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「はじめに」

 

 

 

先生からの説明を受けた後にICUに通されました。

さちに会えるということでした。

 

まさか、こんな、脳の手術をした直後に会えるとは思ってもいなかったですし、

そもそもICUなんて入れるの?って思っていたから、なんだか、あれよあれよと

案内されるまま、さちのいるベッドまで行きました。

 

頭に包帯をグルグル巻きにして、口には酸素マスクを装着したさちが

そこには確かにいました。

しっかりと生きて、こちらを向いていました。

痛々しい姿ではありましたが、生きていてくれたことに本当に嬉しく思いました。

 

オフクロさんはさちの手を握り、

「今日手術やれて良かったんだよ、あんたは運が強いんだから、大丈夫よ。」

と何度も何度も励ましの声をかけていました。

僕もその横で、

「よく頑張った、大丈夫、大丈夫。」

と。

 

さちは喋れない状態でしたが、こちらの掛け声に呼応するように

目から涙がこぼれていました。

それを見て僕たちも泣けて泣けて・・・。

 

何かの渦に巻き込まれるように、さちは一気に脳の手術までしてICUにいる。

ドラマの世界にあるような、スタジオセットのようなとても綺麗なところにいるわけです。

いや、スタジオセットよりもだいぶ綺麗だと思います。

僕の感情も、もちろんオフクロさんの気持ちも慌ただしい中で

整理がつかない状態でした。

 

我々は離れがたい気持ちを押し殺してICUをあとにしました。

 

 

一時退院した時にこの時のことを聞いたら、意識もちゃんとしていて、

こちらの言うことも全部理解していたそうです。