私たち夫婦は、入院バックを部屋に運んでから、再び、子ども達の待つ駐車場へと戻りました。


子ども達とはあと数日、お別れです。

とはいえ、赤ちゃんと会えた嬉しさや、総合病院と違ってちょこっと会えるようにもなったので、子ども達も以前ほどの寂しさを感じなくなっているようでした。


3人共、ニコニコしながら自宅へと帰っていきました。



病室に戻り、ひとりでソワソワと過ごしていると、看護師さんが赤ちゃんを連れて帰ってきました。



看護師さんは笑顔で


お帰りー!本当に良かったね。

みんなでめち子さんが帰って来るのを待ってたのよ。

今日はあの日(早剥になった日)に対応したスタッフも勤務でいるよ。


と言ってくれました。

皆さんが私のことを覚えていて、この転院も歓迎してくださっているんだと感じ、とても嬉しく思いました。


しばらくお話をした後、授乳の時間にもなったので、看護師さんは退室されて赤ちゃんと過ごしました。



授乳が終わってしばらく経った頃、コンコンと、部屋をノックする音が聞こえてから、中に助産師さんが入って来られました。


助産師さんは、私の顔を見て、


めち子さん!お帰り!!

もうね、さっき、めち子さんが歩いている後ろ姿を見かけて、私、涙が出そうになったよ。

本当に良かったね、頑張ったね。


と、涙を浮かべながら笑顔で話してくださいました。



そして、


ちょうど分娩に入っていたから、お迎えできなくてごめんね。

実は今日、さっきの分娩がなかったら、産後の入院、めち子さんだけになっちゃうねって話してて。

だから来てくれて良かったよー。

年末年始は皆動かなくなるから、お産少ないんだよね。


と言って、このタイミングでの私の入院も歓迎してくださっていました。


私は、総合病院担当医の先生からも「年末年始はかかりつけ医も受けないよ」と言われていたので、助産師さんからのその言葉にホッとしました。



私は助産師さんに、


そう言っていただけてありがたいです。

今回はこんなに良いお部屋まで用意していただき…

本当にありがとうございました。


と、伝えました。



すると助産師さんは、


この部屋はね、院長が「めち子さんに使わせてあげて」って言ってくれたのよ。

私たち、今日、めち子さんの入院だからって、例の広めのお部屋を案内しようと準備してたんだけどね、院長がいらして「追加料金も要らないから」って、言ってくれたの。

私もそれ聞いて涙が出そうになったよ。


めち子さんが帰ってきてくれて私達も嬉しかったけど、院長もすごく嬉しかったんだと思う。

それも、妊娠、出産で帰って来るなんて。

やっぱりね、死産になると、悲しい思い出が残るから来なくなる患者さんもいるんだよね。

だから、院長、すごく嬉しかったんだと思うよ。


とおっしゃってくれました。



私もその話を聞いてすごく嬉しくて。


かかりつけの先生は、本当にあまり多くを語らない方で。

なんなら物足りないくらいで。

でも、いつも穏やかで優しくて、ちゃんと患者さんの事を考えてくださっているのは伝わってくるような方でした。


その先生から、この様なご配慮をしていただけたことを知り、私は本当にありがたいなぁと感じたのでした。


この日に来てくれた助産師さんもまた、涙を浮かべながら、赤ちゃんの出産を喜んでくれ、本当に嬉しかったです。



ずっとずっと、素直に喜ぶことができなかった出産。


総合病院では、医師からも責められているような気持ちになったし。

助産師さんや看護師さんも、おめでとうとは言ってくれたけど、やっぱり、治療とか、体調管理が中心で。


私もその淡々と進んでいく日々に流されていたけど。



かかりつけ医に帰ってきて、改めて、


私、頑張ったんだな。

赤ちゃん、無事に生まれて本当に良かったな。


と、思うことができたのでした。




よんちゃん。

ようやく、ここまで帰ってきたよ。


みんな、あたたかいよ。



よんちゃんの心臓の音を最後に聞いた場所。

一緒になって、悲しんでくれた場所。


今度は。

一緒になって、喜んでくれた場所になりました。



こういう形で、また、戻れて。

本当に、本当に、良かったです。