梅雨の終盤に読んだ3冊です。
最初は現代誤訳「西郷南洲遺訓」(致知出版社)です。
上野に西郷さんの銅像が建てられた頃、戊辰戦争で負けた庄内藩の人達が遺訓編纂に取り組んだ本です。西郷さんには一冊も著作もないので思想と哲学を知る貴重な本と、あとがきに書いてありました。

次は先般、拙ブログでご紹介した「宮崎兄弟の軌跡をたどる事業報告書」(荒尾市)。参考文献の引用が多く宮崎兄弟の活動を総括した本です。
宮崎滔天たちの足跡を対比させた日中の時代年表が添付されていると、もっと理解を深めると思いました。

3冊目は古本の著書が多い岡崎武志「蔵書の苦しみ」(光文社)
蔵書の精選と凝縮が必要、蔵書のイノチは分類、机の廻りに積んだ本こそ活きる、背表紙は可視化させておくべしと。

「西郷南洲遺訓」43項目から「くよくよ後悔しても始まらない」の章です。
自分の無過ちや失敗を認め、改めるのに、自分自身が「間違った」とさえ思い反省すれば、それで良い。その失敗にこだわったりせず、さっぱり捨てて、ただちに次の一歩を踏み出し前進するべきだ。
その失敗や過ちをいつまでも惜しいとか、くよくよと思い返し、あれこれと取りつくろうとすることは、例えば茶碗を割ってしまって、そのかけらを集め、つなぎ合わせてみるのも同じことで、何の役にも立たないことである。
その解説です。
二度も遠島処分を受けるなど苦難の前半生を送った後、西郷さんは自身の失敗にこだわり続ける無意味さを痛感し、「それより日本全体のためになることを第一に考えよう」と決心した。遠島から呼び戻された後、禁門の変や長州征伐、薩長同盟、戊辰戦争と続く活躍には、「過ぎた失敗のことではなく、常に明日のことを考える」姿勢がありました。こういったポジティブ・シンキングの結果を知るからこそ、「終わったことにとらわれず、次の一歩を踏み出せ」という言葉に説得力がある。
西郷さんが尊敬した幕末の日本三傑、肥後の長岡監物、水戸藩の藤田東湖、福井藩の鈴木主税(ちから)について、もっと知りたいと思いました。