寒い冬は読書に限ります。最近図書館から借りて読んだ本です。
①宮城谷昌光「劉邦」上・中・下(毎日新聞社)
司馬遼太郎の「項羽と劉邦」に負けないくらい、面白く一気に読みました。

②火坂雅志「天下・家康伝」上・下(日本経済新聞社)

少し長くなりますがこの本のアンソロジ-です。
・家康が信長にこれだけは真似ができぬ..と思うことがある。--決断力
にほかならない。信長は何事にも即断即決、思ったことをすぐさま実行に
移す。むろん、ときには間違った判断をすることもあるが、けっしてそれ
を悔いたりはしない。とにかく、前へ前へと進んでいく。その、おのれに
はない破壊的な突破力に、家康は憧憬に似た思いを抱いた。
「天下を取る」、信長はそれが当然のことであるかのように、簡単に言う
がそれは夢のような話である。
・自分は人より取り立てて優れた能力があったわけではない。武田信玄、上
杉謙信のような神がかった軍略の才も、信長のような既成社会のしがらみ
を打ち破っていく突破力も、豊臣秀吉のごとき万人を巻き込んでゆく人間
的魅力も持ち合わせてはいなかった。それがなぜ、誰もがたどり着くこと
が出来なかった嶺の頂点に到達し得えたのか。「思いの強さか」何かとい
えば、それしかあるまい。困難にあっても、常に先をめざし、おのれを磨
き、人の長所を貪欲に取り入れた。その泥臭いまでの熱情と、わずかばか
りの運が、自分をここまで押し上げた。上をめざすことを途中で諦めてい
たら、自分はついに何者にもなり得えなかった...家康は空を見上げ
た。雲が流れている。その行く手には果てがない。<夢を諦めたら、人は
それで終わりということだ。あるときは流れる水のごとく、あるときは風
にそよぐススキのごとく、自由な折れない心で夢を追い求めつづけける>
それが人が生きるということだと、家康は思った。
この出版を最後に昨年58歳で、この著者は急逝されました。残念なことです。