実は、よんちゃんのお父さんは医療従事者です。
周産期医療センターも入っている大きな病院に勤めています。
夫は、同僚である医療従事者の方に、よんちゃんが常位胎盤早期剥離で亡くなったことを伝えていました。
その中には、産婦人科やNICUで働く看護師さん達が何人もいたそうです。
そして、その方達はだいたい
「えー!早剥!!早剥はねぇ…」
という感じで、言葉を失う。
夫の勤めている病院では、年に4、5件くらい、常位胎盤早期剥離があるそうです。
この症状を訴える妊婦の受診があると、医療スタッフも軽くパニックというか、かなりバタバタするらしいです。
やばい!やばい妊婦さんきたよ!ってな感じで。
実際、母体死亡の例もあったし、管理入院をしていたのに赤ちゃんが亡くなってしまった例もあったそうです。
ある看護師さんは、知り合いの助産師さんが常位胎盤早期剥離で亡くなったと言っていました。
産科のプロでも分からない、間に合わないなんてと絶句でした。
そういえば、私が搬送された救急病院の先生も「あんなに〇〇先生(かかりつけの先生)が慌ててるの、今まで見たことなかった。」っておっしゃってました。
それくらい、現場の人達からすると緊急。
夫だって医療従事者だけど、男だからもちろん産科の取り扱い経験はありません。
あるのは机上の知識だけで、実務や現場の対応がどうかなんて分からないわけですよ。
だから私達一般人は、常位胎盤早期剥離のスピード感や恐ろしさってもっとよく分からないと思うんです。
私自身、常位胎盤早期剥離の事自体はネットや、母親学級で知っていました。
でも、そこに書いてある説明は、妊婦さんが不安を感じないような表現をしているものが多い気がします。
実際、私も最初は「早剥になってる」って言われてもそこまで緊急だとは思わなかった。
先生達の様子を見て、やっと察した。
現場のナマの声を聞くと、相当ヤバい症例なんだなぁって思います。
綺麗事では済まされない、現場の壮絶さ。
この内容は全て夫からの又聞きです。
私は医療のことなど全く分かりません。
このブログを読んで下さる方の中には、医療従事者もいらっしゃるかもしれませんし、その方からしたら、いやいや違うよと思うこともあるかもしれませんが…
でも、私自身もこの症例の重大さは身を持って知りました。
人によって自覚症状も違うし。
ネットの説明とか見ると、優しいことばかり言うなって思う。
ネットに紹介されている事例も、無事に生まれた症例ばかり。
お母さんからしたら、ちゃんと私が気づけば大丈夫ねって、思う。
でも、赤ちゃんが命を落としたら、自分を責めちゃうじゃないですか。
もっと早く、ああしていれば、こうしていればって。
常位胎盤早期剥離は原因不明も多い。
私も元々超健康体でトラブルなかったし。
そうなると予知不可能。
私は、よんちゃんが亡くなって、何度も自分の行動を振り返って後悔しました。
あの時に戻れたらと思いました。
でも、こういう、実際に現場でたくさんの症例を見て働く方たちの話を聞く度「なんかもう、どうしようもなかったんだなぁ」って、諦めもつくんです。
悲しいけど。
なんで私にって思うけど。
どうにかできなかったのかなって思うけど。
どうしようもないくらい、手に負えない症例に当たってしまった。
だから、自分を責める気持ちは減ってきました。
無力感でいっぱいですけどね。
寂しさは消えませんけどね。
よんちゃんを常位胎盤早期剥離で亡くしてから、私の脳みそはこの症例のことでいっぱいでした。
こいつはナニモノかと、何度も何度も検索しました。
病院からも、そんなにたくさんの説明はないし。
別に病院を責めるつもりは全くないんです。
そもそも、病院側としても赤ちゃんを失ったばかりで悲しみのどん底にいるお母さんに、常位胎盤早期剥離に対する率直な意見って言えないと思う。
でも私は、実際、医療従事者からみたらどうなんだろうっていう思いがあったんです。
だから、夫を通して聞けて良かったです。
人は皆、いつか致命的な何かで亡くなるから。
人は皆、いつか別れなくちゃならないから。
世の中には、いくらがんばってもコントロールできないことはある。
辛いけど、それが現実。
残されて生きるのって、辛いなぁ。