論文の書き方を知りたいと思って、色々聞いて回っている。それについてわかったことがある。

 論文は「事実」という名の道の上しか歩めないということだ。自分の文章を保証してくれるのはその時点での事実である。

 一方で事実でないものは「感想」となる。よく、ひろゆき氏が言っているものだ。言い換えると「事実として確定していないもの」と表現できるかもしれない。

 「事実」の意味を調べてみると『実際におこった、又は存する事柄」(岩波国語辞典第八版)とある。「ことがみのる」と書くように、実際に出来事としてこの現実世界に現れ出たものを「事実」と表現しているのだろう。つまり、論文においては「実際におこった事柄をベースとして、論じること」だと言える。

 ここで「論じる」とは何か。調べてみると『物事の理(ことわり)を示すように筋を立てて述べる』(岩波国語辞典第八版)ことである。また「理」は『物事の筋道。もっともなこと。道理』(岩波国語辞典第八版)で、「筋道を立てる」とは『ことの首尾を一貫させる。道理にかなうようにする。しかるべき手続きをふむ』(https://kotobank.jp/word/筋道を立てる-2053313#:~:text=ことの首尾を一貫,筋を立てる%E3%80%82)とある。

 つまり次のようにまとめることができそうである。

 「実際におこった事柄をベースとして、物事におけるもっともなことを示すようにして、しかるべき手順を踏みつつ、書いたことの最初と最後が矛盾しないようにして述べる」

 論文においてはこの基本が必要だということになりそうだ。

 とかく人間は「概念」を抱けるだけに、「事実」と「事実でないもの」がごっちゃ混ぜになっていると、論文を書くことは困難になるかもしれない。

 普段から「これは事実か?それとも事実でないもの(≒概念)(=感想)か?」と自問自答する習慣を身に付けたいところである。