土地の権利の種類とその違いについて
明治維新で近代国家政策をすすめた日本政府はさまざまな法制度の整備をすすめました。その中で土地に関する制度で新たに組み入れた「地租税の制定」があります。地租税とは「土地の収益を税源として課される租税」のことを指しますが、その際に必要になったのが土地に所有権を認め管理することでした。
土地の権利の種類とその違いについて
土地の権利にはいくつかの種類がありますが、最も生活に関わってくる次の3つの権利とその違いについて解説していきます。
- 所有権
- 底地権
- 借地権
最も分かりやすいのが所有権で、土地の所有権を持っているということは、その土地を自由に活用でき、売却や譲渡もできる権利を持っているということです。
所有権からさらに権利を分けた考え方が、底地権と借地権です。
所有権とは
最も分かりやすいのが所有権でしょう。
土地の所有権を持っているということは、その土地を自由に活用でき、売却や譲渡もできる権利を持っているということです。
土地の「所有権」とは、土地を購入したときに購入者がその土地を所有する権利をもつ者として認められることを指します。
土地を購入すると法務局で登記を行います。 その際、購入者の名前で所有権登記を行うことが可能になります。
また、一般的に売買されているのは「所有権」と呼ばれる土地の権利であることが多いです。
例えば、不動産広告の土地権利形態の項目で「所有権のみ」と書かれているの目にしたことはありませんか?
これは所有権の買取が可能、つまり土地全体の権利を買い取れるという状態です。
該当する土地の所有権登記を自分の名前で行えるため、名実ともに完全に自分の土地になる物件だということが分かります。
所有権からさらに権利を分けた考え方が、底地権と借地権です。
底地権とは
底地(そこち)とはその土地の地主が持っている権利で、貸地(かしち)とも呼ばれます。
すなわち底地(そこち)とは、借地権が設定されている土地のことをいいます。
底地権に借地権という権利を分けることで、その土地を第三者に貸すことができます。
そのため、借地権が地主とは別の人にある場合、地主は土地の所有権を持っていないことになるため、その土地を自由に売買することはできなくなります。
土地そのものは地主の所有物ですが、その土地を借り、そこに建物を建築し、利用している人を無視して、地主がその土地を利用することはできないなど、1つの土地に対して複数の権利関係が存在するのです。
なお、底地を売却する際、借地人に譲渡する場合と第三者に譲渡する場合とがあります。
第三者の場合、上述のようにさまざまな制約を負うことになるなどの理由から更地の相場価格より大きく下回るケースがほとんど。逆に、借地人に譲渡する場合、借地人は借地契約による制約等がなくなり、借地権だった土地が所有権となるため、第三者への譲渡よりも高い価値設定が期待できるでしょう。
借地権とは
借地権とは、平たくいうと他人が所有する土地を借り、その土地の上に建物を建てることができる権利のことです。
地主から借地権を得て土地を借りる場合には、地代を支払います。
借地権は所有権と比べると権利が限定的になるため、所有権より安価で権利を入手できることが多いです。
借地権はあくまで借りる権利であるため、土地を購入する際にかかる取得税や固定資産税などの税金負担がないのも特徴です。
借地権は旧法にもとづいているものと新法にもとづいているものの2種類が混在しています。よってどちらの法律が適用される土地なのかも確認が必要になります。
また借地権の運用方法次第では地主の承諾が必要になるものがあり、地主との関係性も重要になります。
所有権と借地権の違い
所有権ごと購入する場合は借地権料と比較して割高なため負担が大きいということは意しておくべきポイント。所有権を持っていると固定資産税や都市計画税を支払う義務があります。毎月の借地料を支払う必要がなく、建替えや売却の際の承諾料、更新料の支払いや承諾の手続き等をする必要がない点でメリットといえます。地主との関係性やトラブルを気にする必要もなくなるため、その土地を最大限に活用できる所有権はやはり魅力的です。
一方、借地権も資産として価値がありますが、所有権と比較すると資産価格は低い傾向にあり、所有権価格の6~7割程度の価値として評価されるという差があります。借地権を取得して建築物を建てた場合、毎月土地を借りるための地代を支払わなければななりません。
また建物を取り壊し建て替える場合も、地主に建替の承諾料を支払う必要もあります。さらに借地権は売買の際に地主とトラブルになりやすいため、借地権売買に特化した不動産業者も存在しています(参照:株式会社マーキュリー)。