もう千秋楽を迎えてしまったミュージカル「ラブ・ネバー・ダイ」ですが、2/16・17と見てきました。

予備知識のない状態で初めて見たのだけれど、なんというか・・・。結構ショック。ラウルを見ているのがつらくてガクリ泣き1
はい、相変わらず偏った視点ですにやぁ。今回は田代万里生君演じるラウルが目当てだったので、いろんな意味でショックだったガクリ
今更だけど、またグダグダと感じたことなど書いてみたいと思います。
 
何がショックだったかって、ラウルのキャラ設定。・・・あれ、「オペラ座の怪人」の時ってラウルは爽やかな王子様キャラじゃなかったっけ汗?あまりの変わりように、石丸さん同様愕然。
あの、若さ弾けるような、輝くようなラウルは、どこにもいなかった・・・ガクリ
 
ギャンブルで借金まみれになるわ、酒に逃げるわ、クリスティーヌや息子グスタフにも苛立ちをぶつけるわ。その背景には、クリスティーヌの音楽の才能や彼女の音楽に対する情熱を理解出来ずに(そもそもは違ったはずなのに)、次第に彼女の心を思い図ることから意識的に離れていったこの10年があったのだろうな。彼女を苦しめているという自責の念から逃げるように酒に溺れていき、ますます彼女から遠ざかってしまうという悪循環。愛しているはずなのに。
そんなラウル。なんか分かる気はする。自分の理解出来ないものに情熱を注ぐ彼女に嫉妬する気持ちもあっただろうし、理解出来ない寂しさやもどかしさもあったと思う。だから、音楽から、彼女から遠ざかることを選ぶしかなかったのかな。そんな男の弱さをラウルはこれでもかというぐらいに見せてくる。
一番つらいのが、物語が進むにつれ、クリスティーヌの本心が徐々に明らかになってきて、たとえラウルが絵に描いたような理想的な夫や父であったとしても、クリスティーヌとファントムとの間の、音楽を介した強い絆の間に割って入ることは、彼にはどうしても出来ないことが分かってしまうこと。彼女は、音楽を通じて、魂の響き合う深さでファントムと心通わせてしまったから、もう後には戻れない。そして、それはもう10年前から決まっていた。ラウルには酷な話だけど。それを思うと、彼があんなに変わってしまうのも仕方ないような気がしてくる。
 
そんなつらい役どころのラウルを演じる万里生君、あんなに笑顔のない役の万里生君を見るのも初めてではないかと思った。
でも、男の弱さ、プライド、嫉妬、愛憎、支配欲、そういったドロドロしたものに果敢に挑んでいた印象。最初見た時、上手側グランドサークル席の一番前という初めての場所だったのだけれど、見切れる角度もある中で、比較的ラウルが上手側にいることが多かったので、ラウルを見る上ではなかなか良かった。例えばバーのシーン、ラウルが涙を浮かべながら歌うシーンで、横顔を見ていたのだけれど、表面張力で瞳に涙がいっぱいにあふれる様が見られたのはおぉっ!と思ったにやぁ。何がって、涙のシーンで横顔を見ることがあまり今までなかったように思うから。すごい、表面張力だ!とにやぁ。・・・多分そんなところを見ているのは私ぐらい。
 
「愛は死なず」のシーン、平原さんのクリスは「♪どんな痛みも耐え抜く♪」でラウルに向かって歌っていて、まるでラウルから受けた胸の痛みに耐え抜いたと言わんばかりで、深読みすれば、そりゃラウルとしてはもう絶望するわな、という感じガクリ(黒背景用)。でも、平原さんのクリスは、ファントムとラウル、二人の間で揺れ動く様が歌の間にも見えて、その揺れによってラウルの胸に希望が差したり絶望が襲ったりする様が、ラウルの背中と合わせて見応えがありました。めぐさんのクリスは、ファントムの作った曲にどうしようもなく魅せられて、もうラウルのことはほとんど考えられないという感じで、ラウルをあっという間に地獄へ突き落とすパンチ力たるやさすが。平原さんの方はより強く「女」を感じたし、めぐさんの方は音楽への情熱を隠さない迷わない強さを前面に感じた。その違いもまた面白かったな。
 
そして今回、アンサンブルによく見ていた方々がいっぱいいらっしゃったのでそれも嬉しかった。バーテンダーの港さん、やっぱり話し声もいい声だったし、照井さんのダンスのキレも素晴らしかったし、丹宗さんもさすがの安定感だったし、とにかく皆さん素晴らしかったキラキラ。場面転換も多いし大がかりなセットを使うし、本当に、キャストの皆さんのチームワークや一人ひとりの実力と頑張りに支えられているんだなと改めて実感。キャストさん意外に少ないんだよね、これだけの作品で。
 
それにしても万里生君、最近報われない役とか悲劇的な役どころが多いんだよなぁ。もっと、笑顔弾ける役の万里生君が見たい。