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「はじめに」

 

 

 

さちが戻ってきて、今までの日常と違うのは一緒に出勤しないことでした。

今まではいつもの時間に起きて、いつもの時間に自宅を出て、という感じで

常に一緒でしたが、入院してからは生活のリズムが一変しました。

 

それでもひとりでいるよりかは部屋の明るさや温度は全然違うので、

僕の気分も明るいものでした。

 

照れくさい話になりますが、玄関で、

「行ってくるね~。」

と言って、キスをしました。

そしたら、さちの方からハグをしてくれまして、僕の厚手のジャンパーからも

その力強さがしっかりと伝わってくるようなハグでした。

 

玄関を出てからエレベーターに向かうまで、何だかとても嬉しい気持ちになり、

少し泣きそうになりました。

 

これはその後、毎朝の恒例になりました。

新婚当初もそういうことは無かったかも知れませんが、今になって改めて、

お互いのふれあいとか、ぬくもりとか、ちょっしたことでの力加減とか、

生きて一緒に生活していることの大切さを確認しているような気がしています。

 

人間は誰しもが最後は死にますから、生きている間にいかに、

「あぁ、生きてるなぁ。」

と実感できることが幸せなんじゃないかと思うのです。