2021年11月19日

長野県将来世代応援県民会議長野地域会議にて

「子ども・若者が夢を語れる未来にするために」

〜子どもの声、どう聴く？あなたならどう話す？〜

のテーマで研修会が行われました

研修講師として

信州親子塾から齋藤と髙柳

そして塾生で生きづらさを抱えてきた

20代いっちーと30代かいさんの２人が登壇し

会場からの質問にお答えしながらお話しさせていただきました

以下に

終了後にいただいた質問への回答を掲載します

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

Q1. 自分を肯定・承認できるようになったきっかけを教えてほしいです。

（かいさん）

自分を否定・攻撃する根拠が、なんの正しさも妥当性もない思い込みであったこと。

その上で「どう生きるのか」の選択権があると知ったからです。

（いっちー）

小さな「これでいいのか？」を、何度も安心して感じながら確かめられる時間・環境の中(親子塾)で過ごせたから。

そこから、自分の感じている「なんとなくこれがいい」を受け取れるようになった。

（信州親子塾より）

自己肯定感を高めようとしても高まりません。

自己否定感を少しずつ薄くしていった結果として、良いも悪いもなく、これが自分だと気付く時がくる。

言葉では説明しにくいのですが

「自己否定感（無力感、無価値観、罪悪感、劣等感など）をキャッチし、直視し、認める」

と、癒しが起き、統合される。

ダメな自分も「これが自分で、別にダメなわけではない」ということが感覚として腑に落ちる。

その繰り返しで、自己否定感が薄くなってくる。

Q2.信じて寄り添ってもらっている感覚はどのようなものですか？

（かいさん）

どのような姿を見せようとも、ポジティブでもネガティブでも、清くても汚くとも、それを良し悪しで判断されず、付き合ってもらえることです。

（いっちー）

ただ待ってそこに居る(いてくれる)心強さ。色で例えるなら『オレンジ時々淡い黄緑』。たまにきつくなるけど。

Q3. 何が自分を解放するきっかけになったのでしょうか。

（かいさん）

Q1と同じ

（いっちー）

それが、何か目に見るものだとしたら「プラレール」が一番大きいのかな。

目に見えないものだとしたら、一つ目の回答と同じになる。

「何をしたからこうなった」というよりは、

何をしていても「そのとき何を感じたか」にフォーカスがいき、

そこから自分の感情・感覚を知ることができた。

Q4. 「自分から」（一人暮らしを含めて）自分を信じて「これでいいんだ」と思えたきっかけは？

（かいさん）

Q1と同じ

（いっちー）

たくさんの「これでいいのか？」から、

「これでいいのかも！」になって、

ひとつずつ「これが自分だ」と受け取れるようになった。

Q5. 親子塾ではどのような空間（環境）を提供されているのでしょうか。

（かいさん）

是・非のない空間（環境）、それに共鳴するんです。

是すらも毒になる場合があります。でも自分に是を認められます。

（信州親子塾より）

・「信じて、任せて、待って、支える」

・自分の情熱につながる。主体的に生きる環境。自分の時間軸で生きる環境。自分らしく生きる選択ができる環境。

・狼に育てられたら狼のように育つほどの適応力を持つのが人（良い悪いではなく）。

倫理道徳的に「こうすべきだ」という環境であれば、そのように育つ。

武士の家庭で育てば、そう育つ。

そういう意味では、信州親子塾は、自分の選択が尊重され、その責任を自分でとりながら、

「失敗成功、良い悪い、正誤、優劣など」といった外の価値観でジャッジされず、

自分の感覚や感性をナビゲーションにしながら選択できる環境。

Q6. 学校生活で苦しい時、切ない時もあったかと思います。その時に周りの大人（先生や親など）にどのように支えて（受け止めて）欲しかったのでしょうか。

（かいさん）

明らかに理不尽で不正を行いながら、それを正さないのは、子どもも大人もがっかりしたのを覚えています。

また「問題児」ではなく、「人間」として見てほしかったです。

（いっちー）

方法論で「こうなったらこうする」という決まった何かは、むしろ苦しくなった。

自分ではどうしようもないぐちゃぐちゃな気持ちを、そのままの自分を、ただ認めてほしかった。

そこに肯定も否定もなく。裏表もなく。

Q7. 2人に登壇していただきありがとうございました。ただ、なんでこうなったのか？日常生活でそうなっただけなのか？私たちが見ている社会養護の子どもたちもこうなると思うけど、何かきっかけがあったんだろうか？普通の家庭の子？ベースのバックグラウンドが見えないから、親子塾も少しわかりづらかったけど、言葉で説明することが大切なんだなと思った。何をやって乗り越えているか分からない。教えて欲しいな。

（かいさん）

初めは親による全否定でしたが、その後に出会う人、共同体、学校も…皆そうでした。

ベースはもちろん大切ですが、周りも自分自身もいつでも道を変えることはできます。

（いっちー）

自分の状態(現在地)を知る

許す(小さいことから)

自分の感情を感じる

感覚を取り戻す(少しずつでも)

小さな「これでいいのか？」をたくさん感じる

「これでいいのかも」に塗り替わってくる

「それでもやっぱり」に飲み込まれそうになる

　↑これの繰り返し。でも螺旋階段のように成長は確実にしている。

（信州親子塾より）

ケースバイケースではあるが、ベースには「信頼関係」と「対等生」がある。

上から「助けてあげよう」とか、下に入っての傾聴や同意で信頼関係を結ぼうとしても、最終的には本心を話す段階までは進まないだろう。

スクールカウンセラーや教育相談、心療内科などに行ったことのある塾生は皆、「全然わかってない」と本人たちの感覚で感じている様子を語ることからも、対等な信頼関係を結ぶことがベースにある。

その次の段階で、自分でもよくわからない感覚を共に紡いでいくような作業の中で、ハッと思い出したかのように語り出す。

「きっかけ」という点にフォーカスすると、「当事者が信頼できる大人」がいることだと感じている。

信頼してもらえる大人とは、「意識の変容」が起きていることが最低条件であることが信州親子塾の特徴の１つです。

※「意識の変容」は文字で伝えることが難しいので、詳細を知りたい方は信州親子塾までお問い合わせいただくか、オンラインサロンで共に学ぶことをお勧めいたします。

Q8. マイナスの声がけ（ダメな部分の指摘）をしなければいけない時はどういう声がけをしたら良いのでしょうか？日々の子育ての中で悩みどころです。

（かいさん）

ダメな部分の指摘ではなく、こうしたらもっとよくなるという教示であると思うので、その子自身の価値・人格と、その「できないこと」を関連づけないで欲しいです。

（いっちー）

どうしたら、なにをしたら、どのように→目に見える部分だけでは本当の変化にならない気がする。

否定、マイナス → それがダメで、そうじゃないものは良いみたいになってしまいそう。

「ただそうあるだけ」これだけ。

自分のダメなところ、ダメな部分 → そんなものはなく、全部何でもそれが今のその人だから。

（信州親子塾より）

態度（在り方）とタイミングが大切だと日々感じています。

大人側の良かれと思って伝える言葉が（そのつもりがゼロでも）

人格を否定されたように感じてしまい、

自己肯定感を下げる結果になることが起きます（受け取り手の感性にもよるが）。

もし、ダメな部分を指摘したくなったときに、

「それは本当にダメなことなのか？」

「なぜ自分はダメだと思うのか？」

ということを自問自答する余裕があれば、

自分の不安や自分の感情と、子ども自身の感情やふるまいを分けて考えることにつながり、

客観的に対応することができるようになってくるかもしれません。

Q9. イチさん、カイさんに質問です。先の選挙には行かれましたか？もし行かれた場合、行こうと決意したきっかけは何がありますか？

（かいさん）

行ったにしろ行かないにしろノーコメントです。

（いっちー）

ノーコメント。

Q10. 不登校の子どもに学校の先生が病院を紹介する事例を参加者の方が語られていたと思いますが、先生方にも親子塾さんやこどもカフェ等の第３の居場所の存在を知っていただき、学校に来られなくなった子どもに様々な選択肢を与えていただくために、プラットフォームとしてできることがあれば、アドバイスをいただきたいと思います。

（かいさん）

医療や優れた方法論に偏りすぎず、

「その子にとって何が一番幸福なのか」

その問いをやめないでほしい。

（信州親子塾より）

・普通教育機会確保法の周知とその解釈を理解し広めること。

・来年度、HSCについてのシンポジウムを計画しております。実現する際には是非参加いただきたい。

・学校と第３の居場所、多様な学び等の関係者、（可能なら医療関係者も）との連携協議会を開催し、情報の共有にとどまらず、「周りの大人が」ではなく「当事者」を中心に置いた議論を深めること

Q11.「本当の思いを分かってくれる人と出会えた」という感覚をどのような時に持てたのでしょうか。

（かいさん）

個人的にはそう感じたことはありません。ただ、自分自身が自分にとってそうなれればとは思っています。

（信州親子塾より）　

来た当初の塾生の様子を観察していると、絶望感を感じてはいるが、本人も認めたくない感情であるため、「死にたい」という希死念慮に囚われている。

それを語っている最中に、自分の本当の感情に自分で気がつきはじめ、自分で自分のネガティブな感情（感じたくなくて封印していた感情）に気がつく。

それを「伝えたら否定される」と思っていたことが、否定されるどころか、「それでいいんだよ」とか「そうだよね」といった言葉でも共感でもなく、自分以外の誰かと共鳴した感覚が本人の中にあった時、その思いに繋がるのではないかと想像しています。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊