病院に到着すると、待合室は静まり返っていました。


受付に行くと、スタッフの方が待っていて下さり、名前を伝えるとすぐに手続きをしてくれました。


看護師さん達も昼休みを切り上げてやって来て、私を診察室に案内してくれます。


ほどなくして、先生もやって来ました。



私が、先生方に対し、


お休み時間に申し訳ありません。


と、伝えると、先生は穏やかな様子で


赤ちゃん、エコーで確認してみようね。

下から見るね。


と言ってくださいました。



私は内診室に移動しました。


ヨタヨタと下着を脱いだ時です。



ナプキンを見ると鮮血で飽和状態になっていました。



私は、


え、まだナプキンあてて30分位だよね…


と、あまりの出血量に愕然としました。



生理の多い日でもこんなに出血したことない。


どうしよう。


怖い。



でも、早く見てもらいたい気持ちもある。


安心したい。


きっと、エコーで見たら生きているはずだ。


なんの根拠もない思いも抱きつつ、内診用の椅子に座りました。



ゆっくりと、上に上がります。


内診できる状態になりました。



先生が、


じゃあ、エコーで赤ちゃん見てみるね。


と言い、エコーを始めます。



私の傍らにある、エコー画面が映し出されます。



私は固唾を呑んで白黒画面を見つめます。




お願い。



お願いします。


赤ちゃん、動いていて。


心臓、ピコピコしている姿を見せて…




そう願って目を凝らします。





あ…


ピコピコ動いている。


心臓、動いている。



先生も、



うん、赤ちゃん元気だね。


と言い、エコーを心モニターに切り替えて、元気な心拍も見せてくれました。




良かった。


本当に、本当に良かった。


生きてた。


良かった。



不安が一気に無くなり、安堵感でいっぱいになりました。



エコーを終えて、新しいナプキンに替えて服装を整え、診察室に戻ります。



先生から、


原因はよく分からないけど、しばらくは安静にしてね。

仕事してるよね、診断書を書こうか。

まだ血液が残ってるからしばらく出血すると思うよ。

診断書は2週間で出しておくから、2週間経っても続く時や腹痛がある時はまた病院に来てください。


と、説明を受けました。



良かった…


本当に良かった…


とりあえず、あと1週間すれば12週の壁も超える。


きっと、きっと、大丈夫…


とにかくしばらくは安静にしよう。


ちゃんと生きていてくれたんだ。


やっぱり、妊娠初期の出血は多いっていうし。

出血量が多くても、無事に出産前までたどり着けた方はたくさんいるっていうもんね。


よし、安静に、頑張ろう。


そう心の中で思いました。



先生から、


お腹は張る?

念の為に張り止めを出しておこうか。


と、言われました。


私はお腹の張りはイマイチよく分かりませんでしたが、処方をお願いしました。


処方箋としてタグチルを出していただきました。



診察を終えて、ホッとし、先生方にお礼を行って退室します。



静かな待合室に、ひとりでゆっくりと座ります。



そっとお腹に手を当てて、お腹を眺めました。



良かった…


本当に良かった。


お腹の赤ちゃん、元気なんだね。


強いね。


絶対に、元気に生まれてくるんだよ。


先生がお迎えにくるまで、ちゃんと生きて待っているんだよ。


お母さん、頑張るからね。



よんちゃん、守ってくれてありがとう。