今から1年くらい前。

泣く泣く復帰してからしばらく経ったころ。


私が職場の廊下を歩いていたら、男性職員と女性職員が立ち話をしていました。

その女性は、お腹の大きな妊婦さんでした。


彼女が「明日から産休で、今日が最後なんです。」と、嬉しそうに話していました。

それに対して男性職員は「母子ともに元気で帰ってきてね。」と伝えていました。


ふたりの和やかな会話が耳に入ってきて、すごく辛くなった。


私は、母子ともに、元気では無かった。

我が子は、亡くなってしまった。


惨めで、辛かった。


こんな会話。

きっと今までに何度も聞いたはず。

私も、言われたことがあるはず。


でももう、受け入れられなかった。


うつむいてその場を離れ、自分の席に戻った。

淡々と、働いていたのを今でもよく覚えている。



先日、その時の女性が1歳くらいのお子さんを抱きかかえて職場にいる姿を見た。

そろそろ、復帰されるんだろうか。


そんなことを思いながら、今やるべき仕事を進めた。



もうすぐ1年と8ヶ月になる。


先日、保育園組の発表会がありました。
子ども達のキラキラとした姿が印象的で、この子達の未来が明るいものであって欲しいと、カメラ片手に思いながら見守っていました。

1歳児クラスの出番では、よちよち歩く、かわいい子ども達。 
音楽に合わせて楽器を鳴らす姿。
会場は、大人たちの優しい雰囲気で満ちていました。

よんちゃんが、生きていたらな。
もう、こんなに大きくなっていたのだろうな。

そう思って見ていました。

きっと、これから先も、同級生になるはずだったお子さんを見る度、そう思うのだと思います。


今年もいよいよ年末です。
この一年は、堪えて、堪えて、堪えて、ひたすら黙って堪え続ける日々でした。

夏までは、勉強三昧でした。
仕事もフルタイムで、家事育児もしながら、まとまった時間を作るには睡眠時間を削る以外の手段は無くて。
とにかく必死にやって。

国家資格も、昇任試験も、合格した。
どっちもそれなりに難易度が高くて、我ながら本当によく頑張ったと思っている。

試験が終わってからも、勉強の習慣は続けていている。
せっかくの知識を失いたくなかったし、もっともっと活かしていきたいと思ったから。
今は無理のないレベルで、ゆたっと、続けている。

勉強中は、余計なことを考えなくていいから、今では息抜きのような存在になっている。

仕事も、結構頑張っている。
正直、思うところはいろいろあるんだけど、腰軽く、テキパキとこなしている。
ケラケラ笑って、冗談を言ったりしながら。
結構サラッとやり遂げている。

周りからもそれなりに頼りにされてて。
いろんな方から慕われているのも感じていて。
素直に嬉しさもある。

他人から見たら、充実した順調な人生に映ると思う。

きっともう、誰も死産のことなんか覚えていない。
そう言えばそんなこともあったね、程度だと思う。

死産自体を知らない人だってたくさんいる。

みんな、私の心のうちなんて知らない。


試験までは、と、控えていた妊活はやっと再開した。
だけど、年齢もちょっとずつ老いていくし、共働きでお互いに疲れていたりで、そうすんなりいくわけでもなく。

生理が来てはカレンダーを見て。
妊娠したらこの辺からつわりだなぁとか。
勝手に逆算して諸々の計画を立て…

生理が始まるまでは慎重に生活して。
リセットしたら開き直って。
カフェインたくさん飲んだり、運動したり。
吹っ切れて活動的になる。

の、繰り返し。

まだ、その時じゃないのかなぁ。

よんちゃんは、むしろタイミングをずらしたのに授かった。

子供は授かりものとは言うけれど。

やっぱり悲しくなっちゃう。
なんでなんだろう。

今でも時々、ひとりで運転しながら泣いてしまいます。



人生の、表と裏。
私達は皆、他人の表面しか見えないから。

もっともっと、誰かの人生全てを、ちゃんと思いやれる人になりたいと、思っています。

どっかで見た「優しさを持った人は、それ以上の悲しみを持っている。」という言葉がとても印象的で。
そうでありたいと思いました。

ずっと、ずっと、苦しいけれど。
よんちゃんから教えてもらったたくさんの大事なこと。

あなたに会えたから、今の私がいる。


神様、私、この1年、本当に頑張ったんですよ。
内心は早くまた妊娠もしたかったけど、試験とか仕事とかもいろいろ配慮して我慢してたんですよ。

毎日が本当にめまぐるしくて。
朝から晩まで息つく間もなく活動し続けて。

そろそろ、穏やかな時間がやってこないかなぁ…

もうすぐクリスマス。
今年は、嬉しいプレゼントでも届かないかなぁ。

空を見上げて、お腹に手を当てて。
帰ってこないのかな。
家族みんな、今でも待っているんだよ。

暖かなあなたを抱っこできるその日まで。
待ったからこその出会いがきっとあると、信じています。


皆さんにも、ステキなクリスマスがやってきますように。