昨日午後、荒尾市総合文化センタ-で開催された辛亥革命の映画と姜尚中さんの講演会に参加しました。荒尾市の孫文生誕150周年記念事業です。
姜尚中さんは今年6月、熊本を紹介した「美しいひと」の上映会でも当地で講演され、今年2度目。今回は宮崎滔天を生んだ荒尾についてのお話です。

会場で配布されたパンフです。荒尾市長の開会挨拶で始まりました。
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始めは約2時間の映画上映。ジャッキ-・チェンが革命軍司令官の黄興を演じ、監督した1911年の辛亥革命の映画です。ネット画像です。
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この映画を見たのは2回目。前回は神奈川に住んでいた頃、横浜の伊勢佐木町にある小さな映画館でした。革命の決起シ-ンは迫力があり、多くの若者の血が流れました。中国に新政府の樹立を海外に訴え資金集めに世界を駆け巡る孫文と、中国各地で革命蜂起する軍事司令官の黄興が、帰国した孫文と船上で再会する場面は感動的でした。何度見ても良い映画です。

熊本県立劇場館長の姜尚中(かんさんじゅん)さんの講演は約1時間、中国革命に身を捧げた宮崎滔天と滔天を生んだ荒尾について、熱く語られました。

荒尾について語られた講演の一部です。長くなって恐縮ですが
・今はグロ-バル化の時代。壁には見える壁と見えない壁があるが、次期大
 統領のトランプ氏は、メキシコとの国境に壁を作ると言っている。
 世界を見渡すと心の中にも壁を作ろうとする時代。ある民族を敵として、
 毛嫌いかする。その中でも人々が分かち合う、依存しあうのも事実。
 明治時代に日中の壁を越えて、中国革命に身を捧げようとした人がいた。
 それが宮崎滔天。滔天を生んだ荒尾は(壁を越えようとする人を生み出
 した風土として)日本最先端に立っているかもしれない。
・荒尾は県境にあって、熊本市にないロケ-ションや違うものを生み出す
 元々の風土があるのだろう。熊本から距離をおいた、地理的要因がある。
・徳富蘇峰を生んだ熊本市と宮崎滔天の荒尾を比較。滔天は近代的な功利、
 効率、成果、権力を求めず、有り余る超人的なエネルギ-はどこから来た
 のか。徳富蘇峰や福沢諭吉と比較して滔天ほど無私に徹した人はいない。
 無私の人は夢見る人、弟子も持たずに、友情と友好だけの義に賭ける人。
 中国革命の主役でなく同志、同伴者、サポ-タ-として生死をかけて超人
 的な働きをした人。こう人を生んだ荒尾の人々はもっと誇りを持って良い
 と思う。

・中国の覚醒なくして東アジアの平和は訪れない。中国と台湾に対して九州
 は地政学的に意味がある。東アジアで、もっと人が行き交う時代が来る。
 宮崎滔天はその先駆者。
 中国が孫文の理想にもっと近づけば、今の壁を超えるだろう。今、東アジ
 アは大きく変わろうとしている。滔天の先駆性、未来をみつめる眼は世界
 のフロントランナ-として、大き役割を果たした。東アジアに目を向け
 ると古代史以来、西日本が中心。宮崎滔天を過去の人物としてだけでな
 く、滔天のレガシ-を活かしていかなくてはいけない。

漱石と滔天のつながりについても、興味深い話もありましたが省略します。
来年は孫文と宮崎滔天が出会って120年です。
どんなイベントが企画されるか、今から楽しみです。