手術室を出ると、産婦人科の看護師さんが待ち構えていたしました。
この看護師さんは、総合病院で一番親しくしている方でした。
看護師さんが、
良かったですね。
本当に頑張りましたね。
と、声をかけてくださいました。
私もホッとして返事をしました。
すると、麻酔科の看護師さんが、
向こうに旦那さんもいらっしゃいますよ。
と言いました。
夫がいるらしい方向を見ました。
夫に向かって、担当医の先生がスタスタと歩いていくのが見えました。
先生が夫に話しかけました。
私のベッドを運んでいた看護師さん達も、その場で足を止めました。
先生が夫に対して、
今回、奥さんの子宮は非常に危険な状態でした。
子宮が薄くなっていて、もし、陣痛がきていたら、子宮破裂で母子共に危なかったと思います。
ですから、もう絶対に妊娠させないでください。
これ以上、奥さんをリスクにさらしてはいけませんよ。
あと、癒着もかなり酷くて。
手術中、わからずに腹筋の一部を切断してしまっています。
切断した部分は縫いましたが、肉離れのような状態になっているので、術後の腹痛が通常より酷いかと思います。
等と伝えているのが聞こえてきました。
医師として、伝えるべきことは伝えないといけないのは分かる。
でもさ、術後までなかなか厳しいな。
先生から「おめでとう」とか「良かったね。」とか、言われた記憶はない。
もちろん、一番は「無事に生まれること」ではあるけど。
子宮の薄さも、癒着も、分かったよ。
もしかしたらって、想定もしていた。
腹筋を切ってしまったことも、別に仕方ないと思ってる。
でもさ、やっぱり。
なんか終始責められている気持ちになって辛かった。
やっと、無事に出産をすることができた。
それなのに、その直後に、夫を見るなりスタスタと歩いていって、バーっと説明して。
まるで本当に「手術」。
まぁ、帝王切開は手術だけど。
今回の出産は。
私にとって、人生最後の出産は。
死産を経て、待ちに待った出産は。
やっと手にした新しい生命の誕生に対する喜びのひとときというより、本来の「手術」という色合いの強いものとなりました。
待ちに待ったわが子の誕生。
なんだか手放しに喜ぶことはできず。
贅沢なのかな…
よんちゃん。
弟が無事に生まれたよ。
本当に、本当に、いろいろとあったけど。
お母さん、最後まで頑張りましたよ。
見守っていてくれて、ありがとう。