予てより中古本で購入したかった「一隅を照らす 万象清水敏之の生涯」をついに入手。
今回はその感想を書いてみたいと思います。

こちら購入時の状態(汚さないように気をつけてます)

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表紙はこんな状態

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ネットで検索してみるととにかくいい本としか書いていなかったので、読んで見るまでは故人を偲ぶ伝記の類かなと思っていましたが、読んでみて驚きました。

ところで万象清水敏之先生?って誰?と思う人がいるかと思いますが、富山県空手界の草分けであり、育ての親であり、日本空手界の生みの親、富名腰(後船越と改姓)義珍先生の正に右腕であり、富山藩武術の継承者であり、戦後富山県警察の空手術、逮捕術師範として勤務…の経歴を持つ正に近世富山の武人である。

 何故自分が清水(万象)敏之先生に興味を持ったかといいますと自分の叔父さんが結婚して子供が生まれるまで非常に厳しい人で高校時代に通った道場が空道館の清水(万象)敏之先生の道場であり後に海上保安庁の教官になったのもここの道場の影響があったからもしれないと思うものですから。

 後、自分の前流派の空手の先生が空道館のとある支部の会員でそこで修行した事も理由があります。
(自分が入門した当初はまだ空道館の雰囲気が多少残っておりました。糸洲安恒(いとす あんこう)、安里安恒(あさと あんこう)両先生の事について詳しく話されたり、マキワラが本当の藁が巻いてあったりサイ、棒、剣術の型の触り?を見せてもらったり…)
 
 「空手は芸術」という言葉を初めて聞いたのも前先生からで聞いた当初は非常にガッカリしたものですがこの本を読んでみますと言わんとしている事がよくわかります。

 年末に出す前先生への年賀状には書籍「一隅を照らす 万象清水敏之の生涯」入手致しました。先生読みます?ですね。
 
 ですから清水万象、藤井右門、駒川改心流剣術の名前は昔からよく知っていました。
自分が本格的に初めて始めた空手の道場が空道館の流れを汲んでいたのは非常に良かったのではなかったのかと思います。
 歴史が好きであり、富山藩伝来の古武術に非常に興味があったので、空道館及びこの書籍に興味を示したのです。

さてこの本はまず清水(万象)敏之先生の多数の貴重な写真に始まり(ここでは目次のページ)

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第1章 追悼
第2章 練武
第3章 追想
第4章 空道館の歴史
からなっており単なる空手の本ではなく富山藩伝来の古武術の紹介、万象先生を開祖とする武術の紹介、船越義珍先生との歩み、万象先生の戦中、戦後の歩み…近代富山県の武道の歴史を紐解く傑作である。

因みに空道館の影響は未だ富山県空手界の最大流派は松濤館流であり、全国規模空手団体の日本空手協会、国際松濤館の富山県連重鎮の先生の中にはこの空道館の出身者が数多くいる事でも伺えると思います。

いずれにしろ空道館関係者のみに配布された限定300部非売品のこの書籍を入手できじっくりと読む事が出来たのはこの上ない幸せであります。

県内の図書館でも何ヵ所か、県外の図書館にも何ヵ所?かに在庫している所があるので、武道の世界に興味のある人は是非とも一読すれば宜しいかと思います。

どうしても手元に置いて置きたい方は古本屋をチェックすればいいかと思います。
自分が知る限り自分以外に最低一冊?は(過去に)中古本市場に出ておりました。