かかりつけ医に着きました。


いろいろな思いでいっぱいいっぱいになり、吐きそうになりました。

つわりのものとは違う、冷え冷えとした気持ち悪さ。


涙を拭って、産婦人科に入ります。 


時間はちょうど昼休み前で、患者さんは少なめでした。

妊婦さんが数人座っています。

みんなそれぞれ、スマホやテレビを見ています。


いいなぁ、みんないいなぁ。

私もついこの間まで、そうやって腰掛けていたのに。

よんちゃん、お腹の中で生きていたのに。


基本的に予約制の病院。

アポも何もしていない私。

おどおどと、事務の方に声をかけました。


事務の方は私の名前を聞くと、すぐに手続きをしてくださいました。


会計を済ませると、奥から荷物を持って来られました。

窓越しに受け取ります。


…これで終わりかなぁ。


そう思ったとき、事務の方から「あの、院長が話したいそうなのでお待ちいただけますか?」と言われたのです。


私は驚きました。


先生、会ってくれるんだ…


事務の方に「分かりました。」と伝えて待合室で待つことにしました。

その時、妊婦さんが4、5人居ました。


ちょうど昼休み前だから、あの方々が終わってから会ってくれるのかなぁ。

そう思って、見慣れた院内を眺めます。


するとすぐに私の名前が呼ばれました。

まさかこんなにすぐとは思わず、1度目は気づきませんでした。


うつむきつつ、トボトボと診察室に向かいます。


開いた扉の向こうに、先生がいらっしゃいました。


いつもはデスクに腰をかけ、穏やかに挨拶をしてくれる先生。


この日は、デスクから立ち上がり、とても心配そうな顔をしていました。

そのままデスクを離れ、私の方に歩み寄って来られました。


私が診察室に入ると、先生は立ったまま「大丈夫?少しは落ち着いた?」と声をかけてくださいました。


先生の顔を見た瞬間、私は一気にホッとしてしまいました。

我慢していた心が崩壊してしまいました。


「わかりません…」そう呟き、その場に立ち尽くしてしまいました。

ボロボロボロボロ、泣いてしまいました。


産後健診を受けた総合病院では、とても落ち着いて先生や助産師さんと話せた私。

エジンバラ産後うつ検査も良好で、面接時も回復してるねー、と言われていた私。


でも、やっぱり、たくさんの思い出が詰まったここでは、感情の波が止まりませんでした。