小池真理子さんが、自身の“カタワレ”と言い表すご主人を亡くし、その後の生活について書いたエッセイ。

喪失エッセイという本書の帯を読後に見ると、この喪失という単語が読む前と違う色合いで見えるから不思議だ。


喪失感を抱えている側は、どれだけ時が経とうと、やはり空虚なものを抱えているという。

一言で喪失感といっても、深さや重さは、人それぞれ。

周りが、そろそろ大丈夫だろうと思い描くのは勝手だが、その思いを当人に伝えるのは無神経な行為だよなと再認識。


死んだ人間にはかなわないとよく言うけれど、自ら別れを選んだわけではなく、ある日突然別れがやってきて、宙に浮いた感情はゆるゆるとずっとその人の中にあり続けるのかもしれない。




雑誌で連載していたエッセイをまとめた一冊。
その為、一遍がコンパクトで読みやすく、文のリズムも心地良い。

その時に夢中になっていたコトや、人について基本書いてあるのだが、彼女の人柄が透けて見える感じも好ましい。
けして気取らず、さらけ出しすぎている風でもなく。
“イッテQ”をほぼ見ていないが、珍獣ハンターは流石に知っている。
南極や登山部の時に見ているイモトアヤコさんのイメージがそのまま文章になっている感じ。

竹内結子さんや、北川景子さんなどとのやりとりや、下町ロケットで共演した安田顕さんとの話。
ほのぼのとしているのに、空気感が伝わってくる不思議な文章。
ほっこりします。


2021年に発売された本書。
菅田将暉くんの実母、好身さんが書いた育児記録。
家族の数だけ、子育てに対する考え方があるだろうと思ってはいたけど、菅生家は斬新です。
子供を信頼する想いが強いんだろうなというその方針は、なかなかできるものではない。
子供を信じると言っても、不安は尽きないもの。
そこを信頼し、子供たちも全力で応えようとする。
いい関係なんだなというのが、全編から伝わってくる。

次男がやるゲームが許容できなかったエピソードが途中で出てきます。
サラッとしか触れていないけど、きっと母と子どもの間ではとても大きな出来事だったんだろうなと想像。
自分の対応を振り返って、気持ちを切り替えようとしても、感情は揺れ動いてしまうもの。
そこをぐっとこらえて寄り添うのは、自分だったら難しいかも。

幼い頃から、父親の仕事を見ながら育つ環境を作り出し、そこで育った3兄弟。
最近は、三男の新樹くんもテレビで見かけるようになりました。

この本は、子育てというより、全力でお互いに向き合ってきた家族の記録です。