揺れ動く
住み替えが決まるまで、私は今住んでいるマンションが気に入らなくて仕方がなかった。このマンションは、衝動的に購入を決めたマンションだった。初めてモデルルームへ行ってその日に契約をした。なぜかというと、駅のすぐ近くで残り2部屋(内、ひとつは2階だった)でめちゃくちゃ豪華なモデルルームだったから。こんなところに住めたら最高と舞い上がってしまった。本当にあの頃は世間知らずだった・・・私はモデルルームの部屋が多少の間取りの違いはあっても、おおむねこのイメージなんだろうな~なんてお気楽に思い込んでしまった。まさか、あのモデルルームが一番高い部屋の間取りだったなんて・・・(今考えたら、もちろんそうなんだろうけど)内覧に行くまで、私はまったく疑っていなかったのです。さあ。内覧の日!イメージングは万全脳内には、あのモデルルームしか入っていない。ウキウキしながら自分たちが住むことになる部屋に足を踏み入れ――すぐに異変に気付きました。全然違う。あのオシャレなモデルルームの間取りじゃない。まるで団地……どこにでもある見慣れた、あの。区切ってある部屋のひとつひとつが長方形でキッチンも狭ければ、リビングも10畳ほどしかない。とにかく、普通としか表現できない普通過ぎるマンション。なに、これ・・・・私は茫然自失で。さすがに夫も気落ちしている。(後から聞いたら、まさかここまで普通だとは思ってなかったらしいです。それほどにモデルルームが素敵すぎたんです)もう契約しちゃってあるし、家具も購入済みだし、あとは住むだけだし、夫にローン組ませてしまったし、いくら、こんな部屋嫌だ!!!と思ったところで取り返しがつかないあの時ほど、自分の安直でなんとかなるでしょ~という性格を呪ったことはなかったな。あの日から、必死に自分が住むことになるマンションのいいところを探そうと頑張った。住んでからは、あきらめるしかなかったからこれまた必死に考えないようにしてきた。もしくは、住むところがあって、暖かいお風呂に入れるんだから私は幸せと呪文のように唱えた。じゃないと、ここがいい!ここにしようよ!と、我儘言って夫にマンションを購入させたことが後悔の塊になってやってくるから私が、ここがいいって言ったんだ・・・私のせいだ・・・でも、このマンションが気に入らない・・・その気持ちは口に出さない分、ドロドロぐろぐろと、根底にしつこく居座っていた。そう、住み替えをしようと決まるまで何十年も!時々、夫に雑談のふりをして言った。「もし次に住むとしたらさ~」そのたびに夫は「現実的にありえない話はしない」とピシャリ。大きな借金をしてマンションを購入した夫にとって家は一生に一度建てる(買う)という価値観だった。もちろん、定年までの年数を考えてローンも組んだし。普段は割と“緩め”の夫が、ここまでうんざりしながら真顔でいうので私も住み替えの話はしないようになった。ここで一生を終えるんだな~年老いたら老人ホームに移る選択肢一択なんだな~そんな風にあきらめていたけど、去年、思わぬ出来事があり(いずれ書きますね)夫の方から、住み替えに前向きな発言が出た私は、夫の気が変わらないうちにとどんどん事を進めていった不動産会社とか工務店とか問い合わせて物件を見に行ったり、あちこち見て回ったり。探すこと半年以上。結局、今は時期じゃないから見送ろうと、どちらともなくその結論へ向かってくことになった。ただ、住み替えは未定ではなく決定。必ず、する。2~3年後か、5~7年後。そのどちらかのタイミングですることになった。正直言うと、アラフィフの今でも住み替えは遅いと思ってるから1年でも半年でも早く、家を建てたい。。5~7年後になってしまうといよいよ老後が迫ってくるし。だけども、やっぱり今は引っ越しの時期ではないことは確か。。ただタイムリミットが見えてきたことで驚くことに、あんなに気に入らなかったマンションに愛着が出てきたなにこのてのひら返し住んでからほとんど毎日、あーいやだ、ここのここが気に入らないっ!あー使いにくい!あー狭い!頭の中で文句ばっかり言ってたのに。。それが、住んでもあと数年なんだな、と本当の意味で意識したら、高層階からの眺めの素晴らしさとか、窓の多いから部屋の中がすごく明るいこととか、駅に近くて、どこへでも歩いて行けることとか、諸々、名残惜しくなった。我ながら、勝手すぎるけど、ここに住む残り数年をうんざりしながら過ごすのと、豊かさを噛みしめながら過ごすのとでは雲泥の差だと思うから気づけて良かった。