間違いなく袋叩きに遭う。


輸入米の保管は農水省の天下り機関が管理する。昨年1月に内部告発があって農水省が検査を実施した際も、農水省は「三笠フーズ」に事前通知して検査を行っている。不正を行っている企業が行政官庁から検査の通知を受ければ、不正が発覚しないように工作するのは当たり前だ。北海道の「ミートホープ」社の場合も、事前通告付きの検査で問題発覚が遅れた。


「業」と「官」が癒着しているために、問題が発生するのだ。事故米として低価格で購入した米を「食用」として転売すれば、「濡れ手に粟」の不労所得が生まれる。「官」と「業」がどのように癒着していたのかについて、徹底的な調査が求められる。


太田誠一農水相は、9月12日のテレビ番組のなかで、事故米の転売問題について、「(流通した事故米の残留農薬)濃度は(中毒事件が起きた)中国製ギョーザの60万分の1の低濃度。人体に影響は無いということは自信を持って申し上げられる。だからあまりじたばた騒いでいない」と強調した。


まったく人体に影響がなく、食用に供しても安全であると農水省が保証するなら、もともと「事故米」として安価に販売せず、「食用」として高価格で販売すべきである。同時に政府は「品質証明書」と「安全保証書」を添付するべきだ。


「カナダde日本語」様、「晴天とら日和」様が紹介してくれた「高発ガン性アフラトキシンB1汚染米 転売問題 データまとめ」の情報によると、アフラトキシンB1というのは、ダイオキシンの10倍の毒性をもったカビ発癌性物質で、200℃以上の高温で加熱しない限り、その毒性は変わらないと証明されているとのことだ。


この猛毒混入米が、10年以上の長期にわたって、焼酎・酒造業者、米菓製造業者、味噌製造業者などに食用として転売され、さらに保育園、病院、高齢者福祉施設などの給食として提供されてきたのだ。


太田農水相は事故米の安全性に関連して、責任をもって「人体に悪影響は生じない」との発言を撤回しないなら、関連資料を添えて「安全宣言」を発表するべきである。同時に、「事故米」を正式に「食用米」に変更するべきだ。


たとえ濃度が低くても、猛毒を長期にわたり摂取し続ければ人体に重大な問題が発生するというのが、常識的な判断だ。


自民党は「政権放り出し首相後継総裁選」にうつつを抜かしており、福田首相が辞任会見してから1ヵ月弱の期間、内閣を放置している。事務所費問題で辞任が必至だった太田農水相がそのまま農水相の座に居座っているが、国民の生命にかかわる重大問題発生に対する無責任極まりない対応を踏まえれば、罷免されるのが適正である。


すでに民主党の鳩山由紀夫幹事長は、太田農水相の罷免を要求する発言を提示しているが、当然の要求だ。福田首相は消費者庁を新設する提案を示し、8月2日に発足させた改造内閣を「安心実現内閣」と名付けたが、「暗心実現内閣」の誤りだったようだ。


太田農水相は12日のテレビ番組で「消費者にも権利があるが、事業者にも権利がある」とも発言した。何を言いたかったのか不明だが、「政」「官」「業」の癒着を象徴する発言だ。


1年間に2度も政権を放り出した自民党に、政権に居座る資格はない。「不祥事」に対する謝罪もなおざりにして、「総裁選ごっこ」にうつつを抜かし、国民の生命にかかわる重大問題に対する適正な対応を示せぬなら、自民党は直ちに政権を野党に引き渡すべきだ。


「カナダde日本語」の美爾依さんが推測するように、「三笠フーズ」が事故米を食品として流通していることを、農水省は認識していたと私も考える。国民の生命と生活を守ることが政府の第一の役割であるのに、自公政権自身が国民の生命と健康を脅かしている。「殺人政権」に権力を握られ続けたのでは、国民は常に生命の危険に直面しなければならなくなる。「薬害HIV」、「薬害肝炎」と通じる問題が横たわっている。


「三笠フーズ」は氷山の一角である可能性が高い。臨時国会開会は、自民党「政権放り出し首相後継総裁選」がだらだらと長期日程で実施されているために9月24日まで先送りされているが、こうした重大問題が発生したのであれば、閉会期中審議を行い、福田首相は太田農水相を即時罷免すべきである。


 日本は本当の「CHANGE」を必要としている。すべての「刷新」は「CHANGE」から始まる。「CHANGE」=「政権交代」である。自民党「政権放り出し首相後継総裁選」での低調な論戦、重大な国民生活問題に生体反応を示すことができない自公政権の現状が際立つなか、「政権交代」を求める有権者の切実な声は日増しに高まっている。




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●工業用糊や木材の合板や集成材の接着剤の原料に米を使用することは殆どない


 コメント欄から教えていただいた「工業用のりは、米を原料としていない」ということを紹介するとして、ニコヤカに書きたいところだけど、このコメントの書き方がホント礼儀知らずで、せっかく重要なことを教えているというのに、感謝するどころかムカっとさせる代物だった。

 しかしながら、内容はお伝えするに価値があるというので、紹介させてもらいたいと思う。

 こちら↓のブログが紹介されていたわけだけど、
 http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1174160.html


 で、元記事の方は、J-CASTニュースの↓なので、こちらの方を転載させてもらうことにした。
 「工業用糊に限り販売」 農水省の説明は大ウソだった

「工業用糊に限り販売」 農水省の説明は大ウソだった

2008/9/11

農薬や毒カビに汚染された「事故米」が食用として出回っている事件で、農林水産省 の説明に大きな疑惑が浮上している。農水省は「事故米」を、工業用糊や、木材の合板や集成材の接着剤の原料使用に限り販売を許可していると説明していたが、実は、国内では接着剤などの原料に米を使用することは殆どないことがわかった。使い道のない米を穀物業者に販売していた形になり、今後農水省の責任が厳しく追及されるのは必至だ。

糊に使うのは「事故米」でなくタピオカや小麦

問題を起こした三笠フーズの場合も「工業用糊加工品」に用途を限定することを条件に販売したという。しかし、工業用糊メーカーの大手ヤマト、不易糊工業、住友3MにJ-CASTニュース が取材すると、いずれも、澱粉糊のうち「米を原料にしているものはない」という答えが返ってきた。また、「米を原料に糊を作っているメーカーがあるという話は聞いたことがない」のだという。ちなみに澱粉糊はヤマトがタピオカ、不易糊工業はコーンスターチを原料にしている。

また、森林総合研究所 によれば、合板を作る際や、集成材に使う接着剤の原料に小麦を使う例はあるものの、米を使ったものは見たことがないそうだ。工業用糊や接着剤に使われないとなると、「事故米」を工業用糊などに使用を限定、という農水省の「前提」が全く崩れてしまう。

「三笠フーズ」を発端とする今回の「事故米」の食品使用問題では、2008年9月10日に、新たに食品・資料販売会社「浅井」(名古屋市)、肥料製造会社「太田産業」(愛知県小坂井町)が米穀の仲介業者に転売していたことが発覚。食用に転用されている可能性が強まっている。

今回の「事故米」は、日本政府が世界貿易機関(WTO)のルールで輸入を義務づけられたミニマムアクセス(MA)米で、年間約77万トン輸入している中の一部。農水省のホームページには、

「MA米によって国産米の価格・需給に影響を与えないよう、加工用中心の輸入・販売を行うなどの措置を講じている」

と書かれている。

「何でも工業用に回すというわけではありません」

08年9月10日のテレビ朝日系「報道ステーション」では、東北の穀物業者が匿名でインタビューに応じていた。

「農政事務所からカビの生えた270キロの米があるという話があり、食用以外なら何でも処理していいと。それで、堆肥にするということで私が買った。(事故米は)手を出す人がいないので、お金にならない」

穀物業者に直接の依頼があるのは驚きで、それだけ「汚染米」の使い道は少なく、在庫が膨らみ、農水省は頭を痛めていた様子がうかがえる。

農水省の報道担当はJ-CASTニュースに対し、「三笠フーズ」に「事故米」を販売したのは「三笠フーズ」が工業用穀物も扱っていたため、契約通りに加工すると考えたからだと話した。しかし、「事故米」が工業用糊としては需要がないのでは、と指摘したところ、これまでの農水省の発表やJ- CASTニュースの取材に答えたこととニュアンスが一変した。

「台風で水に浸った事故米は食用としてすぐに出荷するように、事故米も臨機応変に、何でも工業用に回すというわけではありません」

という理解不能の説明だった。食用に転売される可能性にうすうす気が付いていた、といわれても仕方がないような対応だ。

 工業用糊などに使用を限定として契約したから、売却先が食用に使ったとしても農水省には責任なしとしたい農水省だが、そもそも、米は工業用糊や接着剤に使われないとなると、限定する「前提」が存在しないということになる。

 存在しないものに対して限定するなんてことを農水省が契約書に謳ったとして、「事故米(汚染米)」が、存在しないものに使われるはずがないことは明らかだ。なのに、どんどんと売却されていくコメについて、しかもその売却相手が米を扱う食品会社とあれば、その事故米が、すくなくとも食用にされているかもしれないと気がつかなかったとする方がおかしいし、農水省の調査も事前通知の上だったとのことで、不正を見つけたくないという意思が感じられる。

 田中康夫氏が、不作為の作為未必の故意、と言っていたが、まったく、その通りだと思う。

 今朝、農水省事務次官が農水省には一切の責任はないと言い切ったとのニュースがあったけど、これほど、事故米についての怪しい取り扱いはないというのに、元凶である農水省は、民間にだけ責任を負わせて逃げきるつもりだろうか。摂取すれば発癌率100%のアフラトキシンのような猛毒をいい加減な契約で国民にばら撒いておいて、許されるというなら、省庁は治外法権なのかとも言いたい。

 ついでに、付いているコメントもこちらに紹介します。

コメント一覧

1:
ふう 2008/9/11 21:16

J-CASTさんGJです。
やっぱりいびつな流通の仕方だったんですね。もう自民党政権下では官僚の自浄作用は働かないので、政権交代しかないですね。

2:
田吾作 2008/9/11 21:53

ミニマムアクセス枠にしても、
需要がないのをおしてまで
買い取らなければいけない義務は無いのを、
日本独自の政府見解で義務にして買い取っている。
裏にはアメリカへのご機嫌取りがあるという。
不必要な米を買い取って、
国内に汚染食料を撒き散らす。
農水省はいったい何をしているのやら・・。

3:
匿名A 2008/9/11 22:04

「事故米」は農水省の皆様に責任を持って処分していただきたいですね。あ、もちろん自分のお腹の中に収めて処分していただくのですよ。

4:
黒箱 2008/9/11 22:22

大企業の利益の見返りに政府が国民の食の安全をないがしろにしてる現状がなんだか透けて見えますが、相変わらず農林水産省(というか政府?)はいった何をやってるのでしょうか?
違反がばれた場合のペナルティーとかもありえない位軽いよね。偽装して売れって言ってるようなもんだと思う。
行政側が今回の件の様な事態を知ってて黙認してた疑惑も出てくると思うのですが?(少なくとも担当者レベルでは)
監視、管理監督する立場なら何かをもらってあえて何もしないのが本当は企業側に一番メリットがあって解りにくい気がするんだけどなあ。
何もなければ企業と行政側だけのブラックボックスの中だしさ。
徹底解明を望みます。
日本も中国もやってる事同じじゃない?w

5:
bon. 2008/9/11 23:01

10日、東北農政局に電話して聞いてみました。
私「東北の4業者は全て、事故米を肥料に使っているとの地元紙の報道は、間違いないですか?」
男性職員A「食用には使ってない。農業用肥料に使っています。契約上問題ないし、製品の安全性も検査済みです。」
私「では、本省のホームページに記載してある『工業用のり』に使っている業者はどこですか?」
A「こちらでは把握していない。これから人と会うので、詳しくは本省に聞いてほしい。」
やむを得ず、農水省本省に電話。
私「今回の事故米の毒について、」と言いかけたところ
女性職員B「毒?毒じゃないですよ。」
私「いやいや、食品安全委員会の資料には、アフラトキシンが『かび毒』と記載されてますよ?」
B「あの、摂取しても体への影響が少ないという意味で...。」
私「もし間違って食べたらどうすればいいんですか?」
B「専門家じゃないので...。」
(おとぼけ職員ばっか)

6:
ハーベスト 2008/9/11 23:37

40 年以上前~昭和40年頃からこの手の話は米穀業界では噂になっていた。私も米屋さんから聞いたことがある。。農林水産省のお役人は知らないふりをしているが、当時から国が買い上げた政府備蓄米のカビの生えた米を商社や仲介業者を通じて加工食品会社に流していた。食管制度の保護下にあった米穀業界では危ないので直接、関与するなと各県の米屋の組合で業界通達のようなものを出していたと思う。現状は外国米がこれにとってかわったようである。まだやっていたのか?

7:
鎌倉 2008/9/12 00:49

そもそもアクセスミニマムで汚染された米を買わされていることがおかしい。
そこを一番に追及するべきなのではないか。
汚染されていない米を輸入するように是正しなければ
再び同じことが起きるのは目に見えている。

8:
ひょうすべ 2008/9/12 01:19

国のいい加減なお役所仕事で国民の健康が脅かされる。
本末転倒もいいところ。

9:
PACO 2008/9/12 07:06

>「事故米」が工業用糊としては需要がないのでは、と指摘したところ、これまでの農水省の発表やJ-CASTニュースの取材に答えたこととニュアンスが一変した。

GJ!!です。
 
農水省の無責任な販売についても厳しい糾弾が必要ですね。

10:
どうして 2008/9/12 08:06

J-CASTが工業糊メーカーに聞き取り調査するのに大新聞はやらないの。
この例に限らず大新聞は荒唐無稽な情報を権力側に言われるままに垂れ流し。
文系理系論争であった収入格差でも馬鹿な文系が高収入の例が
大新聞記者などかなあ、具体的な知識がないほど大声で主張できる。
もちろん私はついつい信じてしまう側、時々は自分もつながる仕事関係やたまたま若干の知識がある分野では明らかに逆方向へ牽強付会する文章に憤るけど。

11:
若干、関係者より。 2008/9/12 09:04

まだまだ今後、いろんな超オドロキの事実が解明され、ずさんな日本の米、食品流通事情が根底から覆される事になるでしょう。 

「ふじふじのフィルター」

http://fujifujinovember.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-be95.html


「コメント」
使われない工業糊について、判明されたが、もし、これが真実ならば、何の為に、「毒米」を農水省が、食料卸会社に卸したことになるのか。いわずとも知れない、密かに日本人が正確に世界にユダヤ国際金融と日本政府の悪行を告訴しているから、それを国民も知るようになったから、抹殺する目的で行われたでしょう。その情報を世界に発信しているのは、日本ですから。「病死」を見せかける暗殺のように。


「ふじふじのフィルター」さんが更に、毒米の内容を説明しているからお読みになって下さい。

「アフラトキシン」は、遺伝子レベルで人体に悪影響を及ぼす。
http://fujifujinovember.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-f8a3.html


更に植草さんが紹介した「、「晴天とら日和」様」も詳しく説明されている。

【三笠フーズ事故米】食料テロではないか!悪質ここに極まれり!大の大人がこんな悪事ばかり働いて、・・・。
http://blog.livedoor.jp/hanatora53bann/archives/51275950.html


以上