立花孝志氏の全く根拠も確証もない流言飛語に洗脳され、
これまでの経過を「マスコミのでっち上げ」の一言でマルっと忘れ去り、
今や信じがたい勢いでその数を増やす斎藤擁護派。
立花氏が齋藤氏を「清廉潔白な若き改革推進のヒーロー」に仕立て上げるべく、
多言を弄するのは勝手だが、
兵庫県民のリーダーを決めるためには、
その政策がどれだけ兵庫の未来を託するに足る内容になっているか。
それこそが吟味されてしかるべきである。
齋藤氏は県下各地で展開する立会演説において、
数々の自らの改革の実績を説明し、
集まった聴衆から万雷の拍手を受けている。
しかしその内容を一つ一つ丁寧に吟味すれば、
彼の発言はあまりにも我田引水的な自己評価に過ぎず、
彼の大好きな言葉である「真実相当性」が含まれているとは言い難い。
そこでこの記事では、
極めて冷静にかつ私情を交えることなく、
彼が述べるところの「改革」なるものを具体的事実を挙げて客観的に評価したい。
行政の専門用語が多出するので極めて読みづらいと思われるがご容赦願いたい。
〇県立大学無償化を成し遂げたい
県議会との最大の波紋を生んだ当該施策であるが、
斎藤県政が打ち出した県立大無償化の対象者は、
県内大学進学者のわずか2%に過ぎない。
私大へ進学者や県立大には無い法学部や医学部を目指す学生には何のメリットもない。
齋藤氏は多額の奨学金返済に苦労する学生が多いことを理由としているが、
それならば所得制限付き給付型奨学金を実現するのが正解である。
大学無償化は多額の税収がある大阪府の施策をなぞったに過ぎない。
しかも大阪は受益者が多い高校の無償化をまず行い、
その後大学に踏み込んでいる。(県立大学から始めるのは順番が違う)
併せて主張している「奨学金返済支援制度」は、
そもそも井戸知事時代に中小企業の労働力確保を目的に策定された事業であり、
奨学金返済支援効果は副次的なもの。
奨学金返済支援の受益者は、
兵庫県内の中小企業に採用されている者が対象であり、
大企業の従業員、県外企業の従業員は対象にならない。
〇1000億円の県庁舎の建設を止めた
1000億円と言っているが、
庁舎は50年使えるため一年あたり20億円である。
しかもその財源は基本的に起債で賄うため、
その負担は年ごとに慣らすと限りなく軽いものとなっていく。
庁舎を市内各地に分散して借り上げることで仕事の効率を著しく低下させ、
南海トラフに堪えられないとの耐震診断が下された庁舎に、
毎年億単位の補修費用をかけるのとどちらが有効か?
30年前の阪神・淡路大震災の際には、
庁舎の1階が被災者であふれ、
復旧期には余裕スペースであった県公館が政府派遣職員達、
国直轄の現地対策本部のオフィスとなった。
また、他府県等からの応援職員の派遣も仰ぐため、
有事の際には平時よりも多くの執務スペースの確保が必要なことは、
あの大震災を経験したものなら誰でも知っている。
本来災害発生時には危機管理の司令塔にならなければならない県庁舎が、
分散配置やリモートワークで対応できるはずがない。
元町地域の活性化のためにも現庁舎周辺に庁舎を建設し、
関連オフィスを誘致した方がにぎわいをもたらすことができる。
職員の4割出勤や庁舎分散のうわさを聞いて、
店をたたんだ方々も多いのではないか?
そして何より、
シンボルとしての県庁舎すら無い兵庫県庁を
優秀な若者達が就職先として目指すとは考えにくい。
また、資材価格が高騰して1,000億円規模の事業費となることから凍結したのではなく、
構想の具体化を凍結して実施を先送りしている間に、
資材価格の高騰などにより事業費が膨れ上がったのが真実であり、
致命的な判断ミスが招いた失策と言わざるを得ない。
〇知事車をセンチュリーからアルファードに更新
車体価格を安くしてもその効果は年額100万円程度。
一方で井戸元知事が徒歩で通勤されていたのと比べて、
斎藤前知事は朝夕の送迎が必要であったため、
人件費が大幅に増大している。
したがって知事車の運行経費全体ではコストが増大している。
〇財政調整基金への100億円の積み立て
財政調整基金の額が100億円を超えたことを自らの功績にように吹聴しているが、
その要因は財政改革の成果ではなく、単に税収の増によるものである。
令和5年度決算は国においても税収増を理由として、
13兆円の決算剰余金が生じたがそれと同じ。
(財務省はそれを指摘されて消費税減税に踏み込むのが嫌で、国会審議もせずに国債発行の減少や防衛増税等を見送るなどして、0.9兆円まで抑え込んだが。。。)
そもそも財政調整基金を増やしても財政指標の改善にはつながらない。
従来は税収の増加により多額の決算剰余金が出そうな場合は、
借入金の繰り上げ償還や新たな起債の削減、
県債管理基金への積み立てに回していた。
その方が財政改善につながり財政指標が向上するから。
(こんな理屈は総務省の官僚であれば当然わかっているはず。)
斎藤知事時代にはつまらない貯金(財政調整基金)積み立て目標のために、
当然行うべきその努力を怠っただけである。
財政調整基金が少ないから大阪府のようにコロナ問題時に独自対策をできなかったと言うが、
財政調整基金が少なかろうと非常時にやるべき施策は通常の事業を止めてでも、
借金を増やしても実行するのが真のリーダシップではないか。
そもそも大阪府は雨カッパの収集、イソジンを特効薬と吹聴、野戦病院型病床の設置など、
事業が迷走していたが、結果として何か効果的な独自対策を実行できたのか甚だ疑問。
〇外郭団体改革=65歳以上のOB追い出し
ほとんどの団体で後任のOBを配置しており、
実質的に井戸派の人材を斎藤派に入れ替えただけ。
コスト削減には繋がっていない。
むしろ前回の知事選挙で金沢候補の支援をした方への報復的な措置に見えた。
事実、斎藤派のOBについては65歳を超えても継続配置している例がある。
〇海外事務所の廃止
兵庫県が他の都道府県に比べて海外事務所が多すぎるとの指摘であるが、
それは神戸を中心に国際交流の日本の窓口として発展してきた歴史を証明するもの。
神戸市との共同事務所化や関西広域連合での共同利用など、
効率的な運営には従来から務めてきている。
経費削減のみに着目してむやみに廃止することは、
歴史的経緯も踏まえた兵庫らしさの喪失に他ならない。
しかも、「パリ事務所長が3年間悠々自適の生活をしている」などと、
事実無根、嘘八百が多々含まれる主張を行っている。
それは誰のことか、そのような事実がどこにあるのかと問いたい。
〇大くくりの部の廃止、分割
従来の5部体制を「普通の県と同じようにする」というだけの理屈で12部体制に拡大し、
各部に15~20人の総務課を配置するという、
行革に逆行する行いをしてしまった。
総務課職員には事業担当課には無い職員スキルが求められるため、
一朝一夕で職員が養成できるものではない。
これによって職員の配置が厳しくなり、
実質的に事業担当課の戦力低下を招いてしまう結果となった。
〇県民局予算や市町交付金の削減
斎藤県政になり県民局ごとに特色ある政策を行うための予算や、
市町が自由に使える交付金を市町や県職員の意見も聞かずに大幅に削減してしまった。
これによって五国の多様性や市町の個性を生かした事業の多くが廃止に追い込まれた。
〇神戸市(政令市)との関係
阪神淡路大震災からの創造的復興に向け、
県は神戸市と共同歩調で各種事業に取り組んできた。
具体的には通常政令市に対しては負担しない、
市街地再開発の負担金、神戸空港整備負担金、阪神高速道路整備負担金等についても、
あえて一定割合の金銭負担をし、県都の復興を加速してきた。
斎藤氏は、これを廃止しようとした。
〇大規模アリーナと障がい者スポーツ施設の事業ストップ
大規模アリーナを止めたと主張しているが、
検討そのものが構想段階であり場所さえも決まっていなかった。
むしろ神戸市に新アリーナの誘致が決まったことから、
前政権時代から検討作業を停止していたもので、
斎藤氏が止めたわけではない。
一方、県では障がい者のためのスポーツ施設の整備計画を進めており、
場所も決定済み(そのために玉津の特別養護老人ホームを移転)で、
基本計画もできあがっていた。
これを斎藤氏が止めてしまったため、
障がい者スポーツの振興に大きな支障をきたしている。
〇県立高校整備への300億円充当
高校の老朽化対策が進んでいるのは事実であるが、
300億円の財源は県庁舎整備のための基金から流用したものであり、
斎藤県政が生み出したものではない。
〇高校生海外留学支援
海外留学を否定するわけではないが、
1か月の夏休み旅行で何が学べるのか?
選考に県の観光PRを盛り込むなど、
生徒の学習のためなのか、観光振興のためなのか目的が不明である。
国際性を養う教育という面では、
もっと本格的な留学支援制度を設けるべき。
〇不妊治療支援の充実
財源が不足するなかで(勤労福祉超過課税を充当)、
先進医療まで全額補助する必要があったのか?
高度な治療が可能な機関は都市部に集中しており、
地域により不公平な制度になってしまったとも言える。
こういった課題こそ市町への交付金によって、
地域ごとに特色ある制度を支援すべき。
そもそも子どもを増やすことが目的であれば、
自分が目立つために全国初といった際立った特定事業を行うよりも、
早く結婚して早く出産するための取り組みをはじめ、
総合的な少子化対策の政策体系を策定すべき。
最後に枝葉末節の話ではあるが、
マスコミが最も騒ぎ立てていたパワハラ、おねだり問題に触れておく。
〇パワハラの証拠がない、あの程度のパワハラが問題になるのか?
暴力はふるっていない(付箋を投げた程度)かもしれないが、
公衆の面前で部下の職員を面罵する行為が、
良識ある大人の行いと言えるだろうか。
しかも怒りの原因が、政策議論の中でならまだしも、
数十メートル歩かされたとか、自分は聞いていないとかの些末なことばかり。
そもそも3月27日記者会見での元県民局長への「公務員失格」という発言自体が問題。
十分な調査もせずに、人事権を有する知事が、
懲戒処分を示唆するような発言を行うこと自体が、公開パワハラそのものではないか。
〇あの程度の贈り物をもらっても良いのではないか?
政治家としての知事が贈り物を受け取ることは認められる。
彼の誤りは県としてPRのために受領したと言っている点。
県として特産品のPRが必要と判断するのであれば、
本来、購入すべき。
しかも、PRできていないものが多々含まれることが明らかになると、
前県政からやっていたと言い訳している。
これは質の悪い責任転嫁である。
井戸元知事は“おねだり”など一切していない。
贈り物を頂いた際には必ず丁寧に礼状を送り、
職員へのおすそ分けもあった。
一方の斎藤氏は自ら要求、もらいっぱなしで、独り占め。
「ES(従業員=県職員満足)なくして、CS(顧客=県民満足)なし」と言われる。
県職員との良好な人間関係を築けない人物に、
県民の幸せを実現する能力があるとは思えない。