先日の日曜日の午後、福岡市博物館で開催されている「大関ヶ原展」の関連イベントとして、福岡博物館所有の「関ヶ原戦陣図屏風を読む」という講演会に参加してきました。
開演1時間前に講堂前で整理券を配布されましたが、240名の定員に対して長い列ができ、皆さんの関心の高さを思い知らされました。

①講師は福岡市博物館学芸員の高山英郎氏です。
江戸東京博物館、京都文化博物館と巡回されてきた特別展の図録に「屏風に描かれた関ヶ原」として詳しく執筆されています。
イメージ 1

②関ヶ原戦陣図屏風の解説です(右下に拡大ボタンあり)
国内で現存しているビジュアルに見る絵画資料は、屏風が8点と絵巻が8点あるそうです。
イメージ 3

③右隻、左隻の2曲1双の屏風絵です。
イメージ 2

④右隻第2扇には、松尾山の陣取る小早川英秋の陣に対して、家康側から裏切るように脅しの鉄砲を放っている様子が描かれています。そして脅しが功を奏して、小早川英秋の陣営から大谷吉継の陣に、鉄砲を撃っている光景が見えます。小早川英秋の陣営には、黒田長政側から送り込まれた4人の家臣たちも描かれているそうです。
イメージ 4

⑤左隻第2扇には、石田三成の陣営が描かれています。
イメージ 5

⑥左隻第1扇には黒田長政の陣営が描かれています。黒田二十四騎の家臣の名も記されています。黒田家家臣の活躍を、軍記物からビジュアル化して残されていることから、この関ヶ原戦陣図屏風の作者は黒田家お抱えの絵師と推定されています。
イメージ 6

⑦講演では黒田長政の銀色の兜(かぶと)をクロ-ズアップ
イメージ 7

この兜は国の重要文化財の「銀箔押一の谷形兜」で、黒田長政と福島正則が仲たがいした後、関係修復の証で交換したものです。昨日の朝日新聞の記事によると金箔の可能性があるとエックス線解析結果、金成分は検出されなかったそうです。
右隻には1518人、左隻には1030人が描かれており、180人の武将の名前が記されています。「関ヶ原軍記大成」の記述に従って、この屏風は描かれているそうで、この屏風絵は奥が深そうです。