4)尺度の多様性 | bisui.nihon 美粋書房

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『日本文化原論 真なる調和への道 神からのブラボォー』
(著 横山俊一)販売中

完投型のピッチャーは9回という長きに渡る登板を想定して、ピッチング計画の想定を描かれる。毎回、豪速球で三振を狙うようなエネルギーの投じ方ではスタミナが持たず、打たせて取るという技法を考慮される。バッターの好きそうな球種というデータがキャッチャーに記憶され、内野ゴロになるような配球をもって省力で打ち取る協働作業が生まれる。一人で何でも抱えずに、キャッチャーという良き相棒をもってさらに内野手を信頼して打たせて取る事によって、9回までの長丁場を乗り切る事に及ぶ。見せる野球という場面では、豪速球を投げて観客にアピールする演出も加えられ、経営視点も想定したプロの技術で魅了し、野球界全体を盛り立てる貢献意識が備わる。さらに、スポーツ全体を見渡すなどして、健康との相関などに触れ、或いは他のスポーツとの交流や親睦を図り、多様な勉強の機会を伺う。こうして、局所的な想定から、次第に複雑な中局観や大局観を作り、学びの視点が広がり、多様な感性や多様な立場の人々の意識を窺い知り、共通性などを知るなどして自己の直接的な生産へ役立てるという学びの周期を作り出される。スポーツ選手はスポーツばかりの専門家というわけでもなく、スポーツを開催する主催者の意図や関係する利害関係者などとも触れ合い舞台裏を覗く等して、多様な関係者の尽力の下に場所が用意される事を知る。多くの生命を投じられている事の理解が、自己の生命を最良に投じるエネルギーに転じられる。陰日向からの多様な関わりを伺い、全体を見渡し自己の立ち位置を知り、偏狭な感覚に寄らず適正感を導出する事へ及ぶ。懐具合の深さが生まれ、スポーツを通して人間が成長する。好選手は人間も出来ている。このように専門性と基礎の相関が構成され、作り上げる物事が違っても共通的な物差しが生まれ多様な領域との意思疎通が起こり、文化という様相を実感する。どこにおいても通用する空間の同一感性を伺い下地の揃う対話へ及ぶ。そうはいっても、ルーキーからベテランまで、色々な選手がいる。それぞれに持ち味が起こり見る側の感性に映し出される。いぶし銀の球種はいぶし銀の技を備える人々において認識される。見る側に尺度があって感じられる。素人は技を計るに及ばない。多様な球種をもって味わい方も豊かになる。しかしながら、力の加減や変化の質はあっても、一球たりとも魂の抜けた死んだ球は投げたくないものです。虫けら相手には真面な球を投げる事はない。