母校の同窓会、香川支部総会に出席する。この支部には同級生が毎年2人出席している。1人は高2高3と同じクラスだった男子、もう1人は一回も同じクラスになったことのない女子。前者はカテゴリーの違うグループにいたことで、好きでも嫌いでもないクラスメート。まあ、端的に言えば話をしたことがあるよ、くらいの仲。残念ながら想い出は歪曲するようで私を「面倒みてやった」ヤツらしい。全く覚えはないが。この同窓会、徳島や香川、東海、広島、そして本部に出席をしたのだが、同級生で出席しているの男子が私以外全員文化部系男子で、体育会系の私とはあまり話が合わない。女子もやはりそんな感じなのだが、香川支部の子だけは体育会系だった。彼女とは在学中そんなに仲が良かった訳ではない。むしろ、知り合った理由が間接的すぎて笑える。私も彼女も編入生であった。特筆すべきは、彼女は当時、学校内はおろか、高知県内の高校生のアイドル的存在であるほど可愛かったという点か。まず、親友のイケが同じ中学で仲が良かった。そして、彼女の部活、バスケには私が2年間慕い続けた女の子で、今やイケの奥さんになった子がいた。そして、彼女と仲が良かった女の子は高3の頃、文系現代文で隣の席であり、同じ中央大学に進学した仲でもあった。だから、直接の友人ではないにせよ、少なくとも顔見知りだし話をするくらいの関係であった。


ところが、関係が一変するのは彼女の大学進学。彼女は1年浪人して、私の恋人と同じ大学に進学した。のみならず、大学構内にある彼女と同じ寮に入った。その寮は1年生が電話番をする決まりで、私が恋人に電話すると彼女が電話を取るという何とも妙な関係だった。しかも、彼女と不仲になり始めた頃だったので、なかなか気まずい感じが拭えず、ある日などは明らかに起こった声で対応されたこともあった。恐らく私の恋人から愚痴を聞かされたのではないか、と憶測せざるを得ない感じだった。


そして、私が恋人と別れたのが6月。だが、その後も事務的な用件だけは残っていた。私たちは東京にいる同級生たちの連絡係的な存在だったので夏の集まりだの何だかんだ連絡をしていたからだ。その度、電話を取るのは彼女だった。


6年前初めて香川支部に参加したときにこの件を話したところ、一笑に付された。

「覚えてないわ」


覚えている。あのときの恋人との修羅場を。そして、別れたあと、友人になれないという絶望感を。恋人には、ひたすら大貫妙子を聴かせた。一曲一曲、鬱陶しいくらい曲への思いを語った。別れた日、ずっと聴いていたのは、恋人に最も熱く、暑苦しいばかりに語った曲だった。


今年も香川に行き、帰りの列車であの曲を聴いた。ダウンロードしたスマホの中からイヤフォンを通じてくる曲は、目の縁を濡らす。オッサン何泣いとんねん。


オッサン!


あほか、オッサン…


「黄昏」 大貫妙子